Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
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アルフォンス・ミュシャ Alfonse Mucha
1860-1939 | チェコ | アール・ヌーヴォー




アール・ヌーヴォー様式を代表する巨匠。草花をモチーフとした幾何的な文様や、曲線を多用した平面的で装飾的な画面構成など典型的なアール・ヌーヴォー様式と、モデルの女性など描く対象の個性や特徴を的確に掴みながら、視覚的な美しさを観る者に嫌味なく感じさせる独自の対象表現を融合させ、数多くの商業用ポスターや挿絵を制作。画家がパリ時代に手がけた諸作品は当時、大流行となり、画家(作家)として確固たる地位を確立。現在でもアール・ヌーヴォー様式の代表格として広く認知されている。また他のアール・ヌーヴォーの画家(作家)と同様、ミュシャの装飾性の高い平面的表現には日本の浮世絵からの影響が強く感じられる。ミュシャの作品はパリ時代のカラーリトグラフによる商業用ポスターや装飾パネルなどが有名であるが、油彩画でも優れた作品を残しており、特に晩年期に故郷チェコで制作した連作『スラヴ叙事詩』は画家の生涯の中でも屈指の出来栄えを示している。1860年、チェコスロバキア南方モラヴィアのイヴァンチッツェで裁判所の官史をしていた父オンドジェイ・ミュシャと家庭教師であった母アマリエ・マラーの間に生まれ、1871年からブルノーの中学に通うほか、同年、聖ペトロフ教会聖歌隊員となる。1878年、プラハの美術アカデミーを受験するが失敗。翌年、ウィーンへと赴き、舞台美術などを手がける工房へ助手として入る。その後、失業してしまうものの、パトロンであったエゴン伯爵の援助を受け、1884年からミュンヘン美術学校に留学。古典的な写実的表現を会得する。1887年、ミュンヘン美術学校を卒業後、パリに向かう。1891年、ポール・ゴーギャンと知り合う。1894年、当時の著名な舞台女優サラ・ベルナールが主演する戯曲『ジスモンダ』のポスターを手がけ、大きな反響を呼ぶ。翌1895年、サラ・ベルナールと六年間の契約を結び経済的困窮から脱するほか、『ジスモンダ』の成功によって一躍、時代の寵児となる。また同年、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックらと共にサロン・デ・サンのグループ展に作品を出品。その後、『ジョブ』や『メディア(メデア)』などのポスターや、『四つの時の流れ』、『四つの星』など連作的作品を数多く制作し、名声を博す。1904年から数回、招かれる形でアメリカに滞在し同地で制作活動をおこなう。1908年、ボストン交響楽団によるスメタナの≪わが祖国≫を聴き、強く感銘を受け、スラブ諸国の文化の伝道に尽力することを決意。1910年、故郷チェコに定住。翌年からスラヴ民族の歴史を綴った連作『スラヴ叙事詩』の制作に取り組み、チェコスロバキアの国家行事のポスターなどを手がけつつ、1928年まで同連作を制作し続けた。1938年、肺炎により健康状態が悪化、翌1939年チェコで死去。なおミュシャは作品のデザイン性の豊かさから、デザイナーとしての評価も高い。
Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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ジスモンダ

 (Poster for Gismonda) 1895年
213×75cm | リトグラフ | 所蔵先複数

アール・ヌーヴォー様式を代表する画家アルフォンス・ミュシャが名声と社会的地位を得るきっかけとなった伝説的ポスター作品『ジスモンダ』。本作に描かれるのは当時、フランスで最も名を馳せていた劇作家ヴィクトリアン・サルドゥーが手がけた、アテネを舞台に物語が進められるキリスト教を主題とした戯曲『ジスモンダ』第三幕中、≪棕櫚の日曜日(復活祭直前の日曜日)の行列に加わるジスモンダ≫の場面である。本作の中で、高齢でありながら圧倒的な人気を博していた舞台女優サラ・ベルナールが扮するジスモンダは、主イエスを迎えるために棕櫚(ヤシ科の常緑高木で、キリスト教では死に対する永遠の生命の勝利を意味する)の葉を右手に持っている(※これは主イエスのエルサレム入城の際に、棕櫚の葉を手にして主イエスを迎えたとされる民衆の姿に由来している)。威厳的でありながら高潔性に満ち、左手を己の胸に沿え、斜め上に視線を向ける本作のジスモンダの凛とした美しさに溢れた姿は、『ジスモンダ』に主演するサラ・ベルナールも絶賛したと伝えられている。本作は1895年12月25日にサラ・ベルナールから「来年1月4日から始まる舞台(ジスモンダ)のポスターを至急制作してほしい」と電話で依頼を受け、わずか数日で制作したとの伝説的な逸話が残されているが、これは依頼を受ける以前(ジスモンダの初演は10月31日)に画家が本戯曲を観賞しており、その中で最も印象に残った姿を本作に反映したとも推測されている。またひとつの作品として考察しても、描かれる対象(本作ではサラ・ベルナール扮するジスモンダ)の特徴を的確に掴んだ表現や全身描写のほか、様式化された装飾的描写や空間的平面性、異国趣味的な表現、極端に縦に伸びた画面構成など、その後、画家が数多く手がける諸作品に共通する画家独自の個性や作品的特徴が、本作の時点でほぼ確立していることも特筆に値する。

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【全体図】
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Work figure (作品図)


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