Description of a work (作品の解説)
2009/07/30掲載
Work figure (作品図)
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ビザンティン風の頭部:ブロンド


(Byzantine Head : Blonde) 1897年
52.5×37cm | リトグラフ | 所蔵先複数

アール・ヌーヴォー様式を代表する画家アルフォンス・ミュシャの傑作『ビザンティン風の頭部:ブロンド』。1897年に2対の連品として制作された≪ビザンティン風の頭部≫を画題とした作品の中の1点である本作は、≪ブロンド(金髪)≫と題されるよう、金髪の女性をモデルとした異国趣味(東洋風)的作品である。画面中央の円の中には、対画となる『ビザンティン風の頭部:ブルネット』と同様、美しい顔立ちの女性像が真横からの視点で配されており、様式化された周囲の枠と表現的統一性を保ちながら見事な対比を見せている。さらに節目的な女性の瞳の表情には女性特有の上品な慎み深さを感じることができ、ミュシャの女性像におけるある種の典型を見出すことができる。本作で注目すべき点も、やはり『ビザンティン風の頭部:ブルネット』と同じく、金髪の女性が身に付ける装飾性に富んだ異国的な髪飾りの描写にある。特にインドや中東などで用いられるターバン的な白布の頭巾と、ビザンティン様式とエジプト美術を融合させたかのような形状の単純化が著しく象徴性の高い髪飾りの表現には非常にミュシャの意匠的創造力を感じることができる。さらにこの中で特筆すべき点は観る者の視線を惹きつける(まるで神話や古代の円盾を連想させる)円形の飾りの意匠と色彩的構成であり、ここにはミュシャの画家としての類稀な才能が存分に示されている。

関連:対画 『ビザンティン風の頭部:ブルネット』


【全体図】
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【参考:ビザンティン風の頭部:ブルネット】
女性特有の上品な慎み深さを感じさせる金髪の女性の視線。画面中央の女性は、様式化された周囲の枠と表現的統一性を保ちながら見事な対比を見せている。



【上品な慎み深さを感じる視線】

【参考:ビザンティン風の頭部:ブルネット】
意匠化された髪飾りの表現。ターバン的な白布の頭巾と、ビザンティン様式とエジプト美術を融合させたかのような髪飾りの表現には非常にミュシャの意匠的創造力を感じることができる。



【意匠化された髪飾りの表現】

【参考:ビザンティン風の頭部:ブルネット】
アール・ヌーヴォー様式特有の曲線的表現。観る者の視線を惹きつける円形の飾りの意匠と色彩的構成には、ミュシャの画家としての類稀な才能が存分に示されている。



【アール・ヌーヴォー特有の曲線的表現】

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