Description of a work (作品の解説)
2009/06/07掲載
Work figure (作品図)
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連作≪四季−春≫

 (The Four Seasons -Spring-) 1896年
94.5×48cm | リトグラフ | 所蔵先複数

19世紀末に一世を風靡したアール・ヌーヴォー様式の最も著名な画家アルフォンス・ミュシャ初期の代表的な装飾パネル作品『連作≪四季−春≫』。ミュシャの出世作であり随一の代表作でもある『ジスモンダ』と共に、画家の人気を不動のものとした作品として知られる本連作は、春夏秋冬(四季)を若く美しい女性と共に、それぞれの季節に合う花や草木で表現した≪月暦画≫の一種で、出版業を営んでいた編集者レオン・デシャンと印刷業者シャンプノワの依頼により制作された連作である。四季の中の≪春≫を題材に制作された本作では、頭に花飾りを着けた美しい金色の髪の毛が魅力的な女性が若草で作られた竪琴を奏でる姿が画面中央に配されている。春を象徴する女性の姿は伝統的なコントラポスト(重心を片方にのせ、もう片方を自由に遊ばせることで身体全体の流れをS字形にし、左右非対称の均衡美を表現する手法)の姿態で表現されており、溢れんばかりの春の生命感や躍動感を感じさせると共に、女性特有の丸みを帯びた柔らかい肉体も見事に表している。さらに若草の竪琴の傍らには、その音色に引き寄せられたかのように数羽の小鳥が留まっており、この小鳥たちへと向けられた春の女性の薄っすらと笑みを浮かべた穏やかな視線との関連性は、あたかも古典的な女神ヴィーナスを連想させる。また写実的に表現される女性の顔や手足など肌が露出する部分と、平面性が際立つ背景の木々や花々との描写的対比や、太く明確な輪郭線による対象の強調的表現には単なる装飾作品には収まらない画家の独自的で信念に基づいた確固たる芸術性を見出すことができる。

関連:連作≪四季−夏(1896年版)≫
関連:連作≪四季−秋(1896年版)≫
関連:連作≪四季−冬(1896年版)≫


【全体図】
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柔らかく穏やかな表情を浮かべる若く美しい女性。画家の人気を不動のものとした作品として知られる本連作は、春夏秋冬(四季)を若く美しい女性と共に、それぞれの季節に合う花や草木で表現した≪月暦画≫の一種で、出版業を営んでいた編集者レオン・デシャンと印刷業者シャンプノワの依頼により制作された連作である。



【穏やかな表情を浮かべる女性】
若草の竪琴に集まる数羽の小鳥たち。写実的に表現される女性の顔や手足など肌が露出する部分と、平面性が際立つ背景の木々や花々との描写的対比や、太く明確な輪郭線による対象の強調的表現には単なる装飾作品には収まらない画家の独自的で信念に基づいた確固たる芸術性を見出すことができる。



【若草の竪琴に集まる数羽の小鳥】
伝統的なコントラポストの姿態。春を象徴する女性の姿は伝統的なコントラポスト(重心を片方にのせ、もう片方を自由に遊ばせることで身体全体の流れをS字形にし、左右非対称の均衡美を表現する手法)の姿態で表現されており、溢れんばかりの春の生命感や躍動感を感じさせると共に、女性特有の丸みを帯びた柔らかい肉体も見事に表している。



【伝統的なコントラポストの姿態】

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