Description of a work (作品の解説)
2008/04/27掲載
Work figure (作品図)
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ジスモンダ

 (Poster for Gismonda) 1895年
213×75cm | リトグラフ | 所蔵先複数

アール・ヌーヴォー様式を代表する画家アルフォンス・ミュシャが名声と社会的地位を得るきっかけとなった伝説的ポスター作品『ジスモンダ』。本作に描かれるのは当時、フランスで最も名を馳せていた劇作家ヴィクトリアン・サルドゥーが手がけた、アテネを舞台に物語が進められるキリスト教を主題とした戯曲『ジスモンダ』第三幕中、≪棕櫚の日曜日(復活祭直前の日曜日)の行列に加わるジスモンダ≫の場面である。本作の中で、高齢でありながら圧倒的な人気を博していた舞台女優サラ・ベルナールが扮するジスモンダは、主イエスを迎えるために棕櫚(ヤシ科の常緑高木で、キリスト教では死に対する永遠の生命の勝利を意味する)の葉を右手に持っている(※これは主イエスのエルサレム入城の際に、棕櫚の葉を手にして主イエスを迎えたとされる民衆の姿に由来している)。威厳的でありながら高潔性に満ち、左手を己の胸に沿え、斜め上に視線を向ける本作のジスモンダの凛とした美しさに溢れた姿は、『ジスモンダ』に主演するサラ・ベルナールも絶賛したと伝えられている。本作は1895年12月25日にサラ・ベルナールから「来年1月4日から始まる舞台(ジスモンダ)のポスターを至急制作してほしい」と電話で依頼を受け、わずか数日で制作したとの伝説的な逸話が残されているが、これは依頼を受ける以前(ジスモンダの初演は10月31日)に画家が本戯曲を観賞しており、その中で最も印象に残った姿を本作に反映したとも推測されている。またひとつの作品として考察しても、描かれる対象(本作ではサラ・ベルナール扮するジスモンダ)の特徴を的確に掴んだ表現や全身描写のほか、様式化された装飾的描写や空間的平面性、異国趣味的な表現、極端に縦に伸びた画面構成など、その後、画家が数多く手がける諸作品に共通する画家独自の個性や作品的特徴が、本作の時点でほぼ確立していることも特筆に値する。


【全体図】
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威厳的でありながら高潔性に満ちたジスモンダの表情。本作に描かれるのは当時、フランスで最も名を馳せていた劇作家ヴィクトリアン・サルドゥーが手がけた戯曲『ジスモンダ』第三幕中、≪棕櫚の日曜日の行列に加わるジスモンダ≫の場面である。



【高潔性に満ちたジスモンダの表情】
死に対する永遠の生命の勝利を意味する棕櫚の葉。本作の中で、高齢でありながら圧倒的な人気を博していた舞台女優サラ・ベルナールが扮するジスモンダは、主イエスを迎えるために棕櫚(シュロ)の葉を右手に持っている。



【永遠の生命の勝利を意味する棕櫚】
様式化された装飾的描写。対象の特徴を的確に掴んだ表現や空間的平面性、異国趣味的な表現、極端に縦に伸びた画面構成など、その後に画家が手がける諸作品に共通する独自の個性や作品的特徴が、本作の時点でほぼ確立している。



様式化された装飾的描写
単純化と意匠化が試みられる文字装飾。本作はサラ・ベルナールから「舞台のポスターを至急制作してほしい」と電話で依頼を受け、わずか数日で制作したとの伝説的な逸話が残されているが、これは画家が依頼を受ける以前に本戯曲を観賞し、その中で最も印象に残った姿を映したとも推測されている。



【単純化と意匠化が試みられる文字装飾】

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