Description of a work (作品の解説)
2009/08/23掲載
Work figure (作品図)
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連作≪四つの花−薔薇≫(連作≪花4部作−薔薇≫)


(The Four Flowers "Rose") 1898年
100×41cm | リトグラフ | 所蔵先複数

アール・ヌーヴォー様式の画家アルフォンス・ミュシャの典型的な作例のひとつ『連作≪四つの花−薔薇≫(連作≪花4部作−薔薇≫)』。本作は1896年に手がけられた『連作≪四季≫』の成功によって数多く制作された≪連作(4部作)的装飾パネル≫の中のひとつで、ミュシャが最も得意としていた花がモティーフ(画題)として使用されている。連作≪四つの花(花4部作)≫は、カーネーション(麝香撫子)、本作であるローズ(薔薇)、リリー(百合)、そしてアイリス(菖蒲)の4つの花を各装飾パネルのモティーフとして構成した4点1組の作品群で、画家全ての作品の中でも当時、特に人気が高かったことが知られている。本項では≪ローズ(薔薇)≫をモティーフとした装飾パネルに関して解説をおこなう。画面中央へは、ミュシャらしい非常に端整な顔立ちの理想化された女性像が正面から捉えられた姿で配されており、左右対称的なその姿態は観る者に厳格性や高い格調性、安定性のほか女性の存在感を際立たせる効果を発揮している。さらに女性の周囲へは赤色や桃色、黄色、白色などの花弁を満開にさせた薔薇が軽やかに取り囲むかのような構成で配されている。さらに薔薇の刺々しい茎の曲線が女性と薔薇の花の柔らかな印象をより強めており、全体として美しい調和を奏でている。これらはミュシャの作風の典型的な表現・構成であり、画家のもうひとつの特徴である異国的雰囲気は殆ど感じられないものの、顧客(ユーザー)の好みと流行が意識された非常に高度な完成度を示している点は特筆に値するものである。

関連:『連作≪四つの花−カーネーション≫』
関連:『連作≪四つの花−百合≫』
関連:『連作≪四つの花−アイリス≫』


【全体図】
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高い格調性や安定性を感じさせる正面からの構成。画面中央へは、ミュシャらしい非常に端整な顔立ちの理想化された女性像が正面から捉えられた姿で配されており、左右対称的なその姿態は観る者に厳格性や高い格調性、安定性のほか女性の存在感を際立たせる効果を発揮している。



【格調や安定を感じさせる正面性】
アール・ヌーヴォー様式の特徴的な装飾性。連作≪四つの花(花4部作)≫は、カーネーション、本作であるローズ、リリー、そしてアイリスの4つの花を各装飾パネルのモティーフとして構成した4点1組の作品群で、画家全ての作品の中でも当時、特に人気が高かったことが知られている。



【アール・ヌーヴォーの装飾性】
花弁を満開にさせた薔薇。本作は1896年に手がけられた『連作≪四季≫』の成功によって数多く制作された≪連作(4部作)的装飾パネル≫の中のひとつで、ミュシャが最も得意としていた花がモティーフ(画題)として使用されている。



【花弁を満開にさせた薔薇】

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