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Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

フランス・ハルス Frans Hals
1582-1666 | オランダ | オランダ絵画黄金期

17世紀のオランダ絵画黄金期に活躍した大画家。イタリア・バロックの巨匠カラヴァッジョの追随者であるユトレヒト・カラヴァッジョ派からの影響を受け明瞭な色彩と軽やかなタッチによる人物の表情を自然的描写で捉える独自の画風を確立し、同地を代表する肖像画家となった。また一部の初期作品にはフランドル絵画の巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスの影響も指摘されている。円熟期に差し掛かるとアッラ・プリマと呼ばれる直描き技法を用いた自由闊達な筆づかいへと昇華させていった。1630年代後半には一時、豊かな色彩がモノクローム的表現へと変化するも、晩年期にはアッラ・プリマを用いる印象派的表現から表現主義的表現へと更なる飛躍を遂げ、『養老院の女理事たち』に代表されるよう、対象の内面への深い洞察による克明な人物描写が示されている。なお一時期、この晩年期の作風は老廃からの衰えであると批難を受け評価を下げるも、今日では写実主義の大画家ギュスターヴ・クールベ印象派の巨匠エドゥアール・マネフィンセント・ファン・ゴッホなど数多くの画家を魅了した。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
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聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐 1616年頃
(Banquet of the Officers of the St.George Militia Company)
175×324cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家フランス・ハルス最初期の集団肖像画作品『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐』。画家が34歳頃(1616年頃)に制作されたとされる本作に描かれるのは、画面中央前景の分隊長ニコラース・ファン・デル・メールを始めとした聖ゲオルギウス市警備隊員の晩餐風景的な集団肖像画で、それまで集団肖像画の典型的な三角形(台形)の構図から逸脱し、左部から右部へと高まる斜形構図が用いられているのが最も大きな特徴である。本作において、この斜形構図は非常に重要な位置を意味を持ち、旗持ちが手にする市警備隊の旗によって強調される画面全体の斜形は、観者と描かれる市警備隊を空間的に結びつける決定的な役割を果たし、公式的な役割からこれまでは安定的で凡庸に表現されることが通例であった集団肖像画に生き生きとした躍動感を与えている。また各人物の表情や衣服、豪華な食器に盛られる晩餐、窓から覗く空気感に溢れた遠景などにみられる丁寧で細やかな描写も画家の優れた画才を示すものであり、特筆すべき点のひとつである。なおフランス・ハルスは1627年頃に再度、同警備隊の晩餐を描いた集団肖像画を制作している。

関連:1627年頃『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐』

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リュートを弾く道化師 (Buffoon Playing a Lute) 1623年頃
70×62cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『リュートを弾く道化師』。ユトレヒト・カラヴァッジョ派らの画家によってもたらされた風俗画的な人物の単身像作品の本作であるが、そこにカラヴァッジョ派の劇的なキアロスクーロ(明暗法)の使用の影響は感じさせず、対象(本作では道化師)が見せる一瞬のユーモラスな表情の表現に強い関心を示していることがわかる。またリュートのバラ窓(胴体中央に幾何学模様などでくり抜かれた穴部分)などにみられる軽やかで躍動的なフランス・ハルス独特のタッチは、同時代では強烈すぎるほどの個性となって当時の人々に強い印象を残した。なおフランス・ハルスは同時期にリュート奏者を題材とした本作よりひと周りほど大きい別作品を手がけている(個人蔵)。

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笑う少年 (Laughing Boy) 1620-1625年頃
直径29.5cm | 油彩・画布 | マウリッツハイス美術館(ハーグ)

17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『笑う少年』。直径が30cmに満たない小作でありながら、本作に描かれる少年は生命感に溢れ、豊かで自由闊達な素描的筆使いによって、同時代の画家の作品には見られない、後の印象派的な躍動感と対象の性格に肉薄する迫真性に富んでいる。この時代にフランス・ハルスは、このような風俗画的な人物の単身像作品を数多く手がけており、その中で独自の視点から人が見せる感情豊かな表情、特にユーモラスな瞬間を捉え描写し表現することへの探求心が強く感じられる。また本作左部分にFH(フランス・ハルス)と署名は記されるをほか、トンド(円形)形式で制作されているため、一部からは本作が連作的に描かれた作品群のひとつであると指摘されている。

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庭園の夫婦(イサーク・アブラハムス・マッサとベアトリクス・ファン・デル・ラーンの結婚肖像)
(Married Couple in a Garden) 1622年頃
140×166.5cm | 油彩・画布 | アムステルダム王立美術館

17世紀オランダの巨匠フランス・ハルス初期の肖像画の傑作『庭園の夫婦』。確かな証拠は残されていないものの、本作はおそらくは1622年4月25日におこなった、画家が活躍したハールレムの裕福な商人イサーク・アブラハムス・マッサと市長の娘ベアトリクス・ファン・デル・ラーンの結婚肖像とされている。本作は、これまで他の画家達が典型として描いてきた公式的かつ儀礼的な結婚肖像(参考例:ルーベンス自身による結婚肖像画)とは異なり、夫婦間の愛と結婚の喜びが全面に表現されている。新郎イサーク・アブラハムス・マッサと新婦ベアトリクス・ファン・デル・ラーンは互いに幸福の絶頂期を示すかのように輝かしい満面の笑みを浮かべ寄り添っている。また夫婦の間の樹木に巻きついた葡萄の蔓(つる)は夫婦間の強い愛の絆を意味し、背後の愛の女神ヴィーナスの庭園に描かれる番いの孔雀は愛の象徴とされるなど、画面の至る個所に愛のアトリビュートが示されている。なおハルスは1626年頃(オンタリオ美術館所蔵)1635年頃(サン・ディエゴ美術館所蔵)に新婦イサーク・アブラハムス・マッサの単身肖像画を手がけている。

関連:1626年頃制作『イサーク・アブラハムス・マッサの肖像』
関連:1635年頃制作『イサーク・アブラハムス・マッサの肖像』

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笑う騎士 (Laughing Cavalier) 1624年頃
86×69cm | 油彩・画布 | ウォーレス・コレクション(ロンドン)

17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『笑う騎士』。騎士のモデルは現在も不明であるが誇らしい表情が非常に印象的な本作は、フランス・ハルスがこの頃盛んに描いた風俗的肖像画の中でも特に秀逸な出来栄えをみせる傑作で、速記的な筆跡によって豪華な衣服に刻まれるメリハリの効いた色彩模様の心地よさや、首周りや手首などレース部分の軽やかな表現、騎士の豊かで魅惑的な表情は描かれた当時から現代まで人々を魅了し続けている。なお『笑う騎士』の名称は1880年頃から呼称され始め、19世紀後半に台頭したロマン主義者たちによって名付けられたとされる。

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聖ハドリアヌス市警備隊の士官たちの晩餐 1627年頃
(Banquet of the Officers of the St.Hadrian Militia Company)
179×257.5cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

オランダ絵画黄金期を代表する巨匠フランス・ハルスが描いた集団肖像画作品のひとつ『聖ハドリアヌス市警備隊の士官たちの晩餐』。本作に描かれるのは、1519年にハールレムで聖ハドリアヌスを守護聖人とする火縄銃警備隊として組織された≪聖ハドリアヌス市警備隊≫の晩餐風景で、周到に計算された構図が秀逸な出来栄えを示している。本作で聖ハドリアヌス市警備隊の2分隊は中央を境に斜十字を形作っている。ダイナミックでありながら、2分隊を組織的に分かり易い構図で配するこの対角線的なアイディアは、ハルスの(1616に制作された『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐』からの)集団肖像画制作における著しい成長を示すものである。また空間的な構成を重要視していたそれまでの集団肖像画と比べ、図像としてやや単純化し彫塑的に表現された本作は、画家の表現手法の新たなる変化を表す作品としても重要視されている。なおフランス・ハルスは1633年に聖ハドリアヌス市警備隊の集団肖像画を再度制作していることが知られている。

関連:1633年制作『聖ハドリアヌス市警備隊の士官たち』

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陽気な酒飲み (Merry Drinker) 1628-1630年頃
81×66.5cm | 油彩・画布 | アムステルダム王立美術館

17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『陽気な酒飲み』。他の風俗的肖像画と同様に作品のモデルは不明であるが、古くから名画として人々に親しまれている本作は機嫌よく酒を飲む男の単身像で、フランス・ハルスの最も特徴的な表現手法である、軽やかでリズム感に溢れる筆跡が非常によく示されている。飲酒によって鼻と頬に赤味が差す酒飲みの男の表情は観者と会話するかのように対峙し、観る者を描かれた17世紀前半の世界観へと誘い込む。また比較的大きな筆跡による右手の光彩表現やグラスのハイライトは、鮮明な印象を観者に残すことに成功している。このような表現手法は2世紀先に隆盛することになる印象派の画家たちの手法に極めて酷似しており、フランス・ハルスの手法が如何に前衛的であったかを示すものとしても意義深い表現なのである。

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ジプシー女 (Gypsy Girl) 1628-1630年頃
58×52cm | 油彩・板 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀に活躍した画家フランス・ハルスが1618年頃から1630年頃までおこなった様々な人々の豊かな表情を描写した代表的な作例のひとつ『ジプシー女』。本作のモデルについてフランス・ハルスが特定のジプシー又は娼婦を描いたものであるかは不明であるが、その風貌から1870年に『ジプシー女』と命名され現在まで伝統的にそう呼称されている。このような娼婦的な女性の単身像を描く場合に大多数の画家がしばしば陥る、官能性のみを過大に追求した卑俗に満ちた表現からフランス・ハルスは見事に逸脱し、ユトレヒト・カラヴァッジョ派らの影響である明暗対比の強い陰影法と、画家独自の速記的な筆跡によって、対象が瞬間的に見せる無邪気な性格と表情を鋭く捉え、画面へ描写することに成功している。また本作は≪娼婦的な女性の単身像≫という平凡な画題にもかかわらず、それが持つ社会的な一般性を認識し、良識の範囲内で隠さず表現することはフランス・ハルスが10年近く取り組んでいた風俗画的な単身像の最も魅力的な一面であり、本作でそれは最大限まで昇華され、類稀な傑作として現代まで人々を魅了し続けているのである。

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聖ハドリアヌス市警備隊の士官たち 1633年
(The Officers and Sergeants of the St.Hadrian Civic Guard)
207×337cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

フランス・ハルスを代表する集団肖像画作品のひとつ『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たち』。本作に描かれるのは、1519年にハールレムで聖ハドリアヌスを守護聖人とする火縄銃警備隊として組織された≪聖ハドリアヌス市警備隊≫の士官と下士官たちで、以前(1627年)にハルスが制作した同市警備隊の集団肖像画『聖ハドリアヌス市警備隊の士官たちの晩餐』に比べ、安定的で均整のとれた水平の構図が用いられている。本作においても中央を境に2分隊に分かれていることが示され、中央から左部分に配される隊長ヨハン・クラースゾーン・ローを中心とした集団はより権威的であり、中央から右部分に配される分隊長アンドリース・ファン・デル・ホルンを中心とした集団はより自由を感じさせる。この違いはそのまま2分隊の力関係と雰囲気を表すものと解釈され、本作はフランス・ハルスの鋭い観察眼が示された集団肖像画の典型的な作例としても知られている。

参照:1627年制作『聖ハドリアヌス市警備隊の士官たちの晩餐』

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痩せた警備隊(分隊長レイニール・レアルと副官コルネリス・ミヒースルゾーン・ブラーウの部下たち) 1633-37年頃
(The Meagre Company "The Corporalship of Captain Reynier Reael and Lieutenant Cornelis Michielsz.Blaeuw")
207×337cm | 油彩・画布 | アムステルダム国立美術館

17世紀のオランダ絵画黄金期の画家フランス・ハルスが1630年代に手がけた集団肖像画の代表作『分隊長レイニール・レアルと副官コルネリス・ミヒースルゾーン・ブラーウの部下たち』。通称、『痩せた警備隊』と呼ばれる本作は、フランス・ハルスにとって唯一となるハールレム以外の地アムステルダムからの注文となる作品で、注文主たちが(画家が居住していた)ハールレムではなくアムステルダムで肖像画を仕上げるよう命じるも、フランス・ハルスがそれを拒否した為、右半分を同地の画家ピーテル・コッデが1637年頃に仕上げることになった。本作では中央から左半分強あたりまでがフランス・ハルス本人の筆による部分で、この頃の画家の大きな特徴でもある、色彩のモノクローム的傾向を感じさせる。特に左端の旗手に示されるグレイッシュな衣装の色彩表現は、後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホも弟テオ宛の手紙の中で絶賛している。

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聖ゲオルギウス市警備隊の士官たち 1639年頃
(Officers and Sergeants of the St George Civic Guard Company)
218×421cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家フランス・ハルスが制作した最後の警備隊集団肖像画作品『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たち』。本作に描かれるのは、フランス・ハルスが34歳頃(1616年頃)や45歳頃(1627年頃)にも手がけたハールレムの聖ゲオルギウス市警備隊員たちで、分隊長クウィレイン・ヤンスゾーン・ダマストを始めとした画面前列に描かれる士官らは、ほぼ平行に描かれており、安定性を重んじた古典的な構図が用いられているのが大きな特徴のひとつである。またJ・C・ローとF・ヴォウテウスの姿。J・C・ローは1633年に描かれた『聖ハドリアヌス市警備隊の士官たち』にも、F・ヴォウテウスは1641年頃に制作された『ハールレムの聖エリサベト養護院の理事たち』にも登場している。なお画面後列の下士官の中で左から二番目の男はフランス・ハルスの自画像と推測される。

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ハールレムの聖エリサベト養護院の理事たち 1641年頃
(The Regents of the St.Elizabeth Hospital of Haarlem)
153×252cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

フランス・ハルスが理事たちの集団肖像画を描いた最初の作品『ハールレムの聖エリサベト養護院の理事たち』。本作は画家の活動拠点であったハールレムの養護院≪聖エリサベト養護院≫の理事たちから依頼され制作された集団肖像画で、左からシフェルト・ヴァルモント、サロモン・カウサールト、ヨハン・ファン・クラーレンベーク、理事長ディルク・ディルクスゾーン・デル、フランソワ・ヴォウテウスが描かれている(F・ヴォウテウスはフランス・ハルスが1639年頃に手がけた『聖ゲオルギウス市警備隊の士官たち』にも登場している)。養護院とは、当時自宅でおこなうのが一般的であった病気療養を専用の施設でおこなう目的で、富裕層らが出資し建設された貧民のための福祉施設で、この頃のオランダ繁栄ぶりを象徴するもののひとつであった。この私設の出資者は単なる貧民への慈善目的以外にも、その見返りとして死後の天国への安住の約束というキリスト教義上の目的も含まれている。本作に示される調和のとれた均整的な登場人物の配置や構図と、この頃の画家の特徴であるモノクローム的色彩表現による深い精神性への洞察は、後に描かれる傑作『養老院の女理事たち』に通じる重要な基点としても解釈でき、作品全体を通し見所や研究の余地は多い。

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養老院の理事たち
(The Regents of the Old Men's Alms House) 1664年頃
176.5×256cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家フランス・ハルスが晩年期に描いた最も有名な傑作『養老院の理事たち』。本作はハールレムの養老院を運営する男性理事と女性理事たちの対をなす集団肖像画として制作された作品で、左から秘書、会計士、理事長、理事長補佐、養老院の寮父、養老院監督が描かれている。対画であるハルス随一の傑作『養老院の女理事たち』と比べ、筆さばきはより自由闊達さを見せ、特に養老院監督ヨハネス・ヴァレスの白い服装や手袋の描写に示される。このような印象派的表現は写実主義の大画家ギュスターヴ・クールベ印象派の巨匠エドゥアール・マネフィンセント・ファン・ゴッホなど後世の数多くの画家の作風に影響を与えている。

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養老院の女理事たち
(The Regentesses of the Old Men's Alms House) 1664年頃
170.5×249.5cm | 油彩・画布 | フランス・ハルス美術館

17世紀のオランダ絵画黄金期を代表する画家フランス・ハルスが晩年期に描いた最も有名な傑作『養老院の女理事たち』。本作はハールレムの養老院を運営する男性理事と女性理事たちの対をなす集団肖像画として制作された作品で、左から会計士、理事長補佐、理事長、秘書、そして養老院の寮母と人物が配置されている。さまざま色を混ぜ作り出された十数種類の黒色を使用したモノクローム的な色彩描写や、画面内を闊達に動くフランス・ハルス独特のタッチなども注目すべき点であるが、本作において最も特筆すべき点は、画家の類稀な洞察眼と表現力による女理事たちの情感的描写にある。海洋貿易都市であったハールレムの中でも富裕層である、この裕福な理事たちの内面を追求し荘厳的にも捉えることのできる深みに満ちた人物描写は、当時よく描かれた流行的な集団肖像画としての枠を超え、フランス・ハルスが辿り着いた絵画表現の集大成として非常に高度な完成度を見せている。

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