Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
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ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
Jean-Baptiste-Camille Corot
1796-1875 | フランス | 写実主義・バルビゾン派





19世紀のフランス美術界の中で最も優れた風景画家のひとり。銀灰色を帯びた鈍色に輝く抑制的な色彩・色調を用いて独自の風景様式を確立。繊細な写実性の中に抒情詩的な情緒性を感じさせる風景表現は、当時、絶大な人気を博したほか、ピエール=オーギュスト・ルノワールカミーユ・ピサロベルト・モリゾなど印象派の画家たちに多大な影響を与えた。フランス各地を描いた風景画が主な作品であるが、人物画(肖像画)や神話・宗教的主題でも優れた作品を残している。1796年、パリでラシャ商を営む裕福な家庭(典型的なブルジョワ階級層)に生まれ、1815年、父の意思により後継ぎとして織物問屋に見習いとして勤めるが、画家になる夢を諦めることができなかったコローは夜間、アカデミーシュイスに通う。1822年、両親の説得に成功し画家として生きることを認められる。その後、パリ近郊バルビゾンやフォンテーヌブロー、ブルターニュなどフランス各地を写生旅行する。その間、数回イタリアに旅行し自身の作風を広げる。またサロンへと度々出品し、自然に即した風景画家として次第に注目を集めるようになる。1847年、ロマン主義の巨匠ウジェーヌ・ドラクロワがコローのアトリエを訪問。1850年頃から夢想的な雰囲気を強く感じさせる独自の様式が顕著に示されるようになる。1855年、パリ万国博覧会の美術展で最高賞(グランプリ)に輝く。晩年期まで精力的に制作活動をおこなうほか、1864年にはサロンの審査員にも就任する。1875年、パリで死去。コローはオノレ・ドーミエなど貧しい画家らにも積極的に支援をおこなっており、多くの画家たちから慕われていた。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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真珠の女

 (Femme à la perle)1858-68年頃
70×55cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

19世紀フランス美術界の中で最も優れた画家のひとりジャン=バティスト・カミーユ・コローを代表する人物画作品『真珠の女』。コローが死去するまで手放さず客間に飾っていたことからも、画家自身、非常に重要視していたことをうかがい知ることができる本作は、画家の自宅の近所に住んでいた古織物商の娘ベルト・ゴールドシュミット(16-17歳の頃)をモデル(※本作のモデルに関しては一般的にベルト・ゴールドシュミットとする説が有力視されるが、諸説唱えられており、現在も議論が続いている)に、女性の上半身像を描いた作品である。本作に描かれるベルト・ゴールドシュミットは木の葉の冠を着けているが、額部分の飾りが、あたかも真珠のような輝きを放っているために『真珠の女』と呼称されるようになった。また古くから『コローのモナ・リザ』とも呼称されるよう、寸法を始め、やや斜めに構えるモデルの姿態や右手を上にして組まれる両腕など本作は明らかにルネサンス三大巨匠のひとりレオナルド・ダ・ヴィンチの傑作『モナ・リザ(ジョコンダ)』から着想が得られている(また多くの類似性からコローによるモナ・リザ(ジョコンダ)の独自的解釈とも位置付けられている)。画面中央から上部に描かれるベルト・ゴールドシュミットの表情は、表立って感情を露にしていないものの、その瞳の奥には秘められた強い意思を感じさせる。全体の姿態とそこから醸し出される雰囲気は非常に気品高く、女性的な(曲線的)柔らかさと優美性に溢れており、コロー独特の色数を抑えた褐色的な色調・色彩による対象表現と驚くほどの調和を示している。

関連:レオナルド・ダ・ヴィンチ作 『モナ・リザ(ジョコンダ)』

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モルトフォンテーヌの想い出


(Souvenir de Mortefontaine) 1864年
65×89cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

靄の画家として知られるジャン=バティスト・カミーユ・コロー随一の代表作『モルトフォンテーヌの想い出』。1864年のサロン出品作である本作は、画家がこの頃数多く制作した、名称に『想い出(思い出)』を付ける回顧的作品の中のひとつである。中期から晩年までの約30年間に(画家の)内面を抒情詩的に映したかのような風景画を制作したコローの作品は、当時、最も大衆に人気のあった絵画のひとつであり、本作はその中でも特に抒情的な雰囲気が強く、サロン出展時には大好評を博し、皇帝ナポレオン3世の命により国家が買い上げた作品としても知られている。画面右側では若い女と子供らが、大地に咲く花や朽ちつつある痩せ衰えた木(宿木)を摘んでいる。一方、画面右側には一本の巨木が悠々と枝を広げる。コローが画業の後年に獲得した抑えられた色調による独特の色彩表現や、柔和な幻想性と即興性が混在する大気の描写、銀灰色を帯びた鈍色に輝く独自の光の表現は本作においてもその効果は如何なく発揮されており、観る者にある種の望郷心を抱かせる。また画面の左右で明確な造形的対比を示す本作の写真的な構図展開には、当時、知識人たちの間に浸透し始めたばかりの日本趣味(ジャポニズム)からの影響を指摘する研究者もいる。

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Work figure (作品図)


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