Description of a work (作品の解説)
2008/08/04掲載
Work figure (作品図)
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純潔の喪失:春の目覚め(処女喪失)

 1890-1891年
(La perte du pucelage ou l'éveil du printemps)
90×130cm | 油彩・画布 | クライスラー美術館

偉大なるフランス象徴主義の巨匠ポール・ゴーギャン第3次ブルターニュ滞在期の最後を飾る代表作『純潔の喪失:春の目覚め(処女喪失)』。本作は1889年4月から翌1890年11月まで滞在した第3次ブルターニュ滞在期の末頃から制作が開始された作品で、画家自身が「象徴主義的な大作」と信じ込み、象徴主義者たちへ向けて意図的に手がけた(発信した)作品とも伝えられている。画面手前へ当時、恋人関係にあり画家の子を身篭っていた20歳の愛人ジュリエット・ユエをモデルに横たわる裸婦が描かれ、裸婦の傍らには(裸婦が抱き寄せるように)一匹の狐が配されている。この狐は淫猥や誘惑を象徴していると考えられており、裸婦が手にする一本の赤い筋の入ったシクラメンの花は純潔の喪失(処女喪失)を表している。また横たわる裸婦の表現にはエドゥアール・マネの問題作『オランピア』や、エミール・ベルナールの代表作『愛の森のマドレーヌ』との関連性が指摘されているほか、裸婦の上に描かれる草むらの段段した先端の不安定的な様子は処女喪失への不安感を意味していると推測されている。さらにブルターニュ地方ル・プルデュの情景が描かれる背景の中の道には人々の集団の列が描かれており、この一団はブルターニュ地方でおこなわれる結婚式と関連付けられている(これは本画題への皮肉的な意味合いも含んでいる)。色彩表現を考察してもクロワゾニスムを用いて描かれる各構成要素の意味や内面を的確に表すような色彩が用いられており、特に画面中景の燃えるように赤々とした田園風景と、その上下の寒色による強烈な色彩的対比は本作の非現実的で夢裡のような幻想性をより強調させる効果を発揮している。なお本作の解釈についてブルターニュ地方の民話と関連つけた説を始め諸説唱えられており、現在も議論が続いている。


【全体図】
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横たわる裸婦の無表情的な表情。本作は1889年4月から翌1890年11月まで滞在した第3次ブルターニュ滞在期の末頃から制作が開始された作品で、画家自身が「象徴主義的な大作」と信じ込み、象徴主義者たちへ向けて意図的に手がけた(発信した)作品とも伝えられている。



【横たわる裸婦の無表情的な表情】
裸婦の傍らに寄り添う一匹の狐。画面手前へ当時、恋人関係にあり画家の子を身篭っていた20歳の愛人ジュリエット・ユエをモデルに横たわる裸婦が、その傍らには(裸婦が抱き寄せるように)一匹の狐が配されており、この狐は淫猥や誘惑を象徴していると考えられている。



【裸婦の傍らに寄り添う一匹の狐】
裸婦が右手で握る一輪のシクラメン。横たわる裸婦の表現にはマネの問題作『オランピア』や、エミール・ベルナールの代表作『愛の森のマドレーヌ』との関連性が指摘されているほか、裸婦の上に描かれる草むらの段段した先端の不安定的な様子は処女喪失への不安感を意味していると推測されている。



【裸婦が右手で握る一輪のシクラメン】
背景の中の道に描かれる人々の列。ブルターニュ地方ル・プルデュの情景が描かれる背景の中には人々の集団の列が描かれており、この一団はブルターニュ地方でおこなわれる結婚式と関連付けられている(これは本画題への皮肉的な意味合いも含んでいる)。



【背景の中の道に描かれる人々の列】

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