Description of a work (作品の解説)
2004/09/01掲載
Work figure (作品図)
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オランピア

 (Olympia) 1863年
130.5×190cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

画家エドゥアール・マネが世に出した最もスキャンダラスな作品『オランピア』。本作はルネサンスヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノの傑作『ウルビーノのヴィーナス』に直接的な構図的着想を得て、選定基準が緩められた1865年のサロンに、当時の娼婦に多く用いられた通称である『オランピア』の名称で出品された作品である。しかし当時は『ウルビーノのヴィーナス』に基づくとは知られていなかった為に、サロンに入選するも、露骨に娼婦を描いた卑猥な作品として1863年の『草上の昼食』以上の大きなスキャンダルと物議を醸した。しばしば新古典主義の画家で当時最高のアカデミー画家のひとりカバネルの代表作『ヴィーナスの誕生』(『草上の昼食』落選時の入選作品で当時の皇帝ナポレオン3世が購入した)との関連性も指摘される本作は、『草上の昼食』同様、ヴィクトリーヌ・ムーランを娼婦のモデルに、おそらく植民地からの入植者である黒人女性ロールを召使のモデルに描かれれている。この露骨な裸婦像の、神話的アプローチ以外では認めていなかった当時の裸婦表現の風潮とは明らかに異なる現実過ぎた裸婦表現は、人々に強くエロスと背徳感を抱かせ、混乱させたのである。さらに近年の研究によって、画家の友人であった詩人ボードレールの『現代生活の画家』中に記される芸術家の娼婦の比較のくだり「芸術家は娼婦と同様、自らの身体やいかなる手法を用いても、観る者の注意を惹きつけなければならない」から、オランピアを画家自らに重ねて描いたとも推測されている(これはオランピアが身に着ける腕輪が、マネの毛髪が入れられた画家の母親の腕輪であることとも関連付けられる)。またオランピアの肢体が纏う最小限の装飾は、観る者によりこの女性が娼婦であることを印象付け、片足の脱げたサンダルは処女の喪失を表しているとされ、オランピアの足下の黒猫は自由の象徴であり、立てられた尾は高ぶる性欲を意味している(典拠となった『ウルビーノのヴィーナス』では従順を象徴する犬が描かれている)。

関連:ティツィアーノ作 『ウルビーノのヴィーナス』
関連:カバネル作 『ヴィーナスの誕生』


【全体図】
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観者を視線を交わす艶めかしいオランピアの表情。本作はルネサンスヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノの傑作『ウルビーノのヴィーナス』に直接的な構図的着想を得て、選定基準が緩められた1865年のサロンに、当時の娼婦に多く用いられた通称である『オランピア』の名称で出品された作品である。



【艶めかしいオランピアの表情】
オランピアの肢体が纏う最小限の装飾。近年の研究によって、画家の友人であった詩人ボードレールの『現代生活の画家』中に記される芸術家の娼婦の比較から、オランピアを画家自らに重ねて描いたとも推測されており、オランピアが身に着ける腕輪が、マネの毛髪が入れられた画家の母親の腕輪であることとも関連付けられる。



【オランピアの肢体が纏う最小限の装飾】
画面左の尾を立てた黒猫。片足の脱げたサンダルは処女の喪失を表しているとされ、オランピアの足下の黒猫は自由の象徴であり、立てられた尾は高ぶる性欲を意味している(典拠となったティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』では従順を象徴する犬が描かれている)。



【画面左の尾を立てた黒猫】
娼婦の信奉者から届けられる花束をもつ召使の黒人女性。『草上の昼食』同様、ヴィクトリーヌ・ムーランを娼婦のモデルに、おそらく植民地からの入植者である黒人女性ロールを召使のモデルに描かれれている本作の現実過ぎた露骨な裸婦表現は、人々に強くエロスと背徳感を抱かせ、混乱させた。



【花束をもつ召使の黒人女性】

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