Description of a work (作品の解説)
2008/10/01掲載
Work figure (作品図)
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アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人)


(Au Cafe a Arlés (Mme Ginoux)) 1889年
73×92cm | 油彩・画布 | プーシキン美術館(モスクワ)

後期印象派の最も重要なのひとり画家ポール・ゴーギャンのアルル滞在時代を代表する作品のひとつ『アルルの夜のカフェにて(ジヌー夫人)』。本作はフィンセント・ファン・ゴッホの招きにより1888年10月23日から二ヶ月間、滞在し共に制作活動をおこなった南仏の町アルルで制作された作品で、画家のゴッホの作品に対する解釈が示されている。本作はゴッホの二つの作品からの引用によって構成されており、前景で肘を突きながら椅子に座るカフェ・ド・ラ・ガールの主人の妻マリー・ジヌーの姿は『アルルの女(ジヌー夫人)』に、本場面の舞台となる夜のアルルのカフェは『夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)』に基づいている。ゴーギャン自身もエミール・ベルナールへの手紙の中で「僕は、フィンセントが好きな、しかし僕はそれほど好きではない(労働者階級が集う)カフェを描いた。この主題は基本的に僕のものではないし、粗野で田舎染みた地方独特の色彩は僕には合わない。」と述べているよう、本作はゴーギャンの作品としてはいささか異例的な作品ではあるが、それでも本作に示されるゴッホ作品への解釈は非常に興味深い点である。画面右側に配されるジヌー夫人の姿は画家自身も「かなり良く仕上げられているが、少し行儀が良すぎる。」と語っているよう、薄く柔らかい笑みを浮かべながら、やや気だるそうにテーブルへ肘を突きながら座っている。その背後には(中景として)一台のビリヤード台が配され、画面奥のカフェに集う客や娼婦らとの関係性を保っている。画面左側からは青白い煙草の煙がたなびき、夜のカフェの独特の雰囲気を強調する効果を発揮している。ゴッホの作品ではゴッホ自身の孤独的な感情や心理と重ねたかのような(描く)対象への肉薄が鮮明に表現されているものの、本作にはそれらが感じられず、むしろ(描く)対象と一定の距離感を保つことで絵画としての調和と均衡を導いている。これらはゴッホが感情的な人間で絵画に対しても同様のアプローチをおこなっていたのに対し、ゴーギャンが基本的には客観的(分析的)でプリミティブなアプローチあるという根本的かつ決定的な違いの明確な表れであり、どこか後の悲劇(耳切り事件)を予感させる。

関連:ゴッホ作 『アルルの女(ジヌー夫人)』
関連:ゴッホ作 『夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)』


【全体図】
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薄く柔らかい笑みを浮かべながら、やや気だるそうにテーブルへ肘を突きながら座るジヌー夫人。画家自身も「この主題は基本的に僕のものではないし、粗野で田舎染みた地方独特の色彩は僕には合わない。」と述べているよう、本作はゴーギャンの作品としてはいささか異例的な作品ではあるが、それでも本作に示されるゴッホ作品への解釈は非常に興味深い点である。



【やや気だるそうに座るジヌー夫人】
画面奥に描かれる娼婦と客の姿。ゴッホの作品ではゴッホ自身の孤独的な感情や心理と重ねたかのような(描く)対象への肉薄が鮮明に表現されているものの、本作にはそれらが感じられず、むしろ(描く)対象と一定の距離感を保つことで絵画としての調和と均衡を導いている。



【画面奥に描かれる娼婦と客の姿】
中景として描かれるビリヤード台。本作はゴッホの二つの作品からの引用によって構成されており、前景で肘を突きながら椅子に座るカフェ・ド・ラ・ガールの主人の妻マリー・ジヌーの姿は『アルルの女(ジヌー夫人)』に、本場面の舞台となる夜のアルルのカフェは『夜のカフェ』に基づいている。



【中景として描かれるビリヤード台】

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