Description of a work (作品の解説)
2008/09/15掲載
Work figure (作品図)
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夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)


Le Café de nuit (Place Lamartine, à Arles) 1888年
70×89cm | 油彩・画布 | イェール大学付属美術館

後期印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホのアルル滞在期における代表的作品のひとつ『夜のカフェ(アルルのラマルティーヌ広場)』。本作はゴッホが友人アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの勧めもあり強烈な陽光を求め1888年2月に訪れていた南仏アルルのラマルティーヌ広場に面するカフェの店内を描いた作品である。1888年の9月に制作された本作についてゴッホ自身が「僕がこの作品で表現しようとしたのは、夜のカフェに潜む邪悪な力だ。この場所は人を破滅させることも、発狂させることも、犯罪を犯させることもできる。繊細な桃色や血の赤色、農赤色、そして地獄の様な雰囲気を醸し出す黄色と緑色、青色と緑色に対し、淡い緑色と激しい薄黄色の対比によって僕はそれを表現したのだ」と書簡で述べているよう、本作で最も観る者の印象に残るのは強烈な色彩と強調される遠近法によって表されるカフェの退廃的な雰囲気の描写にある。画面中央に配される長方形のビリヤード台を中心に周囲へ薄青色の四角いテーブルが置かれており、その中の数席には酒に酔う客たちが描き込まれている。さらに画面上部では天井から吊るされる4つのランプが煌々と灯っており、人工的な光によって血のような赤い壁や木製の黄色い床面を浮かび上がらせている。そして画面奥正面の壁には画家の孤独的な心理を表すような時計が象徴的に掛けられているほか、画面手前(左下)には画家が好んで描いた椅子が数脚、無造作に配されている。アルルで共に制作活動をおこなったポール・ゴーギャンは労働者階級の人々が集うこのようなカフェは好まなかったものの、本作ではゴッホの夜のカフェへの高い関心と興味が顕著に示されている。


【全体図】
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煌々と人工的な光を放つランプ。南仏アルルのラマルティーヌ広場に面するカフェの店内を描いた本作の画面上部では天井から吊るされる4つのランプが煌々と灯っており、血のような赤い壁や木製の黄色い床面を浮かび上がらせている。



【煌々と人工的な光を放つランプ】
画面中央に配される重々しいビリヤード台。本作についてゴッホ自身が「僕がこの作品で表現しようとしたのは、夜のカフェに潜む邪悪な力だ。この場所は人を破滅させることも、発狂させることも、犯罪を犯させることもできる〜色の対比によって僕はそれを表現したのだ」と書簡で述べている。



【画面中央に配されるビリヤード台】
酒に酔い潰れる二人の労働者階級の男。本作で最も観る者の印象に残るのは強烈な色彩と強調される遠近法によって表されるカフェの退廃的な雰囲気の描写にあり、本作ではゴッホの夜のカフェへの高い関心と興味が顕著に示されている。



【酒に酔い潰れる労働者階級の男たち】
画家が生涯中に好んで描いた椅子。画面奥正面の壁には画家の孤独的な心理を表すような時計が象徴的に掛けられているほか、画面手前(左下)には画家が好んで描いた椅子が数脚、無造作に配されている。



【画家が生涯中に好んで描いた椅子】

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