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Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

クロード・ロラン Claude Lorrain
1600-1682 | フランス | 古典主義

17世紀フランス古典主義を代表する風景画の巨匠。主にローマで活躍。大気感が漂う詩情性豊かな理想的風景描写と、北方の風景画様式に倣う明暗対比の強い細密的な風景描写を融合させ、独自の風景画様式を確立。またクロード・ロランは光の表現や抒情性を感じさせる表現にも秀で、その傑出した風景画は、教皇や枢機卿、司祭、有力な商人など、当時のローマの著名な(地位や教養のある)人物たちを魅了し、彼ら数多くの注文を受けるほか、自らの作品約200点を線描で写し、画帳≪真実の書≫として記録を残している。1600年シャマーニュに生まれ、幼くして孤児となるも、1612年から木版画家であった兄から絵画を学んだと推測される。1613年頃、ローマへと向かい、同地で風景画家アゴスティーノ・タッシに師事。その後、2年間ほどナポリに赴くも、ローマでタッシから影響を受けながら修行を積む。1625年にヴェネツィア経由でナンシーへと戻り教会のためのフレスコ画を制作するも、2年後の1627年には再び(マルセイユ経由で)ローマに向かっている。以後、ローマで精力的に活動をおこない、同時代を代表する風景画家として大成した。クロード・ロランの様式には、アンニーバレを始めとした16世紀後半から17世紀初頭までのバロック・ボローニャ派の画家であったカラッチ一族やドメニキーノ、そしてドメニキーノらと同時期にローマで活躍したドイツ出身の画家アダム・エルスハイマーの影響が顕著に感じられるほか、巨匠ラファエロティツィアーノ、同朋の画家ニコラ・プッサンなどの作品も参考にされている。1682年ローマで没、享年82歳。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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カンポ・ヴァチーノの眺め
(Paysage avec la Campo Vaccino) 1636年
56×72cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀フランス古典主義時代の風景画の巨匠クロード・ロラン作『カンポ・ヴァチーノの眺め』。本作は画家が一時的にフランスへと帰国するも、2年間で再びローマへと戻ってきた1627年から約10年後の1636年に、ローマにある古代ローマ時代の遺跡≪フォロ・ロマーノ≫近郊の風景を描いた作品で、本作はクロード・ロラン作品の中で幾つか確認されている特定の景観を描いた風景画の中でも特に代表作としてしばしば挙げられる。フォロ・ロマーノは古代ローマ時代には時の権力者らによって神殿や凱旋門など記念碑的建造物が数多く建てられるも、9世紀頃には完全に廃墟となった遺跡で、画面左端にはフォロ・ロマーノの代表的な建造物のひとつ「セプティミウス・セウェルスの凱旋門」が描かれており、威風堂々とした凱旋門の質感や存在感が余すところなく表現されている。一方、遠景には最も著名なローマの遺跡のひとつで、かつてローマ帝政期に建造された円形闘技場である≪コロッセオ≫の一部分が見え、陽光に照らされ輝きを帯びた、空気的遠近感と大気感の表現が秀逸の出来栄えを示している。また前景や中景の広場には大人数の人々が描かれ、本作に動感と物語性を与える要因のひとつとなっている。

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川から救われるモーセのある風景
(Landscape with the Finding of Moses) 1639-1640年頃
209×138cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

フランス古典主義における風景画の巨匠クロード・ロランの代表作『川から救われるモーセのある風景』。本作と同じくマドリッドのプラド美術館に所蔵されている作品『川から救われるモーセのある風景』と対画である本作は、当時のスペイン国王フェリペ四世がマドリッドのブエン・レティロ宮のために注文し制作された装飾画8点の中の1点である。本作に描かれる主題は、旧約聖書出エジプト記 1-2章に記される、イスラエル人の人口が増加の一途を辿り、次第に脅威を感じるようになったファラオがイスラエル人の男児の赤子を殺すよう命令するも、モーセの母ヨケベドは、三ヶ月間隠し育てた我が子の身の危険を察して、産まれて間も無いモーセを葦舟に乗せてナイル川に流すと、ナイル川下流の水辺で水遊びをしていたファラオの王女が幼児モーセを発見し、モーセを王子として育てることを決意する場面≪川から救われるモーセ(モーセの発見)≫で、ナイル川や石橋を始め、画面全体を覆う優しく穏やかな陽光の表現は、本来描くべきエジプトの情景とは異なり、画家が滞在していたローマの情景を基に描かれているものの、その理想化された非常に美しい情景描写は、観る者を圧倒し本主題の世界観へと惹き込む。本作では緻密な描写に代表されるクロード・ロラン初期の技巧的様式から逸脱し、成熟期にみられる統一的な極めて質の良い風景画として高い完成度を示している。

関連:対画 『聖パウラが上陸するオスティアの港』

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聖パウラが上陸するオスティアの港 1639-1640年頃
(Port d'Oside avec l'embarquement de sainte Paule)
211×145cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

フランス古典主義における風景画の巨匠クロード・ロランの代表作『聖パウラが上陸するオスティアの港』。本作と同じくマドリッドのプラド美術館に所蔵されている作品『川から救われるモーセのある風景』と対画である本作は、当時のスペイン国王フェリペ四世がマドリッドのブエン・レティロ宮のために注文し制作された装飾画8点の中の1点で、宗教的主題でありながら、理想化された情緒豊かな海景と陽光の表現は秀逸の出来栄えを示している。本作に描かれる主題は、ローマ出身の裕福な貴族で、夫の死後、正統的信仰・禁欲主義を擁護したダルマチア人聖書学者である聖ヒエロニムスに師事し、高い教養からベツレヘムで修道院指導し教会公認訳となる聖書のラテン語訳(ウルガタ)を完成させ、聖ヒエロニムスの有力な弟子となった聖女≪聖パウラ≫が、古代ローマの都市オスティアに上陸する場面≪聖パウラが上陸するオスティアの港≫で。この主題にした作例は他にあまりなく、本作は非常に珍しい主題を描いた作品である。本作の大気的な海景を包む陽光の壮大で詩情的な描写は、クロード・ロランの風景画様式の典型であり、本作はその表現において画家中期の作例の中でも、最も優れた作品のひとつとして知られる。また堅硬性と洗練性の両側面を感じさせる古代的な建築物の描写や、海上に反射する輝く光の表現、画面右部分の樹木にかかる湿潤な靄の独特な表現なども本作の大きな見所のひとつである。

関連:対画 『川から救われるモーセのある風景』

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タルスに上陸するクレオパトラのいる風景 1643年
(Paysage avec débarquement de Cléopatre à Tarse)
119×170cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代の最も偉大な風景画家クロード・ロランの傑作『タルスに上陸するクレオパトラのいる風景』。本作は帝政期ローマのギリシア人思想家・著述家であるプルタルコスの有名な著作≪英雄伝≫に典拠を得た≪タルス(タルソスとも呼ばれる)に上陸するクレオパトラ≫の場面を描いた作品で、画家独特の風景画様式が顕著に示されている。画面下部やや右寄りに将校デリウスや六人の侍女を連れた女王クレオパトラが、さらにその右側には女王クレオパトラを迎える古代ローマの政治家・軍人マルクス・アントニウスが描かれている。この≪タルスに上陸するクレオパトラ≫は、紀元前41年に起こった、古代ローマの著名な政治家ユリウス・カエサルが暗殺された後、エジプトとローマの同盟関係に混乱が生じたため、正常化を図る目的で女王クレオパトラがアントニウスに接近したという場面であり、後に両者は結婚している。非常に詩情的で情感豊かに描かれる本作の、おぼろげでありながら明確な存在感を示す大気感や、高度な写実性による帆船や古代的建築物の描写、輝くような色彩による光の表現などに画家の溢れる画才が感じられる。なお本作同様ルーヴル美術館が所蔵する『サムエルに油を注がれるダヴィデ』と対画であることが知られている本作は、描かれた52年後の1695年、縦に2cm、横に22.5cm画面を拡大していることが確認されている。

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クリュセイスを父親のもとへ送り届けるオデュッセウスのいる港の風景
(Port avec Ulysse rendant Chryséis à son père) 1644年
119×150cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

クロード・ロランの代表作『クリュセイスを父親のもとへ送り届けるオデュッセウスのいる港の風景』。本作同様ルーヴル美術館に所蔵される『パリスとオイノネのいる風景』と対画であることが知られており、古代ギリシアの伝説的詩人ホメロスが手がけた叙事詩≪オデュッセウス≫と≪イリアス≫に範を取られる古代ローマの大詩人ウェルギリウスによる(全12巻から構成される)叙事詩≪アエネイス(前半1-6巻部分はオデュッセウスに、後半7-12巻部分はイリアスの投影が顕著に示される)≫に典拠を得て制作された作品である本作は、ギリシア軍に捕らえられていたトロイア王妃アンドロマケの親族の娘(巫女)クリュセイスが、アポロンの怒りによってギリシア勢に蔓延していた伝染病(アポロンの矢)を鎮めるために、クリュセイスの父親である神官クリュセースのもとへ返される場面が描かれている。本作は画家が1640年代に完成させた、所謂≪英雄的風景≫様式で描いた典型的な作品のひとつであるが、画面中央の帆船を中心として放射状に広がる陽光の描写や、遠洋海景部分(奥行き)の開放感とは対照的な左右の古代的建築物による閉塞的な構成、それらによる幾何的な空間性質を感じさせる構図や場面展開は、観る者の目を奪う画家の独特の特筆すべき表現であり、本作の最も大きな魅力のひとつでもある。

対画:ルーヴル美術館所蔵 『パリスとオイノネのいる風景』

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パリスの審判のある風景 1645-1646年
(Paysage avec le jugement de Pâris)
112×149cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

フランス古典主義の風景画家クロード・ロランの代表作『パリスの審判のある風景』。本作は、争いの女神エリスが最も美しい女神が手にするよう、神々の饗宴に投げ込んだ黄金の林檎をめぐり、我こそはと立ち上がった、ユピテルの正妻で最高位の女神ユノと、愛と美の女神ヴィーナス、知恵と戦争の女神ミネルヴァの中から最も美しい女神を、主神ユピテルにより神々の使者メルクリウスの介添でトロイア王国の王子である羊飼いパリスが選定し審判する、古来より最も人気の高かった神話のひとつ≪パリスの審判≫の場面が描かれる風景で、ロラン独特の詩情性に富んだ理想的風景描写や場面描写は秀逸の出来栄えである。また大気的な空気感や、閉鎖的な近景と対照的な遠景の広大な空間構成、柔和で温順な光彩表現、画面中央に配される巨木の存在感、そして女神らがまとう衣服の豊かで鮮やかな色彩なども本作の大きな見所であるほか、羊飼いパリスが連れる数頭の羊達に射し込む複雑な光と陰影の描写も注目に値する。なお本主題≪パリスの審判≫では、羊飼いパリスが人間界における最高の美女スパルタ王妃ヘレネをパリスに与えると約束した愛と美の女神ヴィーナスを選んだため、スパルタ王国とトロイア王国の間で戦争が起こったとされている。

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上陸するシバの女王のいる風景 1648年
(Port avec l'embarquemnt de la reine de Saba)
148×194cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

フランス古典主義における風景画の巨匠クロード・ロランの代表作『上陸するシバの女王のいる風景』。カミッロ・パンフィーリ枢機卿のために制作された本作に描かれるのは、旧約聖書列王記上10章に記される、師士ソロモン王の名声を耳にしたシバの女王が、己が抱える難題をソロモンに問う為に(又はその知恵を試そうと)香料や金などの財宝を積み、師士ソロモンの住まうエルサレムへ訪れた場面≪上陸するシバの女王≫で、夜明けの陽光が射し込む海上の表現や、朝靄が醸し出す大気感、堅質な古代風の建築物など画家の得意とした海景図の典型的な特徴が示されている。一般的に≪ソロモン王とシバの女王(シェバの女王)≫を主題とした絵画であれば、イコノグラフィー(図像学)としてシバの女王が玉座の間でソロモン王と対峙する場面が描かれるものであり、画家が本作で描いたエルサレムへの上陸場面は珍しい図像展開である。なお本作はロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する『イサクとリベカの結婚(踊る人物のいる風景)』と対画であることが知られている。

関連:対画 『イサクとリベカの結婚(踊る人物のいる風景)』

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デロス島のアイネイアスのいる風景
(Paysage avec Enee a Delos) 1672年
99.7×134cm | Oil on canvas | National Gallery, London

クロード・ロランが手がけた神話主題による風景画の代表的な作品のひとつ『デロス島のアイネイアスのいる風景』。本作の典拠はギリシャ神話に登場するトロイ戦争時のトロイア方の英雄≪アイネイアス≫で、古代ローマの代表的詩人ウェルギリウスの叙事詩に基づく連続六作品中の最初のもの。

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