Description of a work (作品の解説)
2010/07/09掲載
Work figure (作品図)
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神秘の花

 (Fleur mystique) 1890年頃
253×137cm | 油彩・画布 | ギュスターヴ・モロー美術館

19世紀フランス絵画界における孤高なる象徴主義の巨匠ギュスターヴ・モロー晩年期を代表する宗教的作品『神秘の花』。画家が若き日に滞在したイタリアでの過去の偉大なる巨匠たちの模写に基づいた本作は、玉座に在る≪聖母マリア≫を主題とした作品である。本作の画面上部中央には、聖母マリアの象徴であり純潔を意味する白百合(※四大天使のひとり大天使ガブリエルが処女マリアの許に現れ、その身に神の子イエスを宿すことを告げる≪受胎告知(処女懐胎)≫の際、アトリビュートとしてマリアへ差し出す花としても知られる)の玉座に座りながら十字架を掲げる聖母マリアが凛とした堂々たる姿で配されており、その頭上(聖母マリアの左上付近)には父なる神と一体として考えられる聖霊(白鳩)が描き込まれている。また聖母マリアが座する玉座の白百合の茎を地面へと辿るとキリスト教の教理に殉じた幾多の聖人(殉教者)たちが細々と描かれており、この花咲く玉座の白百合が殉教者たちを生命の糧としていることを表している。この図像(イコノグラフ)の解釈としては、死してなお巨大な白百合として神(白鳩の姿で描かれる聖霊や神の子イエスを宿す器たる聖母マリア=神の母)と共に在るという≪キリスト教(カトリック)の勝利≫とする説が最も一般的であり、本項でもそれに準じることとする。



【全体図】
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十字架を掲げる聖母マリア。画家が若き日にイタリアでおこなったダ・ヴィンチミケランジェロラファエロ、ソドマ、ヴェロネーゼコレッジョティツィアーノマンテーニャヴァン・ダイクホルバインなど過去の偉大なる巨匠たちの模写に基づいた本作は、玉座に在る≪聖母マリア≫を主題とした作品である。



【十字架を掲げる聖母マリア】
聖母の頭上に現れる聖霊。本作の画面上部中央には、聖母マリアの象徴であり純潔を意味する白百合の玉座に座りながら十字架を掲げる聖母マリアが凛とした堂々たる姿で配されており、その頭上(聖母マリアの左上付近)には父なる神と一体として考えられる聖霊(白鳩)が描き込まれている。



【聖母の頭上に現れる聖霊】
巨大な白百合の玉座。聖母マリアが座する玉座の白百合の茎を地面へと辿るとキリスト教の教理に殉じた幾多の聖人(殉教者)たちが細々と描かれており、この花咲く玉座の白百合が殉教者たちを生命の糧としていることを表している。



【巨大な白百合の玉座】
玉座の糧となる殉教者たち。本作は一般的に死してなお巨大な白百合として神(白鳩の姿で描かれる聖霊や神の子イエスを宿す器たる聖母マリア=神の母)と共に在るという≪キリスト教(カトリック)の勝利≫と解釈される。



【玉座の糧となる殉教者たち】

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