Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us
home Information Collection Data Communication
Collectionコレクション
homeページCollection常設展示ルネサンス芸術
Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

ヴェロネーゼ Paolo Veronese
1528-1588 | イタリア | 盛期ルネサンス ヴェネツィア派

ティントレットとならぶ16世紀ヴェネツィア派を代表する画家。ヴェローナの画家アントニオ・バディーレの下で修行し、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノや、エミリア派の画家であったコレッジョら多くの画家から影響を受けながら、独自の作風を確立していった。人物の複雑なポーズ、極端な短縮法などマニエリスム的な構成を要しながらも、ティントレットとは対照的に明暗対比を抑え、補色を並置するなど、画面の中に明るい光彩を置くことを得意とし、それは同時にヴェロネーゼの最も優れた個性となった。また宗教画の中にさえ世俗性を表現することも画家の大きな特徴で、その世俗性が原因となり、代表作『レヴィ家の饗宴』では主題の解釈が物議を巻き起こし、審問に召喚されるというスキャンダルさえ起こした。真作が約300点、帰属作品は400点を超えている。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
拡大表示
ヴェネツィアへ贈り物を捧げるユノ
(Giunone versa doni su Venezia) 1553-1554年
365×147cm | 油彩・画布 | パラツィオ・ドゥカーレ

16世紀ヴェネツィア派の大画家ヴェロネーゼ初期を代表する傑作『ヴェネツィアへ贈り物を捧げるユノ』。元々16世紀中頃にポンキーノへ委嘱された仕事で、協力者としてゼトッティと共に加わったヴェネツィアのパラツィオ・ドゥカーレ≪十人委員会の間≫の装飾画のヴェロネーゼが手がけた三点のうちのひとつである本作は、当時強大な都市国家であったヴェネツィアを称え、その絶大な力を誇示する内容として、全能の神であるユピテルの正妻で最高位の女神でもある≪ユノ≫が、ヴェネツィア(本作ではヴェネツィアが擬人化され描かれている)へ富の権力の象徴である黄金と王冠を、勝利と栄光の象徴として月桂樹の冠を天上より授ける場面が描かれている。画面全体を支配するヴェネツィア派独特の明瞭な色彩による光の表現と、短縮法を用いた複雑な人物のポーズを見事に融合させ、本作の主題≪ヴェネツィアの栄光≫を、新鮮で押し迫るような迫力で表現した。またヴェロネーゼは生涯にわたりパラツィオ・ドゥカーレの装飾画を手がけているが、本作はその最初の作品としても知られている。なおヴェロネーゼは≪十人委員会の間≫へ本作のほか、『青年と老人』と、ナポレオンによってパリへと運ばれた現ルーヴル美術館所蔵の『悪徳を雷で打つユピテル』を同時期に描いている。

関連:ルーヴル美術館所蔵『悪徳を雷で打つユピテル』

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
博士たちと議論するキリスト (Disputa di Gesu coi dottori)
1555-1556年
236×430cm | Oil on canvas | Museo del Prado, Madrid

ティツィアーノなどヴェネツィア派の画家の影響を受けながら独自の作風を確立したことがよく表れている作品『博士たちと議論するキリスト』。新約聖書のルカ福音書に記される≪博士たちと議論するキリスト≫を主題に描いた本作は、円熟を帯びる前の主張の青い色使いや構図の中にも、画家の明るい未来を見出すことができる。新約聖書のルカ福音書では、ユダヤ教の三大祝祭のひとつ、過越し祭りの日に両親とエルサレムに訪れた際、キリストがひとりで神殿に赴き、老いた老学者と難解な神学を議論したとされている。また過越し祭りとは、ユダヤ人の出エジプトを記念して春に行われ、贖罪のために小羊の犠牲をささげ、種なしパンを食べて祖先の艱難を偲ぶ祭りである。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
女性の肖像(ラ・ヴェッラ・ナーニ) 1560-1565年頃
(Ritratto di gentildonna (La Bella Nani))
119×103cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ティントレットと並び称される、ティツィアーノ以後の16世紀ヴェネツィア派の巨匠ヴェロネーゼが残した数多くの肖像画作品の中で、最も優れた傑作とされる一枚『女性の肖像(ラ・ヴェッラ・ナーニ)』。本作は、ヴェネツィアの名家ナーニ家が旧蔵していたことから伝統的に≪ラ・ヴェッラ・ナーニ(美しきナーニ)≫と呼称されるも、描かれた人物がナーニ家の者であるかは確証を得ていない。それでもなお、本作が画家が残す数多くの肖像画の中で傑作中の傑作と呼ばれるのは、ヴェロネーゼの類稀な感性と技量によって生み出される≪ラ・ヴェッラ・ナーニ≫の豊潤で官能性に溢れた麗しい表現に他ならない。豪華な衣服に身を包む≪ラ・ヴェッラ・ナーニ≫の胸部を中心に光が拡散し、ヴェネツィア派独自の豊かで繊細な色彩によって丹念に描写されるその表現が、やや俯き加減に傾けられた端正な顔の中に描かれる物思いに耽るかのような、悩ましくも官能的な瞳の表情と相まって≪ラ・ヴェッラ・ナーニ≫が、本作の中で観者と対話するかの如く独自の世界を創り出しているのである。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
ヴィラ・バルバロ (Villa Barbaro) 1561年
サイズ不詳 | Fresco | バルバロ家別荘(マゼール)

弟子とともに描かれたヴェロネーゼの傑作であるバルバロ家別荘の連作壁画作品『ヴィラ・バルバロ』。楽器を持つ女性像や扉を開けて覗き込む人物などを描いた≪十字形の間≫、ローマ神話の酒と豊穣の神バッコスを描いた≪バッコスの間≫、愛や調和の寓意を描く≪夫婦愛の間≫、主神ユピテルをはじめとするオリュンポスの神々を描いた≪オリュンポスの間≫、豊穣や力、嫉妬、時の寓意を意味し、壁画下部に犬を描いた≪犬の間≫、美徳の寓意を描く≪ランプの間≫の六つの間からなる本作は、その圧倒的な完成度の高さから、16世紀ヴェネツィア派絵画史にとっても非常に重要視されており、この壁画全体における計算された構図の美しさは勿論、ヴェネツィア派の集大成を思わせる豊かでドラマティックな色彩と人物描写は、現在も色褪せることなく輝き続けている。またバルバロ家別荘ヴィラ・バルバロの作品群の中で最も愛らしい一面を覗かせるこの十字架の間に描かれた少女は特に人気が高い。この壁画全体の解釈は、「平穏な家庭生活をもたらす天の調和」とも、「愛と酒を称揚する異教的観念に基づく寓意的壁画」ともされているが、どちらも決定的な確証は得ていない。なお本作は、弟子の手によって仕上げられた部分も確認されている。本項で取り上げている≪バッコス≫は本来トラキアやマケドニアの集団的狂乱と陶酔を伴う秘儀における神であったが、オルフェウス秘儀との接触により、冥界とのつながりをもつに至り、ヘレニズム期以降彼自身の秘教が大流行した。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
カナの婚宴 (Nozze di Cana) 1562-1563年
666×990cm | Oil on canvas | Musee du Louvre, Paris

ヴェネツィアのサン・ジョルジョマッジョーレのベネディクト会修道院のために制作されたヴェロネーゼの代表作『カナの婚宴』。カナという村で催された婚礼の儀式の際に、足りなくなったブドウ酒を、キリストの奇蹟で酒瓶に満たした場面を描く≪カナの婚宴≫で、本作は、ヴェネツィア派らしい鮮やかな色彩で大人数を描くことを得意としていたヴェロネーゼの作風がよく表れている。奇蹟を起こし空の酒瓶にブドウ酒を満たしたとされる主キリストが中央に配される本作の、ガリラヤの村カナでおこなわれた婚礼の儀の幸福に満ちた雰囲気を、ヴェロネーゼは軽快な色彩を用い描き上げた。≪カナの婚宴≫を描く場合、参列者に聖母マリアやキリスト十二弟子の姿を描くことがあるが、本作ではフランス国王フランソワ1世やヴォットリア・コロンナなど当時の著名人たちが描かれている。また祝いの儀に相応しい音楽を奏でる画面中央の楽士たちが画面前景に描かれており、この楽士たちはヴェロネーゼ自身や弟ベネデット、ヴェネツィア派の巨匠で先人となるティツィアーノや、同時代に活躍したティントレットなどが描かれたものだと考えられている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
レヴィ家の饗宴 (Cena in casa di Levi) 1573年
555×1280cm | Oil on canvas | Gallerie dell'Accademia

ヴェネツィアのドミニコ会サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ修道院で起きた火災により消失したティツィアーノの作品の変わりにとして制作された、ヴェネツィア派の画家ヴェロネーゼ随一の代表作『レヴィ家の饗宴』。この作品は、元来≪最後の晩餐≫を主題に同修道院より注文されたものだが、完成した本作の主題の解釈が福音書に記されるものとあまりにかけ離れていたために、1573年宗教的審問に召喚され、直ちに書き直すよう判決が下ったが、ヴェロネーゼは題名を『レヴィ家の饗宴』と改めるだけで済ませたという経緯を持つ。≪最後の晩餐≫としての主題を考えた場合、本作は後光からもわかるよう、晩餐の最中まさに裏切り者が誰なのかを弟子に告げているキリストを描いたものだと判断することができる。大人数で構成されながらも、人物ひとり一人が細密に描かれ、かつ躍動感と臨場感に富んだ表現がされており、注目すべき点は多い。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
賢明と力 (Saggezza e Forza) 1580年
215×167cm | Oil on canvas | Frick Collection, New York

ヴェロネーゼ晩年期の代表的な寓意画『賢明と力』。画面中央よるやや左に位置する女性像は賢明を表し、画面右の男は力を示すとされている本作は、ヴェネツィア派の巨匠らしい鮮やかで大胆な色彩と、マニエリスム的な人体の短縮法によって描かれていることなど、画家の独特な特徴が良く表現されており、寓意画としての価値はもちろん、比較的良好な保存状態ゆえに鑑賞作品としての価値や、技術が円熟の局地に達していたヴェロネーゼの画業を研究する上でも、重要な作品となる。衣服の柔らかい表現、人物の複雑なポーズなど、ルネサンス絵画芸術の歴史的背景を考えても、見るべき点は多い。画面中央よるやや左に描かれている≪賢明≫の意味を表す女性の身に着けた赤色の衣服の柔らかく輝く色彩と、天空の透き通る晴天に使用される色彩との絶妙な対比が、本作の絵画作品としての価値をより一層高めている。また画面右に描かれた力を示す男性ギリシャ神話中最大の英雄でゼウスとアルクメネとの子としても知られる≪ヘラクレス≫だと考えられている。

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
聖ヘレナの夢 (Visione di sant' Elena) 1580年頃
166×134cm | 油彩・画布 | ヴァティカン宮美術館 絵画館

肖像画以外で描かれることは非常に珍しいヴェロネーゼによる単身人物像の傑作『聖ヘレナの夢』。本作は、最初のキリスト教徒皇帝コンスタンティヌス大帝の母聖へレナが体験した天使が十字架を持って現れる幻視の場面≪聖へレナの夢≫を主題に制作された作品で、一説にはヴェロネーゼの妻であるエレーナ・バティーレのために描かれたとされている。ヴェロネーゼはラファエロの素描に基づく版画の構図で同主題を20年以上前にも描いているが(現在はロンドン・ナショナル・ギャラリーが所蔵している)、本作ではマニエリスム的とも捉えることができる華奢な人物像に、晩年の特徴であるメランコリックな感情表現を用いて描いており、聖ヘレナの王冠を頂点とし、右部の十字架を持つ天使と、左部へと流れる優雅な聖ヘレナの下半身の織り成す三角形の構図は空間と見事に調和を見せ、自然主義を感じさせる正確な描写と共に、ヴェロネーゼが表現し続けた美の集大成のひとつを示している。

関連:ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵『聖へレナの夢』

解説の続きはコチラ

【全体図】
拡大表示
キューピッドによって結ばれるマルスとヴィーナス
(Marte e Venere legati da Amore) 1580年頃
206×161cm | 油彩・画布 | メトロポリタン美術館

ヴェネツィア派の画家ヴェロネーゼ晩年を代表する神話画の傑作『キューピッドによって結ばれるマルスとヴィーナス』。絶大な権力を誇るハプスブルグ家の皇帝の中で最も有名な人物のひとりであるルドルフII世の美術コレクションために制作されたとされる本作には、ローマ神話≪マルスとヴィーナス≫に典拠を得て、主神ユピテルと正妻ユノの息子でギリシア神話におけるアレスと同一視される軍神マルスが、有翼の愛の神キューピッド(ギリシア神話におけるエロス)によって愛と美の女神ヴィーナスと結ばれる場面が描かれているとされるが、その解釈は諸説存在し、現在も研究が進められている。本作を支配する独特のメランコリックな雰囲気はヴェロネーゼ晩年の大きな特徴であると共に、本作に描かれる愛と美の女神ヴィーナスやキューピッドたちの輝くような滑らかな肌の質感や軍神マルスの逞しい肉体美などに示される人間の官能性は、依頼主とされるルドルフII世が特に好んだ趣向であることが知られている。

解説の続きはコチラ
Work figure (作品図)

◆エマオの晩餐(エマウスの晩餐)
1559-60年 | 油彩・画布 | 214×415cm | ルーヴル美術館(パリ)

◆東方三博士の礼拝(三王の礼拝)
1560年代と推測 | 油彩・画布 | 117×174cm | ウィーン美術史美術館

◆エステルの失神
1570年代 | 油彩・画布 | 198×306cm | ルーヴル美術館(パリ)
Copyright (C) Salvastyle.com - ++ All Rights Reserved.