Description of a work (作品の解説)
2008/05/15掲載
Work figure (作品図)
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草地のブルターニュの女たち

 (Bretonnes dans la prairie)
1888年 | 74×92cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

フランス象徴主義、そして総合主義(サンテティスム)において最も重要な作品のひとつであるエミール・ベルナールの傑作『日傘をさすブルターニュの女たち』。ポール・ゴーギャンの『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』と共に総合主義(サンテティスム)の創始と見なされている本作は、フランスの最西端に突き出たブルターニュ地方で毎年開催されている≪パルドン祭≫を楽しむブルターニュの女たちを描いた作品である。ベルナールは本作で対象の質感、立体感、固有色などを否定し、輪郭線で囲んだ平坦な色面によって対象を構成する、それまでの絵画表現にはない革新的な描写手法≪クロワゾニスム≫を積極的、そして実験的に用いている。ブルターニュ地方ポン=タヴェンの民族的な白と黒の衣服に身を包んだブルターニュの女たちなど本作に登場する人物や動物は、太く明確な輪郭線と立体感を全く感じさせない色面のみによって表現されている。また本作の空間も伝統的な絵画表現に挑戦するかのように、遠近法を無視し平面的に構成されている。さらに画面上部に配される、日傘を差した地面に座る女性のひとりが持つ、赤色の日傘と大地の黄緑色との色彩的対比や、画面右下(最前景)に描かれる会話を交わす二人の女の大胆で奇抜な配置は本作中で特に注目すべき点のひとつである。完成後、ゴーギャンへ贈られた本作は、ゴーギャンにクロワゾニスムの重要性を理解させ、大きな刺激と影響を与えただけでなく、ゴーギャンが『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』を制作する決定的な動機となった(『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』は本作同様、パルドン祭でのブルターニュの女たちを描いた作品である)。なお後期印象派を代表する画家であり、ベルナールとも交友を結んでいたフィンセント・ファン・ゴッホは水彩による本作の模写を残しているほか、同時期に制作された『蕎麦の刈り入れ』と本作は、対画としての関連性が指摘されている。

関連:ゴーギャン作 『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』
関連:ゴッホ作 『日傘をさすブルターニュの女たち』の模写
関連:対画 『蕎麦の刈り入れ』


【全体図】
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民族衣装に身を包むブルターニュの女たち。ゴーギャンの『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』と共に総合主義(サンテティスム)の創始と見なされている本作は、フランスの最西端に突き出たブルターニュ地方で毎年開催されている≪パルドン祭≫を楽しむブルターニュの女たちを描いた作品である。



【民族衣装に身を包むブルターニュの女】
会話を交わす二人の女の大胆で奇抜な配置。ブルターニュ地方ポン=タヴェンの民族的な白と黒の衣服に身を包んだ女たちなど本作に登場する人物や動物は、太く明確な輪郭線と立体感を全く感じさせない色面のみによって表現されている。



【二人の女の大胆で奇抜な配置】
画面の中で色彩的アクセントとなる赤色の日傘。日傘を差した地面に座る女性のひとりが持つ、赤色の日傘と大地の黄緑色との色彩的対比や、画面右下(最前景)に描かれる会話を交わす二人の女の大胆で奇抜な配置は本作中で特に注目すべき点のひとつである。



【色彩的アクセントとなる赤色の日傘】
太く明確な輪郭線と色面によって表現される対象。完成後、ゴーギャンへ贈られた本作は、ゴーギャンにクロワゾニスムの重要性を理解させ、大きな刺激と影響を与えただけでなく、ゴーギャンが『説教のあとの幻影、ヤコブと天使の闘い』を制作する決定的な動機となった。



【特徴的な太く明確な輪郭線と色面】

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