Description of a work (作品の解説)
2008/06/05掲載
Work figure (作品図)
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蕎麦の刈り入れ

 (Le Blé Noir) 1888年
74×92cm | 油彩・画布 | 個人所蔵

フランス総合主義の創始者のひとりエミール・ベルナールによるクロワゾニスムの代表的作例のひとつ『蕎麦の刈り入れ』。1888年に制作され、1892年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)への出品作でもある本作は、フランス北西部の地域≪ブルターニュ≫に住む人々が蕎麦の穂を刈り入れる姿を描いた作品である。本作は制作時期や寸法、表現手法、そして画題の意味などから画家の最も重要な作品『草地のブルターニュの女たち』の対画と考えられており、『草地のブルターニュの女たち』では同地で年に一度おこなわれる祭事≪パルドン祭≫を楽しむブルターニュの人々を(草地を表す)黄色味を帯びた緑色を主色として描いているのに対し、本作では労働(蕎麦の刈り入れ)に勤しむブルターニュの人々を、豊かに実った蕎麦の穂の色である鮮やかな朱色を主色として画面が構成されている(この両作品の画題へのアプローチの違いや色彩的対比は特に注目すべき点である)。本作に描かれるブルターニュの人々や(あたかも色彩の塊のような)蕎麦の束は、ステンドグラスを連想させるほどの太く明確な輪郭線によって表現されており、輪郭線の内側は陰影を全く表現しない、ほぼ完全な色面によって構成されている。また最前景に至近距離で描かれる民族的衣装を身に着けるブルターニュの女と、遠景の単純化された帽子を被る男たちとの対比により、かろうじて遠近感を感じるものの、画面全体では平面化が著しく、本作の表現は『草地のブルターニュの女たち』同様、まさにサンテティスム(総合主義)の宣言(幕開け)に相応しい革新的かつ独創的な出来栄えを示している。

関連:対画 『草地のブルターニュの女たち』


【全体図】
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至近距離で描かれる民族的衣装を身に着けるブルターニュの女。1888年に制作され、1892年のアンデパンダン展(無審査出品制の美術展覧会)への出品作でもある本作は、フランス北西部の地域≪ブルターニュ≫に住む人々が蕎麦の穂を刈り入れる姿を描いた作品である。



【民族衣装を着たブルターニュの女】
実った蕎麦の穂を刈り入れるブルターニュの人々。本作は制作時期や寸法、表現手法、そして画題の意味などから画家、そして総合主義(サンテティスム)の最も重要な作品『草地のブルターニュの女たち』の対画と考えられている。



【実った蕎麦の穂を刈り入れる人々】
ステンドグラスを連想させるほどの太く明確な輪郭線。本作に描かれるブルターニュの人々や(あたかも色彩の塊のような)蕎麦の束は、ステンドグラスを連想させるほどの太く明確な輪郭線によって表現されており、輪郭線の内側は陰影を全く表現しない、ほぼ完全な色面によって構成されている。



【太く明確な輪郭線】
単純化された帽子を被る男たち。『草地のブルターニュの女たち』では同地で年に一度おこなわれる祭事≪パルドン祭≫を楽しむブルターニュの人々を(草地を表す)黄色味を帯びた緑色を主色として描いているのに対し、本作では労働(蕎麦の刈り入れ)に勤しむブルターニュの人々を、豊かに実った蕎麦の穂の色である鮮やかな朱色を主色として画面が構成されている。



【単純化された帽子を被る男たち】

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