Description of a work (作品の解説)
2004/09/12掲載
Work figure (作品図)
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シテール島への巡礼≪雅やかな宴≫


(Pelerinage a l'isle de Cythere)1717年
129×194cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

ロココ美術の画家アントワーヌ・ヴァトーが手がけた、同様式を代表する名画『シテール島への巡礼≪雅やかな宴≫』。王立絵画・彫刻アカデミーの正式な会員として認められることになった作品である本作には、海の泡から生まれた愛の女神ヴィーナスが流れ着いた伝説が残されることから、独身者が巡礼をおこなえば必ず好伴侶が見つかるという、ギリシア近郊、地中海の島≪シテール島(キュテラ島)≫へ若い男女らが巡礼をおこない、そこから離島する情景が描かれているとされている。アカデミーに提出された当初は『シテール島への巡礼』という名称であったが、後に『雅やかな宴』と変更されたことが知られている本作は、巡礼へ向かう場面なのか、帰還した場面を描いたものなのか現在も議論は続いているも、近年マイケル・リヴィの論文により、ヴァトーはシテール島から離島する場面を描いたとする説が有力視されている。華麗で雅やかなロココの雰囲気が漂う場面描写の中に、メランコリックな情緒性を感じさせる表現や豊潤な色彩描写は、バロック絵画の大画家ルーベンスや16世紀ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノの作品の影響を受けながら形成したヴァトー独自の様式であり、特筆に値する出来栄えを示している。また八組の男女や巡礼の杖、愛を象徴する女神ヴィーナスの像やキューピッドたち、画面中央の一組の恋人同士に寄り添う子犬など本場面を構成する人物やアトリビュートの表現も注目すべき点のひとつである。本作はロココの典雅さが最も表現された類稀な作品であると、印象派の巨匠クロード・モネルノワール、近代彫刻の父オーギュスト・ロダンなど多くの画家や彫刻家が賛辞を贈っている。なお本作は1984年に修復が施され、現在の色彩は原型に近いとされているほか、(おそらく)画家の最初の伝記作家として知られるジュリエンヌの依頼によって制作された同画題の作品が、同氏からプロイセンのフリードリヒ二世の手を経てベルリンのシャルロッテンブルク城に所蔵されている。

関連:シャルロッテンブルク城所蔵 『シテール島への船出』


【全体図】
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雅宴画(フェート・ギャラント)と呼ばれた、男女が野外で楽しむ雅やかな愛の宴の情景。本作は、巡礼へ向かう場面なのか、帰還した場面を描いたものなのか現在も議論は続いているも、近年マイケル・リヴィの論文により、ヴァトーはシテール島から離島する場面を描いたとする説が有力視されている。



【男女が野外で楽しむ雅やかな愛の宴】
本作には海の泡から生まれた愛の女神ヴィーナスが流れ着いた伝説が残されることから、独身者が巡礼をおこなえば必ず好伴侶が見つかるという、ギリシア近郊、地中海の島≪シテール島(キュテラ島)≫へ若い男女らが巡礼をおこない、そこから離島する情景が描かれているとされている。



【愛を求め旅に出る一行】
雅宴の画家として知られるヴァトーだが、その作品では市民的な愛の理想が強調されている。その理想は当時の市民階級がおかれていた状況に呼応して、宮廷や貴族文化の諸規範とも複雑に結びついていた。



【愛の象徴である天使】
華麗で雅やかなロココの雰囲気が漂う場面描写の中に、メランコリックな情緒性を感じさせる表現や豊潤な色彩描写は、バロック絵画の大画家ルーベンスや16世紀ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノの作品の影響を受けながら形成したヴァトー独自の様式であり、特筆に値する出来栄えを示している。



【愛の女神ヴィーナス像】

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