Description of a work (作品の解説)
2009/05/28掲載
Work figure (作品図)
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カリアティード

 (Cariatides) 1909-10年頃
各130×45cm | 油彩・画布 | バーンズ・コレクション

印象派の中で最も名の知れた巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール晩年の代表作『カリアティード』。ルノワールの死後、画家のアトリエで発見された本作は、古代西洋建築(神殿)において着衣の女性像による装飾支柱≪カリアティード(人像柱)≫を模した2点1組の装飾用パネル作品である。18世紀フランスの高名な彫刻家クローディオン(クロード・ミシェル)の彫刻『花と果物を持つバッカント(花を持つバッカスの巫女・果物を持つバッカスの巫女)』に着想を得たとも推測される本作では、2人の裸体の女性が(本来は身体を覆うものであろう)葉の帯を掲げるように支え立つ姿が、簡素な石造りを模した長方形の画面の中へすっきりと納められている。1人は背を向け、もう1人はほぼ正面を向いた本作の人物構成は2点の作品として完全な対称性を示しており、対となることで絶妙な安定感を生み出している。さらに有機質で丸みを帯びた裸婦のしなやかな曲線や緑々とした葉の帯と、無機質で硬質的な直線的石室的支柱の対比は、観る者へ心地良い緊張感を与えることに成功している。本作で最も注目すべき点は18世紀に活躍した偉大なる巨匠らの作品に対するルノワールの羨望と賛歌的表現とその取り組みにある。ルノワールは若き頃、ルーヴル美術館でルーベンスブーシェフラゴナールなど宮廷絵画(主に18世紀ロココ様式)の研究をおこなっていたことが知られており、他の印象派の画家たちより18世紀の芸術から影響を強く受けていた。さらに晩年期のルノワールは18世紀芸術への回顧的傾向を強めており、本作はそれらを良く示した典型的な作品として重要視されている。

関連:クローディオン作 『花と果物を持つバッカント』


【全体図】
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ルノワールの特徴的な裸婦の豊満な肉体。ルノワールの死後、画家のアトリエで発見された本作は、古代西洋建築(神殿)において着衣の女性像による装飾支柱≪カリアティード(人像柱)≫を模した2点1組の装飾用パネル作品である。



【画家の特徴的な裸婦の豊満な肉体】
葉の帯を手にしながら支える裸婦。クローディオン(クロード・ミシェル)の彫刻『花と果物を持つバッカント』に着想を得たとも推測される本作では、2人の裸体の女性が(本来は身体を覆うものであろう)葉の帯を掲げるように支え立つ姿が、簡素な石造りを模した長方形の画面の中へすっきりと納められている。



【葉の帯を手にしながら支える裸婦】
女性らしい丸みを帯びた姿態。有機質で丸みを帯びた裸婦のしなやかな曲線や緑々とした葉の帯と、無機質で硬質的な直線的石室的支柱の対比は、観る者へ心地良い緊張感を与えることに成功している。



【女性らしい丸みを帯びた姿態】

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