Description of a work (作品の解説)
2007/04/21掲載
Work figure (作品図)
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ポントワーズ近郊、エルミタージュ地区のコート・デ・パブ(牛の丘)

 1877年 (Côte des Bœufs, Pontoise)
114×87cm | 油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

印象派の大画家カミーユ・ピサロ印象派時代の傑作『ポントワーズ近郊、エルミタージュ地区のコート・デ・パブ』。本作は画家の代表作『赤い屋根、冬の効果』同様、この頃の画家がしばしば手がけた画題のひとつ、セーヌ川下流オワーズ川流域のポントワーズの裏側にあるエルミタージュ地区の≪牛の丘≫を意味するコート・デ・パブを描いたもので、おそらくピサロ自身も気に入っていたのであろう、長年手放さなかった作品でもある。本作の細かい筆触による力強い描写は、派手さはないものの強く迫るかのようであり、縦に伸びる幾本の木々は堅牢な印象を観る者に与えるが、その奥の左から右へと傾斜する丘の斜面の描写によって画面の中に絶妙な動き与え、心地よい印象すら感じさせる。また画面中央やや左下には農婦とその娘が林間から、こちら(観る者)を窺うかのように顔を覗かせており、これらは農村や自然に賞賛し画題を求めていたピサロの絵画的思想が良く表れた一例とも言えよう。画面下の轍(わだち)部分や枯草などの大胆ながら繊細さも感じさせる豊かな色彩による荒々しい描写は、画家の様式の面白さを存分に感じることができる。なお画家と親しい交友関係にあった、近代絵画の父と呼ばれるポール・セザンヌも本作と同じ場所を異なる地点から描いている。


【全体図】
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≪牛の丘≫を意味するコート・デ・パブ。本作は画家の代表作『赤い屋根、冬の効果』同様、この頃の画家がしばしば手がけた画題のひとつ、セーヌ川下流オワーズ川流域のポントワーズの裏側にあるエルミタージュ地区の≪牛の丘≫を意味するコート・デ・パブを描いたものである。



【≪牛の丘≫を意味するコート・デ・パブ】
農婦らが住まう民家の赤い屋根。本作の細かい筆触による力強い描写は、派手さはないものの強く迫るかのようであり、縦に伸びる幾本の木々は堅牢な印象を観る者に与えるが、その奥の左から右へと傾斜する丘の斜面の描写によって画面の中に絶妙な動き与え、心地よい印象すら感じさせる。



【農婦らが住まう民家の赤い屋根】
豊かな色彩による荒々しい轍(わだち)の描写。また画面中央やや左下には農婦とその娘が林間から、こちら(観る者)を窺うかのように顔を覗かせており、農村や自然に賞賛し画題を求めていたピサロの絵画的思想が良く表れた一例とも言える。



【豊かな色彩による荒々しい轍の描写】

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