Description of a work (作品の解説)
2007/09/21掲載
Work figure (作品図)
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鉄道

 (Le chemin de fer) 1873年
93×114cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派の先駆者エドゥアール・マネ作『鉄道』。1874年のサロンへ出品された本作に描かれるのは、マネの問題作にして代表作である『草上の昼食』や『オランピア』のモデルを務めたヴィクトリーヌ・ムーランと、友人の画家(マネの隣人でもあった)アルフォンス・イルシュの娘を配される人物のモデルに、急速に近代化が進められるパリ市内ヨーロッパ橋近傍の鉄道のある風景である。本作の名称に『鉄道』と付けられているも、そこに機関車など具体的にそれを表すものは描かれておらず、鉄格子を境に画面後景を支配する真っ白な煙と右端で僅かに見えるヨーロッパ橋(サン・ラザール駅の鉄橋)のみがそれを表す要素として描かれている。これらにより公開当時は批評家たちや一般の者から数多くの批判を受けることになったものの、煙によって隠れる鉄道によって表現された近代的都市風景の描写は、今なお観る者に新鮮な印象を与えるのである。また無関心な表情を浮かべる(隣の子供にも全く関心を示さない)ヴィクトリーヌ・ムーランの虚空な眼差しと、鉄格子に手をかけ煙の向こうの蒸気機関車を見つめる子供の後姿の対照性は、画家が数多く手がけた人物画においても特に白眉な出来栄えである。


【全体図】
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無関心な表情を浮かべるヴィクトリーヌ・ムーラン。1874年のサロンへ出品された本作に描かれるのは、ヴィクトリーヌ・ムーランと、友人の画家アルフォンス・イルシュの娘を配される人物のモデルに、急速に近代化が進められるパリ市内ヨーロッパ橋近傍の鉄道のある風景である。



【無関心な表情を浮かべるヴィクトリーヌ】
煙の向こうの蒸気機関車を見つめる子供。ヴィクトリーヌ・ムーランの虚空な眼差しと、鉄格子に手をかけ煙の向こうの蒸気機関車を見つめる子供の後姿の対照性は、画家が数多く手がけた人物画においても特に白眉な出来栄えである。



【煙の向こうの機関車を見つめる子供】
煙によって隠れる鉄道によって表現された近代的都市風景。公開当時は批評家たちや一般の者から数多くの批判を受けることになったものの、煙によって隠れる鉄道によって表現された近代的都市風景の描写は、今なお観る者に新鮮な印象を与えるのである。



【煙によって表現された近代的都市風景】

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