Description of a work (作品の解説)
2009/01/10掲載
Work figure (作品図)
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カフェ・タンブランの女(タンブーランの女)


(Femme au “Tambourin”) 1886-87年頃
55.5×46.5cm | 油彩・画布 | ファン・ゴッホ美術館

後期印象派の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホの印象的な肖像画作品『カフェ・タンブランの女(タンブーランの女)』。本作はゴッホが仲間と共にしばしば訪れていたパリの古い酒場キャバレー・カフェ≪カフェ・デゥ・タンブーラン≫の年老いたイタリア出身の女主人アゴスティーニ・セガトーリを描いた肖像画作品で、ゴッホは1886年3月から1888年2月までパリに滞在し数多くの作品を制作したが、本作はその中でも『タンギー爺さんの肖像(ジュリアン・タンギーの肖像)』と共に同時期を代表する作品のひとつとして世に知られている。一時はゴッホと恋愛関係にもあったとされている画面中央に描かれたタンブーランの女主人アゴスティーニ・セガトーリは、まるで疲れきったかのような、やや陰鬱的な表情を浮かべながら右手に火のついた煙草を持っており、特にアンバランス的に描かれる両目の焦点が定まらない表現はセガトーリの酔いの深さを顕著に感じさせる。そして円卓として使用される太鼓の上にはアルコールが置かれており、当時のパリにおいて重大な問題となっていたアルコールへの依存を暗喩させている。さらに店の奥(画面右上)には芸術に対して強い関心を持っていたアゴスティーニ・セガトーリとゴッホの高い興味を示すかのように日本の浮世絵が飾られており、セガトーリの民族的な髪型や衣服と共に異国的な雰囲気を醸し出させている。本作は描かれる主題やその独特な退廃的表現から印象派の先駆者のひとりエドガー・ドガの傑作『アプサントを飲む人(カフェにて)』の影響が指摘されており、事実、女主人アゴスティーニ・セガトーリはドガの作品のモデルを務めていたことも判明している。


【全体図】
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ややアンバランスに描かれるセガトーリの両目。一時はゴッホと恋愛関係にもあったとされている画面中央に描かれたタンブーランの女主人アゴスティーニ・セガトーリは、まるで疲れきったかのような、やや陰鬱的な表情を浮かべている。



【アンバランスに描かれる両目】
テーブルの傍らに置かれるアルコール。本作はゴッホが仲間と共にしばしば訪れていたパリの古い酒場キャバレー・カフェ≪カフェ・デゥ・タンブーラン≫の年老いたイタリア出身の女主人アゴスティーニ・セガトーリを描いた肖像画作品である。



【円卓の傍らに置かれるアルコール】
セガトーリが手にする火のついた煙草。店の奥(画面右上)には芸術に対して強い関心を持っていたアゴスティーニ・セガトーリとゴッホの高い興味を示すかのように日本の浮世絵が飾られており、セガトーリの民族的な髪型や衣服と共に異国的な雰囲気を醸し出させている。



【セガトーリが手にする火のついた煙草】
素早く短い筆触で描かれる傘。本作は描かれる主題やその独特な退廃的表現から印象派の先駆者のひとりエドガー・ドガの傑作『アプサントを飲む人(カフェにて)』の影響が指摘されており、事実、女主人アゴスティーニ・セガトーリはドガの作品のモデルを務めていたことも判明している。



【素早く短い筆触で描かれる傘】

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