Description of a work (作品の解説)
2008/04/27掲載
Work figure (作品図)
■ 

耳を切った自画像(頭に包帯をした自画像)


(Portrait de l'artiste par luimême) 1889年
60×49cm | 油彩・画布 | コートールド美術研究所(ロンドン)

フィンセント・ファン・ゴッホの代表的な自画像作品のひとつ『耳を切った自画像(頭に包帯をした自画像)』。本作はゴッホが画家としても尊敬していた友人ポール・ゴーギャンと共に制作活動をおこなった日差しの強い南仏の町アルル滞在時に起こした有名な≪耳切り事件≫の直後に制作された自画像作品である。ゴッホは対象を見ながら制作していたのに対し、ゴーギャンは描く対象の(自然主義的な)写実的表現を否定していた為、アルル滞在で両者は対立してしまう。南仏アルルでの制作活動に呼応し、複数誘った画家仲間の中でただ一人、共同のアトリエ兼生活場所である黄色い家に来訪してくれたゴーギャンから見放され独りになることを恐れたゴッホは次第に精神を病んでいき、遂には1889年12月23日の夜に芸術論でゴーギャンと激論を交わし、黄色い家を出てしまったゴーギャンを剃刀を持ったゴッホが追いかけ、ゴーギャンを一目した後、剃刀で自身の耳を切り落とし娼婦ラシェルのもとへ届けるという≪耳切り事件≫をおこしてしまう。この時のゴッホの極度の精神的緊張や狂気性は、アルル滞在時にゴーギャンが≪耳切り事件≫を起こす直前のゴッホを描いた『ひまわりを描くフィンセント・ファン・ゴッホ』にも如実に表れている。画家の大きな特徴である(モンティセリの影響を感じさせる)太く絵具の質感を残した独特の筆触で描写される本作のゴッホは、包帯で巻かれる顔側部など痛々しい様子であるが、その表情や、観る者、そして画家自身へと向けられる視線は冷静であり、一見すると落ち着きを取り戻したかのようにも見える。しかしこの事件以降、画家は幻覚と悪夢にうなされるようになり、その症状は生涯続いたと伝えられている。また背後には(異論も多いが、おそらく佐藤虎清による)浮世絵『芸者』が飾られており、鮮やかで明るさの増した色彩と共に、ゴッホの日本趣味への傾倒も示されている。なおゴッホは本作以外にも、耳切り事件直後の自画像『パイプをくわえる包帯の自画像』を残しており、この作品は切り落とした耳の傷から滴る血の色を思わせる赤色と、身に着ける衣服の緑色との色彩的対比が特徴的である。

関連:『パイプをくわえる包帯の自画像』
関連:ポール・ゴーギャン作 『ひまわりを描くファン・ゴッホ』


【全体図】
拡大表示
冷静に観る者、そして画家自身へと向けられる視線。本作はゴッホが画家としても尊敬していた友人ポール・ゴーギャンと共に制作活動をおこなった日差しの強い南仏の町アルル滞在時に起こした有名な≪耳切り事件≫の直後に制作された自画像作品である。



【冷静に画家自身へと向けられる視線】
包帯で巻かれる顔側部など痛々しい様子。本作の画家自身の姿は、一見すると落ち着きを取り戻したかのようにも見えるが、この事件以降、画家は幻覚と悪夢にうなされるようになり、その症状は生涯続いたと伝えられている。



【包帯で巻かれる痛々しい顔側部】
背後に飾られる画家が強く影響を受けた浮世絵。この浮世絵は異論も多いが、おそらく佐藤虎清による『芸者』と推測されており、鮮やかで明るさの増した色彩と共に、本作にはゴッホの日本趣味への強い傾倒が示されている。



【背後に飾られる浮世絵】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ