Description of a work (作品の解説)
2009/03/18掲載
Work figure (作品図)
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自画像(レ・ミゼラブル)


(Autoportrait dit 'Les misérables) 1888年
45×55cm | 油彩・画布 | ファン・ゴッホ美術館

フランス象徴主義の偉大なる巨匠ポール・ゴーギャンを代表する自画像作品『自画像(レ・ミゼラブル)』。本作は1888年に南仏アルルを訪れていた画家がフィンセント・ファン・ゴッホの強い願い(※ゴッホがゴーギャンとの強い友情を求めたため)により制作された自画像作品で、フランスのロマン主義作家ヴィクトル・ユーゴーの傑作小説≪レ・ミゼラブル≫に更なる典拠を得ているのが大きな特徴のひとつである。画面左側へと配されるゴーギャン自身は、≪レ・ミゼラブル≫の主人公ジャン・ヴァルジャンのような不敵で無頼的な表情を浮かべた姿で描かれている。背景には幼さや純潔を象徴する花柄の壁紙が大胆に配されており、さらに画面右側には本作が制作された1888年にゴーギャンと共に総合主義を成立させたエミール・ベルナールの肖像画が掛けられているほか、画面右下には画家の署名、年記と共にレ・ミゼラブルの筆記を確認することができる。本作を制作後、ゴーギャンは友人シュフネッケルに宛て次のような手紙を送っている。「前景に無頼な顔、つまりレ・ミゼラブルにおけるジャン・ヴァルジャンだ。そしてまたこの姿はひとりの印象派をも表している。背景の花柄は純潔の象徴であり、またエコール・デ・ボザール(当時の著名な美術学校)の腐敗に汚されていない印象派の純潔を示しているのだ」。画家自身も述べている本作の象徴性や大胆な画面構成も重要視すべき点であるが、本作の現実離れした色彩表現にも画家の優れた才気を感じさせる。特に背景の赤味の強い黄色の色彩と画面の中のゴーギャンやエミール・ベルナールの肖像画、そして壁紙の花々に用いられる緑色の色彩的対比は観る者を強く惹きつけるだけではなく、本作におけるゴーギャンの内面的世界をも表現している。


【全体図】
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不敵で無頼的な表情を浮かべた画家の姿。本作は1888年に南仏アルルを訪れていた画家がフィンセント・ファン・ゴッホの強い願い(※ゴッホがゴーギャンとの強い友情を求めたため)により制作された自画像作品で、フランスのロマン主義作家ヴィクトル・ユーゴーの傑作小説≪レ・ミゼラブル≫に更なる典拠を得ているのが大きな特徴のひとつである。



【無頼的な表情を浮かべるゴーギャン】
純潔を象徴する背景の花々。背景には幼さや純潔を象徴する花柄の壁紙が大胆に配されており、さらに画面右側には本作が制作された1888年にゴーギャンと共に総合主義を成立させたエミール・ベルナールの肖像画が掛けられているほか、画面右下には画家の署名、年記と共にレ・ミゼラブルの筆記を確認することができる。



【純潔を象徴する背景の花々】
画家と共に総合主義を完成させたエミール・ベルナールの肖像。背景の赤味の強い黄色の色彩と画面の中のゴーギャンやエミール・ベルナールの肖像画、そして壁紙の花々に用いられる緑色の色彩的対比は観る者を強く惹きつけるだけではなく、本作におけるゴーギャンの内面的世界をも表現している。


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