2009/06/19掲載
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アルル、ぶどうの収穫(人間の悲劇)(Misères humaines (Les vendanges)) 1888年 73.5×92.5cm | 油彩・画布 | オルドルップガード・コレクション
物悲しそうに座り込む頬杖をついた女。大地に座り込む憂鬱そうな女の姿態は、パリ民族博物館に所蔵されるミイラに着想を得られたものであり、画家晩年の傑作『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか』を始め、その後もしばしば登場することとなる。
【物悲しそうに座り込む頬杖をついた女】
ぶどうを収穫するブルターニュの伝統的な衣服を身に着けた女。本作はゴッホの熱心な誘いを受け、南仏アルルの地へ赴いた画家が同地で制作した作品で、アルルでのぶどうの収穫の風景の中へ、ブルターニュの伝統的な衣服を身に着けた女を配した、アルルとブルターニュの混合的作品でもある。
【ぶどうを収穫する女たち】 死の象徴≪死神≫とも解釈できる黒尽くめの女。頬杖の女の物悲しい雰囲気は本情景にではなく、人間そのものへ向けられたものだと解釈されており、ぶどうの収穫が意味する≪豊穣≫と対比するかの如く、悲劇や罪悪などの感情を見出すことができる。
【死の象徴≪死神≫とも解釈できる女】 |