Description of a work (作品の解説)
2009/09/20掲載
Work figure (作品図)
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牧歌(バルバリア河畔のドン・キホーテ)


(Pastorake) 1870年
65×81cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

後期印象派の大画家ポール・セザンヌ初期の代表的作品のひとつ『牧歌(バルバリア河畔のドン・キホーテ)』。本作は印象派の先駆者エドゥアール・マネルネサンスヴェネツィア派最大の巨人ティツィアーノ・ヴェチェッリオ初期の傑作『田園の奏楽』に倣い制作した問題作『草上の昼食』に影響され、同作品に基づきながら、16〜17世紀スペインの小説家ミゲル・デ・セルバンテスの最も著名な小説≪ドン・キホーテ≫の一場面を描いた作品である。草上で寝そべる男としてセザンヌ自身の姿も描き込まれている本作では、画面下部に『草上の昼食』を容易に連想させる男女が、画面左側には官能的な姿態を示す裸婦と水辺で髪を結う(又は水浴する)裸婦が、そして画面右側にはパイプを吸うような仕草を見せる着衣の男の後姿が描き込まれている。画面前景の草上には一見すると無造作的に配される登場人物であるが、その構成は後の構成主義的な堅牢性の萌芽を微かに感じさせ、観る者の視線を自然と誘導させることに成功している。さらに本作では濃密な官能性を裸婦や男根を連想させる小島の樹木で、自然との調和性をやや不吉な印象すら感じさせる青々とした色彩で表現している。これらは『田園の奏楽』以来、古典的な牧歌的風景画の典型であった本主題に対する若きセザンヌの挑戦的取り組みであり、1870年代の画家の思想や動向はもとより、特徴的な作風とその変化、様式的昇華を考察する上でも重要な作品として位置付けられている。

関連:ティツィアーノ作 『田園の奏楽』
関連:エドゥアール・マネ作 『草上の昼食』


【全体図】
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草上で寝そべる裸婦と近代的な服装の男性。本作は印象派の先駆者マネルネサンスヴェネツィア派最大の巨人ティツィアーノ初期の傑作『田園の奏楽』に倣い制作した問題作『草上の昼食』に影響され、同作品に基づきながら小説≪ドン・キホーテ≫の一場面を描いた作品である。



【草上で寝そべる裸婦と近代的な男性】
官能性を感じさせる裸婦の姿態。草上で寝そべる男としてセザンヌ自身の姿も描き込まれている本作では、画面下部に『草上の昼食』を容易に連想させる男女が、画面左側には官能的な姿態を示す裸婦と水辺で髪を結う(又は水浴する)裸婦が、そして画面右側にはパイプを吸うような仕草を見せる着衣の男の後姿が描き込まれている。



【官能性を感じさせる裸婦の姿態】
男根を連想させる小島の樹木。本作では濃密な官能性を裸婦や男根を連想させる小島の樹木で、自然との調和性をやや不吉な印象すら感じさせる青々とした色彩で表現しており、これらは『田園の奏楽』以来、古典的な牧歌的風景画の典型であった本主題に対する若きセザンヌの挑戦的取り組みである。



【男根を連想させる小島の樹木】

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