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Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

シモン・ヴーエ Simon Vouet
1590-1649 | フランス | バロック・古典主義

17世紀フランス古典主義期に活躍した代表的なバロック画家。激しい運動性や劇的な場面展開、豊かで明瞭な色彩、流動的で感情的な画面構成などバロック的な要素を強く感じさせる様式と、フランス宮廷好みの洗練性を含んだ絵画様式を融合させ、画家独自の作風を確立。当時の王室を始め、宮廷貴族、同業者らから高い評価を受け、画家の洗練された装飾的な様式はロココ美術の重要な基礎となった。またシモン・ヴーエは王立の絵画・彫刻アカデミーの創始メンバーのひとりであり、画家のアトリエにはシモン・ヴーエ、ニコラ・プッサン後のフランス古典主義を代表する画家であるウスターシュ・ル・シュウール、、ピエール・ミニャールシャルル・ル・ブランなどが在籍した。1590年パリに生まれる。シモン・ヴーエは絵画を最初、父に学んだと考えられる。1612年からイタリアのヴェネツィアへ赴き、1621年から一時的にジェノヴァに滞在するも1614年から13年間は芸術の最先端都市であったローマで活動をおこなう。このイタリア滞在で巨匠カラヴァッジョや、カラヴァッジェスキ一派でヴーエと同時期にローマに滞在していたと推測されるフランス出身の画家ヴァランタン・ド・ブーローニュのほか、ヴェネツィア派アンニーバレ・カラッチグエルチーノなどボローニャ派などから多大な影響を受け、画家独自の様式を見出してゆく。ルイ13世から国王付きの首席画家に任命され1627年に帰国。フランスへ帰国後はカラヴァッジョ的な暗く強い明暗対比による作風を捨て、アンニーバレ・カラッチに代表される明瞭で豊かな色彩による表現手法やティツィアーノなどヴェネツィア派的な絵画的アプローチで作品を手がけ、当時の画壇から非常に高い評価を得た。ヴーエはニコラ・プッサンとは異なり、当時の宮廷世界に馴染み、晩年までパリで精力的に制作活動をおこなった。1549年パリで没、享年59歳。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
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若さと美に打ち負かされる時間の翁(時の敗北) 1627年
(Father Time Overcome by Love, Hope and Beauty (Temps vaincu))
107×142cm | 油彩・画布 | プラド美術館(マドリッド)

17世紀フランスにおけるバロック様式の大画家シモン・ヴーエによる大作『若さと美に打ち負かされる時間の翁(時の敗北)』。画家のローマ滞在時最後の作品であり、芸術や文芸のよき理解者で庇護者もであったバルベリーニ枢機卿の文学的統治下によって誕生した本作に描かれるのは、「若さ(希望)」の擬人像と「美」の擬人像が老いを象徴する「時の翁」を討ち勝利する場面≪若さと美に打ち負かされる時間の翁≫で、時の翁の頭髪を掴みながら槍を振り上げる美の擬人像や、手にする鉤(かぎ)で時の翁に迫る若さの擬人像、時の象徴である砂時計を手に、鉄の大鎌を足下へ手放しながら必死で抵抗を試みる時の翁(なお時の翁は神々の長老サトゥルヌスと同一視される為、サトゥルヌスとも解釈される)など登場人物に示されるバロック様式の大きな特徴である躍動的で力動的な表現や画面構成は特筆に値する出来栄えである。ルネサンス期におけるヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノ作『聖愛と俗愛』や、イタリア・バロック絵画ボローニャ派の画家アンニーバレ・カラッチによる天井装飾のための油彩画『岐路に立つヘラクレス』からの影響も一部の研究者から指摘されている本作ではあるが、先例(『聖愛と俗愛』、『岐路に立つヘラクレス』)のような古典様式の伝統の中に示される画家独自の表現というより、豊潤ながら軽快さを感じさせる(典型的な)バロック様式独特の表現が際立っている。

関連:ティツィアーノ作 『聖愛と俗愛』
関連:アンニーバレ・カラッチ作 『岐路に立つヘラクレス』

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富のアレゴリー(富の寓意)
(Allégorie de la Richesse) 1634年頃
170×124cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀フランスで活躍した画家シモン・ヴーエが手がけたフランス・バロックを代表する傑作『富のアレゴリー(富の寓意)』。おそらくはルイ13世の居城であったパリ近郊のサン=ジェルマン=アン=レーの城館シャトー=ヌフのために制作された本作に描かれるのは、世俗的な富に対する寓喩≪富のアレゴリー≫で、同じくシャトー=ヌフのために制作されたルーヴル美術館所蔵の『美徳のアレゴリー』、『慈愛のアレゴリー』との関連性も指摘されている。本作で左部に描かれる有翼の幼児は、世俗的な富の象徴である宝石や黄金などの貴金属を中央の有翼の女性に示しているも、女性は天を指差すもうひとりの(右部に描かれる)幼児を慈しむように抱いており、冷艶な視線だけを向けるだけである。この月桂樹の冠を被る有翼の女性の解釈は、17世紀初頭に刊行された象徴的文様・視覚的形象の図版集である(現在も美術研究において重要視される)チェーザレ・リーパ著『イコノロギア』に基づけば、美の象徴として扱われ、富の象徴とは異なるのも注目すべき点のひとつである。また一部の研究者からはシモン・ヴーエの妻をモデルとして描かれたとも推測されているも確証は得ていない有翼の女性にみられる豊潤で質感に富んだ女性像の描写は17世紀フランドル絵画の巨匠ルーベンスの描く女性像的印象を受けるものの、より洗練された優雅で清潔な雰囲気を醸しているほか、使用される色彩の絶妙な均衡感覚や、流麗で装飾的な表現は、この頃フランスで描かれたバロック様式作品の中で最も素晴らしい表現のひとつである。

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キリストの神殿奉献 (Présentation de Jesus au temple)
1641年 | 383×250cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス古典主義時代のバロック様式の巨匠シモン・ヴーエが晩年期に手がけた随一の代表作『キリストの神殿奉献』。イエズス会誓願修道女本部修道院教会堂(現在のサン・ポール=サン・ルイ聖堂)の主祭壇画として掲げられていた本作は、割礼の後、聖母マリアと夫聖ヨセフが幼子イエスを連れ、エルサレムの神殿へ赴き奉献するため律法に従い山鳩をひと番(又は家鳩の雛2羽とされる)持ちエルサレムへ向かうと、救世主の出現と会者を聖告され聖霊によって導かれていた同地の老シメオンが神殿で幼子イエスを抱き神を称え救い主であることを宣言すると共に、後に降りかかる救世主イエスへの受難を予言する場面(聖母の七つの悲しみの第一場面でもある)≪キリストの神殿奉献≫を描いたものであるが、その表現は画家独自の様式的特色を強く示している。非常に明瞭で豊かな色彩によって描き出される本作は幼子イエスを中心として、老シメオンを左に、聖母マリアと夫ヨセフ、聖母の母アンナなど聖家族を右に対角線上で配置し、本場面が幼子イエスを主とする救世者と受難者の降誕宣言であることを、彼らの交わる視線でドラマティックに表現している。このような計算された構図や場面構成による劇的で感情的な表現は、1627年帰国後の画家の作品の大きな特徴であり、本作はその最も優れた作例のひとつと、そして画家随一の代表作して広く知られている。また画面上部で舞う二天使の優雅な運動性や、他の登場人物の激しい感情表現も特筆に値する出来栄えである。

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賢明の寓意 (Allégorie de la Prudence) 1645年頃
116.5×90.5cm | 油彩・麻布 | ファーブル美術館(モリエンペ)

17世紀に活躍したフランス・バロック絵画の巨匠シモン・ヴーエを代表する寓意画のひとつ『賢明の寓意』。本作はルイ13世妃(王妃)アンヌ・ドートリッシュを≪賢明≫と≪摂政≫の寓意像とした寓意画で、ルイ13世の死の翌日(1643年5月15日)にオルレアン候フィリップが計画した宮殿改修・装飾事業の際、ルイ13世妃アンヌ・ドートリッシュの寝室の装飾画としてシモン・ヴーエに依頼し制作された作品である。伝統に倣い、アトリビュートとして蛇と鏡が描かれる画面中央の青と白の衣を身に着けた≪賢明≫の寓意像は、世界を意味する地球に寄り掛かり、三美神の中のひとりが持つ鏡を見ている。またその頭上では愛の神キューピッドによって≪勝利≫を意味する月桂樹の冠が授けられようとしている。一方で画面下部には時の翁(アトリビュートとして砂時計と大鎌が描かれる)が配され、恐れるように≪賢明≫の寓意像を見上げている。これらは戦乱や不徳の多かった不安定な当時の政治に対して、≪賢明≫、そして≪摂政≫の寓意像に見立てたルイ13世妃アンヌ・ドートリッシュによる善政への希望を意味しているとも解釈することができる。表現においてもヴーエ晩年の様式らしく、鮮明かつ流麗な色彩描写や運動的ながら洗練された人物表現、熟慮された構想・構図的配置などひとつの絵画作品としての見所や注目点も多い。

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キューピッド、ヴィーナス、そして「希望」に打ち負かされるサトゥルヌス (Saturne vaincu par l'Amour, Vénus et l'Espérance) 1645-1646年頃
187×142cm | 油彩・画布 | ベリ美術館(ブールジュ)

17世紀フランスにおけるバロック様式の大画家シモン・ヴーエの代表作『キューピッド、ヴィーナス、そして「希望」に打ち負かされるサトゥルヌス』。本作に描かれるのは、神々の長老であり、我が子を喰らった逸話や時の翁としても知られるサトゥルヌスが、美の女神ヴィーナスと愛を司るキューピッド、そして「希望」の擬人像によって打ち負かされる寓意で、方向性や内容に多くの類似点が見られる画家が若い頃(ローマ滞在時)に手がけたプラド美術館所蔵の『若さと美に打ち負かされる時間の翁(1627年)』と比較すると、構成力、表現力、色彩描写などあらゆる面で『若さと美に打ち負かされる時間の翁』を凌駕しており、画家随一の代表作として知られている。右手に大鎌を持つサトゥルヌスは、美の女神であり本作では真実の象徴としても解釈されるヴィーナスによって毛髪を、希望の擬人像(足下の大錨がそれを象徴する)や愛を司るキューピッドによって翼を引っ張られており、その上では富の象徴(黄金や金貨を手にする)や名声の象徴(トランペットを手にする)が浮遊している。このように明確な図像的展開を用いながら、打ち負かされるサトゥルヌスの苦悶に歪む表情や姿勢、ヴィーナスや希望の擬人像などに示される古典的でありながら豊かで甘美な官能性を感じさせる表現、明瞭で鮮やかな色彩で描かれる登場人物の衣服の描写はどれも秀逸の出来栄えをみせており、観る者を強く惹きつける。

関連:シモン・ヴーエ作 『若さと美に打ち負かされる時間の翁』

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