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homeページCollection常設展示バロック美術
Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像

ピエトロ・ダ・コルトーナ Pietro da Cortona
1596-1669 | イタリア | バロック

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニと共に、17世紀のイタリアにおいてバロック様式の発展に決定的な役割を果たした初期バロック美術の巨匠。高尚な主題、過剰な画面構成、極めて装飾的かつ優雅で豊穣な表現などに見られる画家独自の様式は、17世紀後半の盛期バロックの芸術家に圧倒的な影響を与えた。トスカーナに生まれ、フィレンツェのマニエリスム絵画に学び1610年代からローマに出る。そこで若きベルニーニと出会うほか、銀行家サケッティに見出され、数々の仕事をこなしていった後、名家バルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世や、その周辺の人々を始めとする教皇庁の仕事に携わる。その影響はイタリアに留まらず、ル・ブランによるヴェルサイユ宮の装飾計画にも認められている。またピエトロ・ダ・コルトーナは画家以外にも、建築家、舞台装飾家としても活躍した。


Work figure (作品図)
Description of a work (作品の解説)
【全体図】
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ピエタ (Pieta) 1620-1625年頃
不明 | 油彩・画布 | サンタ・キアラ聖堂

ピエトロ・ダ・コルトーナ初期の傑作『ピエタ』。画家が30歳以前の頃に描かれたと推定される本作の主題は、磔刑に処され死したイエスの亡骸を、聖母マリアがその胸に抱く場面≪ピエタ≫を描いたものであるが、本作でイエスの亡骸を抱くのは、天上からの使者であろう二人の天使である。トスカーナ的とも表現できる情緒溢れる背景描写や、深い陰影と鮮やかな色彩によって示される人物の感情は、当時のピエトロ・ダ・コルトーナの様式的傾向を示している。また本作は長らくその存在が忘れられており、画家の故郷であるコルトーナで1983年と極めて最近、それも偶然発見された作品で、ピエトロ・ダ・コルトーナのバロック的な様式形成の過程を研究する上で、非常に重要な位置を占める作品のひとつでもある。

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聖母子と聖人たち (Madonna col Bambino fra i santi)
1633-1639年頃 | 285×188cm | 油彩・画布
サンタゴスティーノ聖堂(コルトーナ)

ピエトロ・ダ・コルトーナを代表する宗教画のひとつ『聖母子と聖人たち』。画家名称の由来となった街コルトーナのサンタゴスティーノ聖堂のためにパッセリーニ家の依頼によって制作された本作の主題は、玉座に鎮座する聖母マリアと幼子イエスに洗礼者聖ヨハネや教皇聖ステファヌス等諸聖人を配した≪聖会話≫で、高尚な主題を過剰な画面構成を用い、極めて装飾的かつ優雅で華麗な表現で描かれるバロック様式の典型を為す、当時を代表する作品として広く知られている。また本作では教皇聖ステファヌスの纏う大外衣の十字架は聖ステパノ騎士団、洗礼者聖ヨハネが指差すマントはマルタ騎士団、聖大ヤコブはカラトラーヴァ騎士団を意味し、寄進者パッセリーニ家と各騎士団との深いつながりを巧みに作品の中へ示している。

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サビニの女たちの略奪 (Ratto delle Sabine) 1629年頃
275×423cm | 油彩・画布 | カピトリーノ美術館(ローマ)

ピエトロ・ダ・コルトーナを代表する神話画『サビニの女たちの略奪』。画家の最初のパトロンとなるサッケッティ家の依頼により描かれた本作の主題は、ローマ市建設時、女性が少なかった市の建設者ロムルスの発案により、サビニなど近隣の村人をローマの祭りへ誘い、未婚の女性を略奪したとされる伝説上の逸話≪サビニの女たちの略奪≫を描いたものである。カラヴァッジョによる写実性と、カラッチ一族による古典主義的表現の融合を示す演劇的な運動性と大胆な構図、豊かで鮮やかな色彩などからは、ピエトロ・ダ・コルトーナの画家としての稀有な才能を感じさせる。また略奪される女のポーズは、明らかにベルニーニの代表作『プロセルピナの略奪』の影響を受けていることを感じさせ、二人の親密な関係性をうかがい知ることができる。

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アイネイアスの前に現れるヴィーナス
(Venere appare Enea)1630-1635年頃
120×174cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

17世紀イタリア・バロックの大画家ピエトロ・ダ・コルトーナを代表する神話画のひとつ『アイネイアスの前に現れるヴィーナス』。同時代の画家ロマネッリとの協作と推測される本作に描かれるのは、美の女神ヴィーナスとトロイア王族の一人アンキセスとの間に生まれた勇士アイネイアスが戦を控えているところに、母ヴィーナスが火と鍛冶の神ウルカヌス(ヴィーナスの夫でもある)が鍛えた武具(本作では弓)を与える場面≪アイネイアスの前に現れるヴィーナス≫で、安定と秩序を重んじる古典主義的な場面構成の中に、ピエトロ・ダ・コルトーナ独特の優雅で豊穣な表現と、鮮やかで明瞭な色彩による描写が用いられていることが大きな特徴である。本場面で突然の母ヴィーナスの来訪に驚き、身を仰け反らせる勇士アイネイアスや、火と鍛冶の神ウルカヌスが鍛えた武具を息子に与えようとする美の女神ヴィーナスは古典的表現を用いながらも、劇的な感情表現や甘美性を感じさせる人体表現など画家のバロック様式における特徴を見事に示しており、ロマネッリとの協作とされる本作であれ、盛期バロックに決定的な影響を与えたピエトロ・ダ・コルトーナの優れた才能が如何なく発揮されている。

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教皇ウルバヌス8世治下の≪神の摂理≫の勝利
(Trionfo della Divina Provvidenza) 1633-1639年頃
フレスコ | パラッツォ・バルベリーニ(現ローマ国立美術館)

バロック美術の巨匠ピエトロ・ダ・コルトーナ最大の傑作『教皇ウルバヌス8世治下の≪神の摂理≫の勝利』。パラッツォ・バルベリーニ(現ローマ国立美術館)の大広間に描かれた本作はバルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世の栄光を主題としたもので、3匹の蜂とオリーブの枝はバルベリーニ家の紋章を意味し、同家の栄光と繁栄を示している。過剰な画面構成に、極めて装飾的かつ優雅で豊穣な表現によって描き出される≪神の摂理≫は、後の盛期バロック様式に見られる豊穣的な躍動感の始点となるだけでなく、バロック古典主義の創始者アンニーバレ・カラッチによる天井画の傑作『ガレリア・ファルネーゼ天井装飾画』の整然とした明瞭性との決定的な相違を示し、画家は本作を描くにあたりエミリア派の巨匠コレッジョの代表作パルマ大聖堂の天井画『聖母被昇天』の強い影響を指摘されている。

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ハガルの帰還 (Heimkehr der Hagar) 1633-1639年頃
285×188cm | 油彩・画布 | ウィーン美術史美術館

ピエトロ・ダ・コルトーナの豊かな表現力が良く示される名画『ハガルの帰還』。画家最大の作品『教皇ウルバヌス8世治下の≪神の摂理≫の勝利』と同時期に描かれた本作の主題は、旧約聖書から≪アブラハムの生涯≫の一場面、信仰の父アブラハムの庶子となるイシュマエルを生んだ従者ハガルが、アブラハムの妻サラを軽んじたとして辛い仕打ちを受け荒野へと逃げ出すも、神の使徒である天使よりアブラハムの下へと戻る従者として従うよう諭され、一行の下へと帰還してゆく≪ハガルの帰還≫を描いたもので、特有のダイナミックな運動性や綿密に計算されたアブラハムや従者ハガル、妻サラ、導く天使等の登場人物の配置、短縮法と豊かな色彩による背景描写などバロック時代の芸術論者でもあった画家の優れた力量を存分に感じさせる。

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