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教皇ウルバヌス8世治下の≪神の摂理≫の勝利
(Trionfo della Divina Provvidenza) 1633-1639年頃
フレスコ | パラッツォ・バルベリーニ(現ローマ国立美術館) |
バロック美術の巨匠ピエトロ・ダ・コルトーナ最大の傑作『教皇ウルバヌス8世治下の≪神の摂理≫の勝利』。パラッツォ・バルベリーニ(現ローマ国立美術館)の大広間に描かれた本作はバルベリーニ家出身の教皇ウルバヌス8世の栄光を主題としたもので、3匹の蜂とオリーブの枝はバルベリーニ家の紋章を意味し、同家の栄光と繁栄を示している。過剰な画面構成に、極めて装飾的かつ優雅で豊穣な表現によって描き出される≪神の摂理≫は、後の盛期バロック様式に見られる豊穣的な躍動感の始点となるだけでなく、バロック古典主義の創始者アンニーバレ・カラッチによる天井画の傑作『ガレリア・ファルネーゼ天井装飾画』の整然とした明瞭性との決定的な相違を示し、画家は本作を描くにあたりエミリア派の巨匠コレッジョの代表作パルマ大聖堂の天井画『聖母被昇天』の強い影響を指摘されている。
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