Description of a work (作品の解説)
2008/04/21掲載
Work figure (作品図)
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ムーラン・ルージュにて

 (Au Moulin Rouge) 1892年
123×140cm | 油彩・画布 | シカゴ美術研究所

19世紀末のフランスで活躍した画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの最高傑作のひとつ『ムーラン・ルージュにて』。本作に描かれるのは、1889年の開店以来、豪華かつ個性的な内装や人気ダンサーの採用などで、モンマルトル随一のダンスホール(ナイトクラブ)となっていた≪ムーラン・ルージュ(赤い風車の意)≫の情景である。制作途中で画布が継ぎ足され、構図が変更されたことが知られている本作の中で最も目を惹きつけるのは、間違いなく画面右端に描かれる黒い衣服に身を包んだ女性の姿である(諸説唱えられているが一部の研究者からはジャンヌ・アヴリルとも指摘されている)。印象派の大画家エドガー・ドガの影響を窺わせる、大胆に切り落とされた(あたかも写真的な)女性の頭部の展開は、下から頭部へと向けられる人工的な緑色の光と影の不気味な様子も手伝って観る者に鮮烈な印象を与える。また画面全体を支配する享楽と退廃が混在する世紀末独特の(夜の世界の)雰囲気の表現はロートレックの作品に共通するものであり、その中でも本作は特に優れた出来栄えを示している。画面中央でテーブルを囲み酒を飲みながら談笑する男女らは、モーリス・ギベール、批評家デュジャルダン、ダンサーのラ・マカロナ、写真家セスコーなど画家の他の作品にも登場する人物であるほか、画面右上には髪を整える当時の人気ダンサー「ルイズ・ヴェーベル(彼女はラ・グーリュ=大食い、大食家と呼ばれたダンサーとしても有名な人物)」とその友人(ルイズの同姓の愛人)が、画面奥には画家の友人であり従弟でもあるガブリエル・タピエ・ド・セレーラン(背の高い男)とロートレック自身の姿(一際背の低い男)が描き込まれている。


【全体図】
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本作の中で最も目を惹きつける画面右手前の女。大胆に切り落とされた(あたかも写真的な)女性の頭部の展開は、下から頭部へと向けられる人工的な緑色の光と影の不気味な様子も手伝って観る者に鮮烈な印象を与える。



【最も目を惹きつける画面右手前の女】
世紀末独特の退廃的かつ享楽的な雰囲気。本作に描かれるのは、1889年の開店以来、豪華かつ個性的な内装や人気ダンサーの採用などで、モンマルトル随一のダンスホール(ナイトクラブ)となっていた≪ムーラン・ルージュ≫の情景である。



【退廃的かつ享楽的な雰囲気】
ロートレックの友人であり従弟のガブリエル・タピエ・ド・セレーランと画家自身の姿。本作の独特な雰囲気の表現はロートレックの作品に共通するものであり、その中でも本作は特に優れた出来栄えを示している。



【従弟ガブリエルと画家自身の姿】

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