Description of a work (作品の解説)
2009/10/28掲載
Work figure (作品図)
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カルタゴを建設するディド(カルタゴ帝国の興隆)


(Dido Building Carthage) 1815年 | 155.5×231.85cm
油彩・画布 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ロマン主義を代表する風景画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー中期の傑作『カルタゴを建設するディド(カルタゴ帝国の興隆)』。本作は古代ローマの詩人ウェルギリウス≪アエネーイス≫に記される、古代都市カルタゴを建国した女王≪ディド(ディードー)≫の伝説的古代史に典拠を得て制作された歴史的風景画作品のひとつで、画家自身が「傑作」と位置付けたほど強い想いが込められた作品として広く知られている。画面中央に海景を広げ、左側には古代的建築物とカルタゴの民衆を、右側には左側同様古代的建築物と深い緑色に生い茂る木々が配される本作は、ターナー自身強く影響を受けていたフランス古典主義の巨人クロード・ロランの光の効果的描写や水面への反射に対する大きな関心が明確に示されており、特に画面のほぼ中央へ配置される陽光の反射の描写や大気感に溢れる中央の空間部、1点遠近法を用いた画面全体の構図・構成はロランの代表作『上陸するシバの女王のいる風景』としばしば関連付けられる。また描写そのものの手法に注目しても、繊細で緻密な筆触による精巧な細部の表現や古典的ながら多彩性を感じさせる色彩の描写には、ターナーの類稀な画才が強く感じられる。なお本作はターナーの遺言によりクロード・ロランの『上陸するシバの女王のいる風景(又はシバの女王と善悪を知る木)』と『イサクとリベカの結婚』の間に展示することを条件に国家へ寄贈された。

関連:クロード・ロラン作 『上陸するシバの女王のいる風景』


【全体図】
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美しい古代都市カルタゴの情景。本作は古代ローマの詩人ウェルギリウス≪アエネーイス≫に記される、古代都市カルタゴを建国した女王≪ディド(ディードー)≫の伝説的古代史に典拠を得て制作された歴史的風景画作品のひとつである。



【美しい古代都市カルタゴの情景】
大気的な表現と繊細な光の描写。画家自身が「傑作」と位置付けたほど強い想いが込められた作品として広く知られている本作では、画面中央に海景を広げ、左側には古代的建築物とカルタゴの民衆が、右側には左側同様古代的建築物と深い緑色に生い茂る木々が配される。



【大気的な表現と繊細な光の描写】
ロランの影響を感じさせる水面の反射。画面のほぼ中央へ配置される陽光の反射の描写や大気感に溢れる中央の空間部、1点遠近法を用いた画面全体の構図・構成はロランの代表作『上陸するシバの女王のいる風景』としばしば関連付けられる。



ロランの影響を感じさせる水面の反射】

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