Description of a work (作品の解説)
2010/04/06掲載
Work figure (作品図)
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バルコニーのマハたち


(Majas en el Balcón) 1808-1812年頃
162×107cm | 油彩・画布 | 個人所蔵(スイス)

18世紀スペインの偉大なる巨匠フランシスコ・デ・ゴヤを代表する作品のひとつ『バルコニーのマハたち』。ゴヤの妻が1812年に死した際に制作された財産目録に記載される本作は、17世紀オランダやスペインで流行した≪窓辺の女たち≫的主題作品で、異論も少なくないものの同時期にゴヤが手がけた『バルコニーのマハとセレスティーナ』との対画と考えられている。画面中央へ配される2名の≪マハ≫(※マハとは特定の人物を示す固有の氏名ではなくスペイン語で<小粋な女>を意味する単語)と呼ばれる着飾った女たちは、画面最手前として描かれるバルコニーへ寄り掛かりつつ、魅惑的な視線を観る者(対者)へ向けながら小声で何か話をしている様子である。彼女らの豊満な肉体美を強調するかのように胸が肌蹴た身に着ける衣服や手にする扇子などから、この両者が娼婦であることを容易に連想することができる。そして娼婦らの後方で一段階暗く描き込まれる2名の男たちは、その怪しげな風貌や様子からそれぞれの斡旋人であることを窺い知ることができる。本作の単純な構図を用いながらも物語性や世俗的社会性を感じさせる作品構成も特に注目すべき点であるが、ひとつの絵画として本作を観覧した場合、強烈ながら絶妙なバランスを保つ光の明暗対比や、娼婦らが身に着ける衣服による白と黒のコントラストの秀逸さに我々は目を奪われるものである。なおスペイン旅行中に本作を観た印象派の先駆的存在エドゥアール・マネは本作から強く影響を受け、同氏の代表作『バルコニー』を制作したと考えられているほか、ニューヨークのメトロポリタン美術館には本作と同主題同構図による発展型作品が所蔵されている。

関連: 『バルコニーのマハとセレスティーナ』
関連:エドゥアール・マネ作 『バルコニー』


【全体図】
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魅惑的な視線を向ける娼婦たち。画面中央へ配される2名の≪マハ≫と呼ばれる着飾った女たちは、画面最手前として描かれるバルコニーへ寄り掛かりつつ、魅惑的な視線を観る者(対者)へ向けながら小声で何か話をしている様子である。



【魅惑的な視線を向ける娼婦たち】
バルコニーへ寄り掛かる娼婦の右腕。17世紀オランダやスペインで流行した≪窓辺の女たち≫的主題作品である本作の娼婦らの豊満な肉体美を強調するかのように胸が肌蹴た身に着ける衣服や手にする扇子などから、この両者が娼婦であることを容易に連想することができる。



【バルコニーへ寄り掛かる娼婦の右腕】
怪しげに振り返る斡旋人の男。単純な構図を用いながらも物語性や世俗的社会性を感じさせる作品構成も特に注目すべき点であるが、絵画として本作を観覧した場合、強烈ながら絶妙なバランスを保つ光の明暗対比や、娼婦らが身に着ける衣服による白と黒のコントラストの秀逸さに我々は目を奪われる。



【怪しげに振り返る斡旋人の男】

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