Description of a work (作品の解説)
2010/02/01掲載
Work figure (作品図)
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白い靴下の裸婦(白靴下の女)


(Femme aux bas blancs) 1825-26年頃
26×33cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

フランス・ロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワの最も官能性豊かな作品のひとつ『白い靴下の裸婦(白靴下の女)』。1832年のサロン出品作としても知られる本作は、白い靴下を履いたベッドに横たわる官能的な裸婦を描いた作品で、寸法約26×33cmと小品作品ながら画家の裸婦画の傑作として広く認知されている。制作年代については異論も少なくないが、一般的には1825年から翌1826年頃と位置付けられている本作では、画面左上から対角線上となる右下へと頭部から足先が流れるような配置で裸婦が配されており、画面中央部には裸婦の女性面を最も感じさせる下腹部が、女性の丸みを帯びた身体の特徴を強調するかのように描き込まれている。両腕で頭を抱えるような仕草をみせる裸婦の官能的な姿はしばしば18世紀スペインの巨匠フランシスコ・デ・ゴヤの『裸のマハ』と比較されるが、対角線上に配される裸婦の姿態は画面の中へ躍動感を与える効果を発揮しており、観る者を誘うかのような裸婦の肉感と刺激性を強調させている。そしてこの対角線的配置は同時期に手がけられた『サルダナパロスの死(サルダナパールの死)』にも用いられている。これら裸婦自体の表現も特筆に値する出来栄えであるが、本作で観る者の眼を最も惹きつけるのはベッドの周囲に配された真紅のカーテンの色彩にある。画面自体を包み込むかのように描かれる赤いカーテンは、艶かしい裸婦や彼女が履く靴下、ベッドに用いられる白色、そしてピロー(枕)部分や陰影部分に用いられる黒色に近い色彩と見事な対比を示している。さらに細部を注視しても、裸婦の左腕部分やピロー部分などで下地として対色となる寒色を置くことで色彩の彩度を視覚的に強調させている。この色彩の中に新たな色彩を見出す感覚や観察力は色彩の魔術師と謳われたドラクロワ作品の真骨頂でもあり、後世の画家たちに多大な影響を与えた。


【全体図】
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艶かしい裸婦のメランコリックな表情。1832年のサロン出品作としても知られる本作は、白い靴下を履いたベッドに横たわる官能的な裸婦を描いた作品で、寸法約26×33cmと小品作品ながら画家の裸婦画の傑作として広く認知されている。



【艶かしい裸婦の憂鬱的な表情】
丸みが強調される裸婦の姿態。画面左上から対角線上となる右下へと頭部から足先が流れるような配置で裸婦が配されており、画面中央部には裸婦の女性面を最も感じさせる下腹部が女性の丸みを帯びた身体の特徴を強調するかのように描き込まれている。



【丸みが強調される裸婦の姿態】
名称の由来となった白い靴下。画面自体を包み込むかのように描かれる赤いカーテンは、艶かしい裸婦や彼女が履く靴下、ベッドに用いられる白色、そしてピロー(枕)部分や陰影部分に用いられる黒色に近い色彩と見事な対比を示している。



【名称の由来となった白い靴下】

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