Introduction of an artist(アーティスト紹介)
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ルイ・トッケ(トケ) Louis Tocqué
1696-1772 | フランス | ロココ美術・肖像画家




18世紀フランスのロココ時代隆盛期を代表する肖像画家。華麗で豪奢かつ重厚な肖像表現の中に、親しみやすい自然的なエッセンスを取り入れ、独自的な肖像表現を確立。その親近的で温和な肖像画は当時のフランス国内はもとより、諸外国にまで評判を呼んだ。1696年、建築画家リュック・トッケの息子としてパリで生を受け、ニコラ・ベルタン、次いで当時、フランスで最も成功していた肖像画家のひとりジャン=マルク・ナティエに師事し、絵画を学ぶ。同氏の許で画才を開花させたトッケ自身、ナティエを非常に尊敬していたこともあり、共同制作者として肖像画制作に携わるほか、ナティエの娘とも結婚する(婿養子)。1734年、宮廷に仕えていた芸術家ルモワーヌ父子の肖像画作品『画家ガロッシュの肖像』『彫刻家ルモワーヌの肖像』の2点を王立絵画・彫刻アカデミーへ提出、肖像画家として正式にアカデミーへ入会する。以後、宮廷画家として貴族らの肖像画や、画家の作品に惹かれた私的な顧客をモデルとした肖像画を数多く制作し、画家としての名声を確固たるものとする。1756年、エリザベス・プッシの招きでサンクトペテルブルクへ赴き同地の宮廷画家に就任。1758年には当時デンマーク王フレデリック5世の熱心な誘いを受け同地へ向かい制作活動をおこなう。その後「富と贈物と名誉」を携えパリへと帰郷(※このことは同時代の人物によって記録に残されている)。晩年期も肖像画を手がけるものの、1772年同地で死去。肖像画というジャンルを至高の芸術として高めた功績は、フランス絵画史においても先人ニコラ・ド・ラルジリエールイアサント・リゴー、そしてナティエらとともに特筆に値する評価を受けている。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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フランス王妃マリー・レクザンスカの肖像


(Portrait de Marrie Leczinska) 1740年
277×191cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀フランス、ロココ時代を代表する肖像画家ルイ・トッケ随一の傑作『フランス王妃マリー・レクザンスカの肖像』。本作はブルボン朝第4代にあたる当時のフランス国王ルイ15世(太陽王と呼ばれた偉大なるルイ14世の曾孫)の后≪マリー・レクザンスカ≫を描いた肖像画作品である(※マリー・レクザンスカはポーランド王スタニスワフ1世レシチニスキとその妃カタジナ・オパリンスカとの間に生まれた第二子(次女)である)。ルイ15世はスペイン王フェリペ5世の娘マリアナ・ビクトリアと政略的婚約関係にあったものの、年齢が離れていたこともあり次代の王子誕生を危ぶんだ宰相によって婚約破棄され、健康的で若々しく、かつ才気溢れる教養を身につけていたマリー・レクザンスカに白羽の矢が立てられ、ルイ15世王妃として迎えられたとされている。画面中央へ配される豪華で壮麗な衣服を身に着け、(己の地位を象徴する)王冠を右手で指し示すフランス王妃マリー・レクザンスカの姿は王妃に相応しい威厳と気品に満ち溢れており、当時の流行であった華やかで華麗な様式を踏襲しているものの、薄く笑みを浮かべた王妃マリー・レクザンスカからは(あたかも母性を連想させる)柔らかで親和的な雰囲気が顕著に感じられる。この自然的で柔和な人物描写こそルイ・トッケの肖像表現の真髄であり、本作はその中でも最もその性格が示された作品として(フランス絵画史においても)重要視されている。さらに黄金色と白色、赤色を基色とし、(範囲的)少量の青灰色や黒色を絶妙に対比させた色彩表現も本作では特に注目すべき点である。

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【全体図】
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Work figure (作品図)


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