Description of a work (作品の解説)
2008/05/02掲載
Work figure (作品図)
■ 

葡萄と石榴(ブドウとザクロ)

 (Raisins et granades) 1763年
47×57cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

18世紀ロココ様式時代における風俗画・静物画の巨匠ジャン・シメオン・シャルダン晩年期を代表する作品『葡萄と石榴(ブドウとザクロ)』。かつては、当時、最も権力を有していた大臣のひとりであるサン・フロランタン伯爵が所有していたと推測されている本作は、王立絵画・彫刻アカデミー後、風俗画を主体として絵画を制作していた画家が、再び静物画制作に取り組むようになった晩年期(1750年以降)に手がけられた作品のひとつである。寸法や表現手法がほぼ同一であることから、本作同様ルーヴル美術館に所蔵される『ブリオシュ』と対の作品であると考えられている本作では、画面中央に配される白い磁器の水差しを中心に、その前に黒葡萄と、そのすぐ奥に白葡萄がひと房ずつ、さらに両脇に白葡萄がふた房配され、画面右側には洋梨などの果実とナイフ、そして(葡萄から醸造される)ワインが入ったグラスが2脚、画面左側には柘榴がふたつ描かれており、手前の柘榴はその実が瑞々しく弾けている。画面中央の艶やかな光沢を帯びた水差しの白く輝くような質感や、正確に描写される熟し弾けた赤い柘榴の果肉や種の、静謐な雰囲気に命を宿す生命的効果と造形的な趣、画面右端のワイングラスの(柘榴とは対照的な)硬質性と繊細な光の反射の表現は、特に秀逸の出来栄えを示している(画家は本作と『ブリオシュ』を1763年のサロンへ出品したとも考えられている)。また水差しを頂点に静物全体で三角形が構成されているが、この堅牢(安定的)でありながら造形性と詩情性に優れた独特の静物表現は、後期印象派を代表する画家ポール・セザンヌを初めとした近・現代の画家らに多大な影響を与えたことが知られている。

関連:対画 ルーヴル美術館所蔵 『ブリオシュ(ブリオッシュ)』


【全体図】
拡大表示
画面中央に配される黒葡萄と白葡萄。本作は王立絵画・彫刻アカデミー後、風俗画を主体として絵画を制作していたシャルダンが、再び静物画制作に取り組むようになった晩年期(1750年以降)に手がけられた作品のひとつである。



【画面中央に配される黒葡萄と白葡萄】
瑞々しく弾けた柘榴の卓越した描写。正確に描写される弾ける熟した赤い柘榴の果肉や種の、静謐な雰囲気に命を宿す生命的効果と造形的な趣、画面右端のワイングラスの(柘榴とは対照的な)硬質性と繊細な光の反射の表現は、特に秀逸の出来栄えを示している。



【瑞々しく弾けた柘榴の卓越した描写】
艶やかな光沢を帯びた水差しの白く輝くような質感。水差しを頂点に静物全体で三角形が構成されているが、この堅牢(安定的)でありながら造形性と詩情性に優れた独特の静物表現は、後期印象派を代表する画家ポール・セザンヌを初めとした近・現代の画家らに多大な影響を与えた。



【水差しの白く輝くような質感】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ