Description of a work (作品の解説)
2008/10/10掲載
Work figure (作品図)
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白い花瓶の花(カーネーションと月下香とスイートピーが活けられた花瓶)

 (Bouquet D'Œillets) 1760-1763年頃
44×36cm | 油彩・画布 | スコットランド国立美術館

巨匠ジャン・シメオン・シャルダン1760年代を代表する静物画作品のひとつ『白い花瓶の花(カーネーションと月下香とスイートピーが活けられた花瓶)』。エディンバラのスコットランド国立美術館に所蔵される本作は、東洋風の花瓶に活けられた麝香撫子(カーネーション)、月下香(チューベローズ)、麝香連理草(スイートピー)を描いた、現存する画家唯一となる花を主題とした作品である。画面の中央に配される艶やかな質感が非常に美しい絵付けされた東洋風の白磁の花瓶へ、白のカーネーションや花弁を広げる月下香、色鮮やかなスイートピーが品良く収まるように活けられており、花瓶が置かれる机上には赤いカーネーション一輪と幾つかの花びらが無造作的に置かれている。そして描かれる主題(花束は花瓶)の存在感を引き立てる何も描かれない無地の背景は他のシャルダンの静物画と共通する。本作には対象の形状や質感を克明に捉える静物画の典型的な写実性は示されず、あたかも習作で用いるような大ぶりで即興的な筆触で花束や花瓶を描いているが、それが寧ろ本作へ生き生きとした生命力を与えているほか、当てられる光彩の絶妙な加減や角度、簡素ながら清潔で非装飾的な色彩、画面全体から醸し出される詩情性なども特に注目すべき点である。このような無地の背景や瞬間的な形態表現など後の印象主義を予感させる花の展開は、後世の画家に多大な影響を与えており、特に静物画や肖像画で名を馳せた19世紀フランスを代表するサロン画家アンリ・ファンタン=ラトゥールにその影響が色濃く残されている。


【全体図】
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大ぶりで非写実的な筆触による花の描写。本作には対象の形状や質感を克明に捉える静物画の典型的な写実性は示されず、あたかも習作で用いるような大ぶりで即興的な筆触で花束や花瓶を描いているが、それが寧ろ本作へ生き生きとした生命力を与えている。



【大ぶりで非写実的な筆触による描写】
絵付けされた東洋風の白磁の花瓶。艶やかな質感が非常に美しい絵付けされた東洋風の白磁の花瓶へ、白のカーネーションや花弁を広げる月下香、色鮮やかなスイートピーが品良く収まるように活けられており、花瓶が置かれる机上には赤いカーネーション一輪と幾つかの花びらが無造作的に置かれている。



【絵付けされた東洋風の白磁の花瓶】
無造作に配される一輪のカーネーション。本作は、東洋風の花瓶に活けられた麝香撫子(カーネーション)、月下香(チューベローズ)、麝香連理草(スイートピー)を描いた、現存する画家唯一となる花を主題とした作品である。



【無造作に配される一輪の麝香撫子】

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