Description of a work (作品の解説)
2008/05/03掲載
Work figure (作品図)
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レダと白鳥

 (Léda et cygne) 1742年
60×74cm | 油彩・画布 | ストックホルム国立美術館

ロココ様式の大画家フランソワ・ブーシェ最盛期の代表的作例のひとつ『レダと白鳥』。制作された1742年のサロン出品作である本作は、スパルタ王テュンダレオスの妻であった美しい人間の女性レダに恋をした主神ユピテルが、自らの姿を白鳥に変え、レダと結ばれるギリシャ神話の逸話≪レダ≫を主題に制作された作品である。本主題≪レダ≫は、マニエリスム期の画家コレッジョ作『レダ(連作:ユピテルの愛の物語)』に代表されるよう、ルネサンス期以降、権力者を中心とした画家たちのパトロンや注文主らから最も好まれた神話的主題のひとつであるが、白鳥に姿を変えた主神ユピテルが己の想いを遂げようと、水辺で水浴をしていた侍女を伴うスパルタ王の妻レダに近づく場面が描かれる本作では、ルネサンス期などの作品で表された貞淑で恥じらいを感じさせる、あくまでも神話的な官能性による裸婦表現は用いられず、同時期に制作された画家の傑作『水浴のディアナ』と同様、ロココ様式独特の軽快で世俗的な甘美性や肉感的な官能性に溢れている。特に白鳥として現れたユピテルに驚くレダの人間的な感情を顕著に表した表現や艶かしい姿態、白く輝く美しい裸体の描写は、軽薄ながら観る者を強く惹きつける。さらにレダの隣で白鳥の出現にたじろぐ、横たわった侍女の肉体的曲線表現は、その後に手がけられた『ソファーに横たわる裸婦』などの作品を予感させる。このような豊潤な裸婦の肉体表現は、印象派を代表する画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの作風に多大な影響を与えたことが知られている。


【全体図】
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白鳥に姿を変えた主神ユピテルの出現に驚くレダ。1742年のサロン出品作である本作は、スパルタ王テュンダレオスの妻であった美しい人間の女性レダに恋をした主神ユピテルが、自らの姿を白鳥に変え、レダと結ばれるギリシャ神話の逸話≪レダ≫を主題に制作された作品である。



【主神ユピテルの出現に驚くレダ】
レダに近づき想いを遂げる主神ユピテル。本作は同時期に制作された画家の傑作『水浴のディアナ』と同様、ロココ様式独特の軽快で世俗的な甘美性や肉感的な官能性に溢れている。



【レダに近づき想いを遂げるユピテル】
卓越した技量で描かれる背景。レダの隣で白鳥の出現にたじろぐ、横たわった侍女の肉体的曲線表現は、その後に手がけられた『ソファーに横たわる裸婦』などの作品を予感させる。



【卓越した技量で描かれる背景】

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