Introduction of an artist(アーティスト紹介)
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コズメ・トゥーラ Cosme (Cosimo) Tura
1430-1495 | イタリア | 初期ルネサンス フェラーラ派




15世紀後半におけるフェラーラ派の創始者であり最大の巨匠。彫刻的線描表現を用いた強いねじれと強烈な感情表現による極めて奇想で独創的な様式を確立し、フィラーラ派絵画の形成に決定的な役割を果たした。当時、都市国家フェラーラを支配していたエステ家の宮廷画家として活躍。1450年代にはパトヴァに滞在し、同地の巨匠マンテーニャから強く影響を受け、他の追随を許さない非常に独自性の高い形態を作品へと反映するようになる。また15世紀中頃にフェラーラを訪れたウンブリア派の大画家ピエロ・デラ・フランチェスカや、初期ネーデルランド絵画を代表する画家ウェイデンの影響も指摘されている。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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「春」の寓意像

 (Primavera) 1460年頃
116×71cm | 油彩・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

15世紀フェラーラ派の創始者コズメ・トゥーラが30歳前後の頃に手がけた代表作『「春」の寓意像』。本作は、おそらく当時の都市国家フェラーラを支配していたエステ家の統治下にあったベルフィオーレの城内の書斎を装飾する壁画として連作的に制作された作品のひとつであると推測されている。本作は伝統的に「春」の寓意的解釈が為されてきたが、美術、音楽、文学、歴史、哲学、天文学など幅広い知識活動を司る女神として人気の高かった、主神である≪ゼウス≫と記憶を意味するティタン族の≪ムネモシュネ≫の間に生まれた娘達≪ムサイ(単数形はムーサ、英語名ミューズ)≫のひとりとして描かれたもので、その姿はコズメ・トゥーラの奇想で独創的な解釈に基づき極めて個性的な表現がなされている。女神ミューズは銅色のイルカが装飾がされる豪壮で重厚な玉座に鎮座し、視線をやや下方へと向けている。この作品全体に通ずる鋭い輪郭線は画家の非常に強い個性の表れであり、コズメ・トゥーラが他の追随を許さない独自性を見出していることが伺える。また強烈な印象を与える鮮やかで豊かな色彩も同様で、このような表現手法はフィラーラ派絵画の形成に決定的な役割を果たした。

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【全体図】
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玉座の聖母(ロヴェレッラ多翼祭壇画中央部分)

 1474年
(Madonna col Bambino in trono (Polittico Roverella))
239×102cm | 油彩・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

フェラーラ派最大の巨匠コズメ・トゥーラが手がけた最高傑作のひとつ『玉座の聖母(ロヴェレッラ多翼祭壇画中央部分)』。ロヴェレッラ家の依頼によりサン・ジョルジョ聖堂の主祭壇画として描かれた本作の主題は、当時制作される祭壇画の最も一般的な表現のひとつで、玉座に聖母マリアが鎮座し幼子イエスを抱く≪玉座の聖母≫で、周囲には4人の奏楽者が描かれている。本作は極めて縦長の構図に描かれており、異例ともされる階段付きの玉座に鎮座する聖母子の荘厳でありながら、幻想性も兼ね備えるコズメ・トゥーラ独自の世界観と人物表現によって、祭壇画として違和感を感じることのない歓喜に満ちた聖性と奇想的な美しさを示している。また画家の形態の大きな特徴のひとつとなる彫刻による豪華な装飾や、ヘブライ文字の碑文が玉座には施されている。なお本作はコロンナ美術館(ローマ)所蔵『ニッコロ・ロヴェレッラと聖マウレリウス、聖パウロ』、ルーヴル美術館所蔵『ピエタ(リュネット)』の3作品を主要部分とし、各地に分蔵されている小板絵4点と共に構成されていたと考えられている。

関連:ルーヴル美術館所蔵『ピエタ(リュネット)』

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