Introduction of an artist(アーティスト紹介)
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ピエロ・デラ・フランチェスカ Piero della Francesca
1415-1492 | イタリア | 初期ルネサンス、ウンブリア派




15世紀に活躍したウンブリア派(ウンブリア地方に始まった画派)最大の巨匠。生地であるサンセポルクロで修行時代を過ごした後、マザッチョ、ウッチェロ、ドメニコ・ヴェネツィアーノの作品から遠近法、明瞭な色彩、量感に富む人体の描写を学び、秩序高い空間構成によるウンブリア派独自の画風を確立するとともに、その地位を不動のものとした。また制作をおこなった各地で多大な影響を与えたほか、遠近法や数学者としても活躍する。画家の著書『絵画の遠近法』は興味深い書籍のひとつである。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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キリストの洗礼

 (Battesimo di Cristo) 1448-1450年頃
167×116cm | テンペラ・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

秩序と安定感に満ちた構図と、鮮やかな色彩による丹念な描写が大きな特徴である、ピエロ・デラ・フランチェスカの代表作『キリストの洗礼』。主題はイエスの生涯の軌跡を綴ったキリスト伝(新約聖書)の中でも特に重要視される教義のひとつで、ヨルダン川におもむき、旧約における最後の預言者である洗礼者聖ヨハネから洗礼(清めの秘儀)を受ける場面を描いた≪キリストの洗礼≫で、本作はその典型を為す代表的な作例としても広く知られている。洗礼者聖ヨハネがイエスに洗礼をおこなった際、天上が開け、イエスの頭上に父なる神の三位である鳩のような形をする精霊が舞い降り、「我が愛し子よ」と声が響いたと伝えられる、イエスが神に選ばれた存在であることを初めて示したこの重要な神性を、ピエロ・デラ・フランチェスカはその卓越した表現力を存分に発揮し、極めて完成度の高い作品へと昇華させた。

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聖十字架伝説

 (Leggenda della Croce) 1452-1458年頃
フレスコ | サン・フランチェスコ聖堂(アレッツオ)

ピエロ・デラ・フランチェスカ最大のフレスコ作品でサン・フランチェスコ聖堂壁面に描かれた『聖十字架伝説』。数多くの聖人伝説を元に形成された伝承≪黄金伝説≫が典拠となった、イエスが架けられた十字架にまつわる物語≪聖十字架伝説≫の各場面を描いた本作は、現存するピエロ・デラ・フランチェスカの作品の中で、最も大規模に制作したものである。正面、右壁面、左壁面に描かれるのは、旧約聖書からはアダムの死、シバの女王とソロモンなどの場面が、新約聖書からはコンスタンティヌス帝とマクセンティウス帝の戦い、ヘラクリウス帝とホスロー帝の戦い、聖木の運搬、十字架の発見などの場面が描かれている。

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キリストの復活

 (Pesurrezione di Cristo) 1463-1465年
225×200cm | フレスコ | サンセポルクロ市立美術館

ピエロ・デラ・フランチェスカの代表的なフレスコ作品『キリストの復活』。現在は美術館となっているサンセポルクロ宮殿の壁面に描かれた本作は、磔刑に処され息絶えたイエスの死から三日後の早朝、死に勝利し、復活を遂げたイエスを描く≪キリストの復活≫であるが、本作は復活した勝利者としての姿が強調された、当時の神学に基づくイタリア美術の特徴を示しながらも、イエスがサンセポルクロの旗を掲げるなど、政治的な意図も含まれた図像にて描かれている。また一説では、画面下部に配される左から二番目の眠る兵士は、ピエロ・デラ・フランチェスカの自画像とも云われている。

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セニガリアの聖母

 (Madonna di Senigallia) 1470年代
61×53.5cm | テンペラ・板 | マルケ美術館(ウルビーノ)

ピエロ・デラ・フランチェスカの代表作『セニガリアの聖母』。ウルビーノ宮廷と画家の良好な関係がうかがえる本作は、セニガリア地方の人物が旧蔵していたことから、『セニガリアの聖母』と呼称されるようになった。主題は、厳粛な面持ちの聖母マリアと祝福のポーズを取る幼子イエスを中心に、左右へ2天使を配した≪聖母子≫で、部屋へと射し込む柔らかい光の表現や、柱や壁、小物などに見られる細密な描写にネーデルランド絵画の影響が指摘されている。人体の構造的表現や、敬虔を意味する穏やかな聖母子の表情などは、極めてピエロ・デラ・フランチェスカの特徴をよく示しており、屈指の良作としても知られている。

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モンテフェルトロ祭壇画(ブレラ祭壇画)

 1472-1474年
(Pala di Montefeltro (Pala di Brera))
251×172cm | テンペラ・油彩・板 | ブレラ美術館(ミラノ)

ウルビーノ公フェデリコ・ダ・モンテフェルトロから寄進されたことから、そう呼称されるようになった、ピエロ・デラ・フランチェスカの代表的な作品のひとつ『アンナレーナ祭壇画』。マザッチョら先人たちの作品から学んだ、極めて正確な遠近法によって描かれる背景の建物の表現は圧巻の一言である本作の主題は、聖母子を中心に、洗礼者聖ヨハネ、聖ベルナルディーノ、聖ヒエロニムス、福音書記者聖ヨハネとされる老聖人、殉教者聖ペトルス、聖フランチェスコら諸聖人を配した≪聖会話≫で、画家の残す聖会話作品の中でも、完成度の高さから代表作とされるのみならず、明るく明瞭な色彩や、厳粛な中にも深い神性を感じさせる聖人たちの卓越した感情表現など、ルネサンス芸術を代表する絵画として、今日も高く評価されている。

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ウルビーノ公夫妻の肖像(バッティスタ・スフォルツァの肖像)

 1472-1474年
(Ritratti di Federico da Montefeltro e di Battista Sforza)
47×33cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

ピエロ・デラ・フランチェスカを代表する対画肖像作品『ウルビーノ公夫妻の肖像(バッティスタ・スフォルツァの肖像)』。夫であり、ウルビーノ公であったフェデリコ・ダ・モンテフェルトロの肖像とともに、イタリアルネサンス肖像画の傑作のひとつとして、どの時代でも評価されてきた本作は、半身、真横という、この時代におけるイタリア特有の肖像形式を取りながらも、背景には空気遠近法を用いるなど、ネーデルランド絵画の特徴を示しているが、バッティスタ・スフォルツァの肖像における背景は円形を暗示しているとされ、対を為す肖像画と同様、ウルビーノの繁栄を単純化し、象徴したものと研究されている。

関連:対画『フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの肖像』

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ウルビーノ公夫妻の肖像(フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの肖像)

 1472-1474年
(Ritratti di Federico da Montefeltro e di Battista Sforza)
47×33cm | 油彩・板 | ウフィツィ美術館(フィレンツェ)

ピエロ・デラ・フランチェスカを代表する対画肖像作品『ウルビーノ公夫妻の肖像(フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの肖像)』。妻であったバッティスタ・スフォルツァの肖像とともに、イタリアルネサンス肖像画の傑作のひとつとして、どの時代でも評価されてきた本作は、半身、真横という、この時代におけるイタリア特有の肖像形式を取りながらも、背景には空気遠近法を用いるなど、ネーデルランド絵画の特徴を示しているが、フェデリコ・ダ・モンテフェルトロの肖像における背景は正方形を暗示しているとされ、対を為す肖像画と同様、ウルビーノの繁栄を単純化し、象徴したものと研究されている。ウルビーノ公であるモンテフェルトロは、1460年代頃からピエロ・デラ・フランチェスカと深く親交を持ったことが記録に残される。また片目を失っていたモンテフェルトロの肖像画が、横顔で描かれることは珍しいことであった。空気遠近法を用いるなど、ネーデルランド絵画の特徴を示すこのウルビーノの繁栄を単純化し、象徴した背景は、正方形を暗示しているとされる。

関連:対画『バッティスタ・スフォルツァの肖像』

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