Description of a work (作品の解説)
2006/05/25掲載
Work figure (作品図)
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「春」の寓意像

 (Primavera) 1460年頃
116×71cm | 油彩・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

15世紀フェラーラ派の創始者コズメ・トゥーラが30歳前後の頃に手がけた代表作『「春」の寓意像』。本作は、おそらく当時の都市国家フェラーラを支配していたエステ家の統治下にあったベルフィオーレの城内の書斎を装飾する壁画として連作的に制作された作品のひとつであると推測されている。本作は伝統的に「春」の寓意的解釈が為されてきたが、美術、音楽、文学、歴史、哲学、天文学など幅広い知識活動を司る女神として人気の高かった、主神である≪ゼウス≫と記憶を意味するティタン族の≪ムネモシュネ≫の間に生まれた娘達≪ムサイ(単数形はムーサ、英語名ミューズ)≫のひとりとして描かれたもので、その姿はコズメ・トゥーラの奇想で独創的な解釈に基づき極めて個性的な表現がなされている。女神ミューズは銅色のイルカが装飾がされる豪壮で重厚な玉座に鎮座し、視線をやや下方へと向けている。この作品全体に通ずる鋭い輪郭線は画家の非常に強い個性の表れであり、コズメ・トゥーラが他の追随を許さない独自性を見出していることが伺える。また強烈な印象を与える鮮やかで豊かな色彩も同様で、このような表現手法はフィラーラ派絵画の形成に決定的な役割を果たした。


【全体図】
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美術、音楽、文学、歴史、哲学、天文学など幅広い知識活動を司る女神ムーサ(英語名ミューズ)。本作は伝統的に「春」の寓意的解釈が為されてきたが、現在では主神である≪ゼウス≫と記憶を意味するティタン族の≪ムネモシュネ≫の間に生まれた娘達≪ムサイ(単数形はムーサ、英語名ミューズ)≫のひとりとして描かれた作品であると解釈されている。



【幅広い知識活動を司る女神ムーサ】
作品全体に通ずる鋭い輪郭線。この作品全体に通ずる鋭い輪郭線や強烈な印象を与える鮮やかで豊かな色彩は画家の非常に強い個性の表れであり、このような表現手法はフィラーラ派絵画の形成に決定的な役割を果たした。



【作品全体に通ずる鋭い輪郭線】
銅色のイルカが装飾がされる豪壮で重厚な玉座。本作は、おそらく当時の都市国家フェラーラを支配していたエステ家の統治下にあったベルフィオーレの城内の書斎を装飾する壁画として連作的に制作された作品のひとつであると推測されている。



【銅色のイルカが装飾がされる玉座】

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