Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
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ペルジーノ Perugino
1450-1524 | イタリア | ルネサンス フィレンツェ派




15世紀に活躍したウンブリアを代表する画家。本名ピエトロ・ヴァンヌッチ。フィレンツェ派の写実性とウンブリア派に見られる情緒豊かな表現によって優雅でありながら、曖昧さも残す甘美な独自の様式を確立。弟子であるルネサンス三大巨匠のひとりラファエロの作風に大きな影響を与えたが、自身もラファエロから刺激と影響を受ける。最初期の活動は不明であるが、最初はペルージアで絵画を学び、その後、当時人気の高かったヴェロッキオの工房で助手をおこなったと研究されるほか、ウンブリア派の巨匠ピエロ・デラ・フランチェスカの影響も認められている。同地で若くして名声を博したペルジーノは教皇シクストゥス四世の召命によりローマでシスティーナ礼拝堂の壁画装飾を、フィレンツェ派最大の巨匠のひとりボッティチェリらと共に携わる。以後、落ち着きのある牧歌的な風景描写や甘美性を兼ね備える聖母子像が人気を得て、20年近く国内で最も注文を受ける画家として活躍した。現存する作品数は130点、大規模な壁画装飾や祭壇画を始め、聖母子像、聖人像など宗教画が大半を占めるも、神話画や自画像、肖像画も残されている。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
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玉座の聖母子と2聖人、2天使

 1492年頃
(Madonna col Bambino in torno e due santi e due angeli)
直径151cm | テンペラ・板 | ルーヴル美術館(パリ)

トンド(円形画)形式で制作されたペルジーノ随一の代表作的聖母子作品のひとつ『玉座の聖母子と2聖人、2天使』。ほぼ左右対称の構図を用い、中央に玉座へ鎮座する聖母マリアと聖母に抱かれる幼子イエスを、左部分には13世紀ヴィテルボに生まれた聖女である聖ローサと天使を、右部分には最も愛された聖女のひとりである4世紀に活躍したアレクサンドリアの聖カタリナと天使を配している。玉座へ鎮座する聖母マリアを始めとする登場人物はペルジーノ独特の優雅で情緒豊かな甘美性を示しながらも、どこか憂鬱で曖昧さを残す表情を浮かべており、この後最高潮を迎えるルネサンス時代の人間味溢れる表現手法の先駆を示している。このような表現はペルジーノの弟子である巨匠ラファエロにも多大な影響を与え、ラファエロ作品の多くにその痕跡が残されている。

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【全体図】
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聖ペテロへの天国の鍵の授与

 (Consegna delle chiavi)
1480-82年頃 | 335×540cm | フレスコ |
システィーナ礼拝堂(ヴァティカン)

ペルジーノの円熟期を示す代表的傑作『聖ペテロへの天国の鍵の授与』。教皇シクストゥス四世の召命によりローマのシスティーナ礼拝堂の壁画装飾として描かれた本作は、主イエスより十二使徒の長として選ばれた聖ペテロへ、天国の門を開く鍵を与える場面≪聖ペテロへの天国の鍵の授与≫を主題に描かれた壁画で、部分的にバルトロメオ・デラ・ガッタ、ピントリッキオの手が加わっていることが指摘されている。主イエスの代理人として認められ祝福される聖ペテロの感動的な場面の背景には、コンクラーヴェ(教皇選挙会議)がおこなわれる現実の場所が描かれており、教皇シクストゥス四世の聖性と威厳を表現することに成功するとともに、遠近法を用いた広角的な眺望の表現は、それまでにない新しい手法として高い評価を得た。またペルジーノは本作以外にも『キリストの洗礼』『エジプトを旅するモーセ』(双方とも大部分がピントリッキオの制作と考えられている)の2場面を、礼拝堂の正面には後にミケランジェロ『最後の審判』が描かれたために破壊された3場面を描いていた。

関連:『キリストの洗礼』
関連:『エジプトを旅するモーセ』

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聖ベルナルドゥスの幻視

 (Visione di san Bernardo)
1493年頃 | 173×170cm | 油彩・板 | アルテ・ピナコテーク

15世紀ウンブリア派を代表する画家ペルジーノによる傑作『聖ベルナルドゥスの幻視』。ベルナルド及びフィリッポ・ディ・ルトッツォ・ナージの依頼によりフィレンツェのサンタ・マリア・ディ・チェステッロ聖堂のために制作された本作の主題は、ブルゴーニュの貴族出身の聖人で、聖母を賛美する書を執筆中に2度、聖母が現れ自らの母乳を与えたとされる奇蹟≪聖ベルナルドゥスの幻視≫で、安定と静寂を感じさせる構図や風景描写の中に建てられた神聖で重々しい神殿内で聖母マリアを幻視する聖ベルナルドゥスの奇跡的体験をペルジーノは神々しい光彩や壮麗な装飾などを用いて表現しないことで、より感動的かつ聖性を見出すことに成功している。また本作に配される貞淑な立姿の聖母マリア像は、弟子であるラファエロの代表的な作品『聖母の結婚』を始めとした数点に同様の表現が借用されている。

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アポロとマルシュアス

 (Apollo e Marsia) 1495年頃
39×29cm | テンペラ・油彩・板 | ルーヴル美術館

15世紀のフィレンツェで絶大な人気を誇っていたペルジーノによる神話画の代表的な作例『アポロとマルシュアス』。本作は酒神バッカスの従者サテュロスのひとりであったマルシュアスが、戦争を司る最高女神ミネルヴァの呪いがかけられた笛を拾い巧みに演奏したことから、巨人族の娘レトと主神ユピテルとの間に生まれた双子のひとりで、文明や知識、音楽を司る神であるほか太陽神とも同一視されるアポロ(双子の妹は地母神ディアナ)に音楽の競技を挑む場面≪マルシュアスの皮剥ぎ≫を典拠に描かれた作品で、ペルジーノの曖昧さも残す甘美な独自の様式と落ち着きのある牧歌的な風景描写が見事に示されている。この≪マルシュアスの皮剥ぎ≫の神話はマルシュアスは笛(管楽器)を、アポロが弦楽器を奏でその腕前を競い合う場面であるが、審判者がアポロの従者ムーサ(主神ユピテルと記憶の女神ムネモシュの間に生まれた九人の娘で詩や歌などの女神)であった為にアポロが勝利し、勝者が敗者を自由に扱う決まりであったことからアポロによってマルシュアスは木に吊るされ、生きたまま皮を剥がれた息絶えたとされている。

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愛欲と純潔の戦い

 (Lotta fra Amore e Castità) 1505年頃
156×192cm | テンペラ・板 | ルーヴル美術館(パリ)

15世紀のフィレンツェにおいて最も大規模に活躍した画家ペルジーノによる寓意画の代表的な作例『愛欲と純潔の戦い』。マントヴァのイザベラ・デステの書斎を飾る装飾画として1503年に依頼され制作されたことが判明している本作は「愛欲」と「純潔」の争いを擬人化し象徴的に表現した作品で、落ち着きのある牧歌的な風景描写の中に古典的表現と甘美性を兼ね備えるペルジーノ工房作品の特徴がよく示されている。

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Work figure (作品図)


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