Introduction of an artist(アーティスト紹介)
画家人物像
■ 

ロレンツォ・ロット Lorenzo Lotto
1480-1556 | イタリア | 盛期ルネサンス ヴェネツィア派




16世紀イタリアにおけるヴェネツィア派の代表的な画家。ヴェネツィア派らしい色彩豊かな表現を用いるものの、その典型とは異なり、反古典主義的な思想と対象の内面へ迫る心理描写が大きな特徴。レオナルド・ダ・ヴィンチを始め、ヴェネツィア派の発展において決定的な役割を果たしたアントネッロ・ダ・メッシーナやドイツ・ルネサンスの巨匠アルブレヒト・デューラーの影響を受けながら、画家独自の不安的で神経質な様式を形成。ジョルジョーネやヴェネツィア派最大の巨匠ティツィアーノとは一線を画す存在として、ヴェネツィア、トレヴィーゾ、ローマ、マルケ、ベルガモなど各地を遍歴しながら活躍。その画業はしばしばティツィアーノと比較される。幾多の宗教画を残すほか、傑出した肖像画家としても名を馳せた。

Description of a work (作品の解説)
Work figure (作品図)
■ 

受胎告知

 (Annunciazione) 1527年頃
166×114cm | 油彩・板 | レカナーティ市立美術館

異質な構図と不安定的要素が際立つ、ロレンツォ・ロットの代表的な宗教画作品のひとつ『受胎告知』。本作の主題は大天使ガブリエルより神の子イエスを授かったことを告げられる聖母マリアを描いた≪受胎告知≫であるが、特筆すべきは、極めて異質で個性的なその表現にある。神の子イエスの聖胎を告げる神聖な場面である≪受胎告知≫は、教義上その高い聖性と聖告を受ける聖母マリアの厳粛かつ貞淑な姿を描くことが通例とされているが、本作ではそれらの特徴は見られず、むしろ聖母マリアは突然姿を現した大天使ガブリエルに驚き、身を竦め、まるで逃げ出しているかのような、極めて人間地味た仕草を見せている。これは幾多の画家が描いてきた典型的な≪受胎告知≫とは決定的に異なり、ロレンツォ・ロットの混乱と恐怖に支配される人間に対する深い洞察が示されたものだと解釈できる。

解説の続きはこちら

【全体図】
拡大表示

■ 

キリストと姦淫の女

 (Cristo e l'adultera) 1530-35年頃
124×156cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)

巨匠ティツィアーノと並び称される16世紀ヴェネツィア派の代表的な画家ロレンツォ・ロットの残した宗教画作品の傑作『キリストと姦淫の女』。本作に描かれる主題は、しばしばマグダラのマリアと混同させる、早朝イエスが神殿で説教をしていると、ユダヤの律法学者やファリサイ派の者たちが姦通の罪を犯した女を連れイエスに対し、「この女は姦通の罪を犯した。モーセの律法では石打の刑(死刑)である。どう処罰を与えるべきか?」と問い(当時、死刑執行の権利はユダヤ人に無く支配していたローマ人にあり、イエスを陥れるためにユダヤ人であるイエスへ処罰を問う)、イエスは地面に文字を書き終えた後、「あなたたちの中で罪を犯したことの無い者が、まず最初にこの女へ石を投げよ」と言い放ち、律法学者やファリサイ派の者が何もできずに立ち去ると、この女を諭し戒め去らせた有名な逸話≪キリストと姦淫の女≫で、律法学者やファリサイ派の熱気を帯びた高ぶる感情と対称的に冷静に呼応するイエスや、罪を悔い嘆く女の感情表現が、豊かで鮮烈な色彩によって見事に表現されている。

解説の続きはこちら

【全体図】
拡大表示

■ 

裁判官の前の聖ルキア

 1532年
(Santa Lucia davanti al giudice)
243×237cm | 油彩・板 | イエージ市立美術館

ロレンツォ・ロットの代表的な宗教画作品のひとつ『裁判官の前の聖ルキア』。イエージ市の聖女ルキア同信会のために制作されたサンタ・ルチア祭壇画中央部分として描かれた本作の主題は、貧者へ財産を分け与えたことから婚約者の怒りを買い、キリスト教徒だと密告された後、娼妓と同等の刑罰を裁判で裁かれるが、如何様な拷問をおこなおうと傷ひとつ負わせることが出来なかったために、最後は短剣を頸部へ刺され殉教したキリスト教の聖女、聖ルキア(聖ルチア)の裁判の場面を描いた≪裁判官の前の聖ルキア≫で、動じることなく裁判官であるシチリア総督に毅然として訴える聖ルキアの信仰の強さを、巧みな感情表現と、やや劇的な構図を用い見事に表現している。聖ルキアとは、貧者へ財産を分け与えたことから婚約者の怒りを買い、キリスト教徒だと密告された後、娼妓と同等の刑罰を裁判で裁かれ殉教したキリスト教の聖女で、名がルキア(Lucia=光)を意味するルキアの美しさに心を奪われた求婚者に、原因となる自らの目をくり抜いて与えたことから、その求婚者は改宗し、またルキアが天に祈ると目も回復したという伝説が生まれた(眼病の守護聖人としても知られている)。

解説の続きはこちら

【全体図】
拡大表示

■ 

ルクレチアに扮した婦人の肖像

 1533年
(Ritratto di gentildonna in veste di Lucrezia)
95×110cm | 油彩・板 | ロンドン・ナショナル・ギャラリー

肖像画家としても名を馳せていたロレンツォ・ロットの代表作『ルクレチアに扮した婦人の肖像』。紀元前6世紀ローマの伝説的女性で、暴君タルクゥイニウスの王子に陵辱され、夫に手紙と無念を残し自害した≪ルクレチア≫に扮した姿で描かれた婦人の肖像画であるが、その人物の内面に肉薄する圧倒的な表現力は、当時から名画として名高い作品のひとつであった。婦人の内面に迫る感情豊かな表情や身体の表現、単調ながら色彩豊かな描かれる背景などはロレンツォ・ロットが描く肖像画の大きな特徴であるほか、ルクレチアはその言い伝えから≪貞淑≫を示している。ルクレチアの遺書と無念を受け取った夫は、その後、仲間と共に暴君タルクゥイニウスの一族を滅ぼしたとされる。

解説の続きはこちら

【全体図】
拡大表示


Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション