Description of a work (作品の解説)
2005/09/17掲載
Work figure (作品図)
■ 

受胎告知

 (Annunciazione) 1527年頃
166×114cm | 油彩・板 | レカナーティ市立美術館

異質な構図と不安定的要素が際立つ、ロレンツォ・ロットの代表的な宗教画作品のひとつ『受胎告知』。本作の主題は大天使ガブリエルより神の子イエスを授かったことを告げられる聖母マリアを描いた≪受胎告知≫であるが、特筆すべきは、極めて異質で個性的なその表現にある。神の子イエスの聖胎を告げる神聖な場面である≪受胎告知≫は、教義上その高い聖性と聖告を受ける聖母マリアの厳粛かつ貞淑な姿を描くことが通例とされているが、本作ではそれらの特徴は見られず、むしろ聖母マリアは突然姿を現した大天使ガブリエルに驚き、身を竦め、まるで逃げ出しているかのような、極めて人間地味た仕草を見せている。これは幾多の画家が描いてきた典型的な≪受胎告知≫とは決定的に異なり、ロレンツォ・ロットの混乱と恐怖に支配される人間に対する深い洞察が示されたものだと解釈できる。


【全体図】
拡大表示
突然姿を現した大天使ガブリエルに驚き、思わず身を竦める聖母マリア。極めて人間地味た仕草を見せている聖母マリアの姿からは聖性は感じられず、むしろ混乱と恐怖に支配される人間の本質が示されている。



【思わず身を竦める聖母マリア】
天上を指差す大天使ガブリエル。その姿は天上の使いらしく人間離れした神々しさを秘め、威厳と力強さに満ちている。また大天使ガブリエルの出現に、床の猫の恐れ逃げ出している。



【天上を指差す大天使ガブリエル】
聖母マリアに自らの意思を告げる父なる神。本作は作風と時代考証からロレンツォ・ロットがベルガモからヴェネツィアへ戻ってきた頃に描かれた作品だと考えられているが、ヴェネツィアで描かれたものであるか、レカナーティへ赴き描かれたものであるかは今なお議論されている。



【聖母マリアに意思を告げる父なる神】

Salvastyle.com 自己紹介 サイトマップ リンク メール
About us Site map Links Contact us

homeInformationCollectionDataCommunication
Collectionコレクション
作品イメージ