Description of a work (作品の解説)
2008/01/03掲載
Work figure (作品図)
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八ツ橋図屏風

 (Eight-Planked Bridge (Irises and Bridge))
1711-1714年頃 | 各179.1×371.5cm | メトロポリタン美術館
6曲1双屏風・紙本金地着色

琳派最大の巨匠のひとり尾形光琳が50代前半頃(54〜55歳頃とする説が有力視されている)に手がけたとされる晩年期の重要な作品『八ツ橋図屏風(八橋図屏風)』。本作は平安時代の歌物語≪伊勢物語(著者不明)≫の第九段「八橋」の場面を描いた作品で、光琳は本作を手がける約10年ほど前にも、同主題を描いた作品『燕子花図屏風』を制作している。本作と『燕子花図屏風』の最大の差異は何と言っても、『燕子花図屏風』には描かれていない橋本体の描写にある。意匠化された橋は燕子花の群生の中に突如として現れたように画面中央へ配され、人物を描かないことによるある種の静寂性・孤独性も手伝って、まるで観る者に緊張を強いるかのような独特の存在感を醸し出している。また燕子花の表現は『燕子花図屏風』と比べ、より自然な曲線的具象化を見せており、橋の抽象性や直線的形象との対比も特に注目すべき点である(この対比性はしばしば絵師の傑作『紅白梅図屏風』における梅の樹木と、図案化さえた流水の表現にも例えられる)ほか、二つの群生から三つ(又は四つ)の群生へと増加した燕子花の複雑化したリズムや意匠的変化も大きな見所のひとつである。なお幕末に活躍した江戸琳派の絵師、酒井抱一が本作をモデルに『八橋図屏風』を制作している。

関連:『八ツ橋図屏風』全体図左隻拡大図右隻拡大図
関連:根津美術館所蔵 『燕子花図屏風』


【全体図】
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より自然な曲線的具象化を見せる燕子花。絵師晩年の作品と推測される本作は平安時代の歌物語≪伊勢物語(著者不明)≫の第九段「八橋」の場面を描いた作品で、光琳は本作を手がける約10年ほど前にも、同主題を描いた作品『燕子花図屏風』を制作している。



【より自然な具象化を見せる燕子花】
清涼感に溢れる燕子花の茎葉の緑青。燕子花の表現は『燕子花図屏風』と比べ、より自然な曲線的具象化を見せており、橋の抽象性や直線的形象との対比も特に注目すべき点である(この対比性はしばしば絵師の傑作『紅白梅図屏風』における梅の樹木と、図案化さえた流水の表現にも例えられる)。



【清涼感に溢れる燕子花の茎葉の緑青】
意匠化(抽象化)された直線的な橋。本作と『燕子花図屏風』の最大の差異は橋本体の描写にあり、橋は燕子花の群生の中に突如として現れたように画面中央へ配され、人物を描かないことによるある種の静寂性・孤独性も手伝って、まるで観る者に緊張を強いるかのような独特の存在感を醸し出している。



【意匠化(抽象化)された直線的な橋】
画面端へ残される絵師の署名。二つの群生から三つ(又は四つ)の群生へと増加した燕子花の複雑化したリズムや意匠的変化も大きな見所のひとつである。なお幕末に活躍した琳派の絵師酒井抱一が本作をモデルに『八橋図屏風』を制作している。



【画面端へ残される絵師の署名】

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