Description of a work (作品の解説)
2007/12/12掲載
Work figure (作品図)
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日傘をさすリーズ

(Lise à l'ombrelle) 1867年
184×115cm | 油彩・画布 | フォルクヴァング美術館

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール初期の代表的作品のひとつ『日傘をさすリーズ』。1867年の夏にパリ近郊シャイイ=アン=ビエールの森の中で日傘を差す女性像を描いた本作は、翌年のサロンに出品、画家としては二年ぶりの入選作品となった。本作のモデルであるリーズ・トレオは1865年にマルロットで知り合って以来、画家が最も気に入っていたモデルであり、本作以外にも『狩りをするディアナ』『浴女と犬』など複数の作品のモデルを務めている(リーズが結婚するまでその関係は続いている)。全体的な構図や横を向くリーズの顔の表情の表現に写実主義の大画家ギュスターヴ・クールベの影響が感じられるほか、色彩を抑えた背景の処理にはバルビゾン派の画家カミーユ・コローの影響が指摘されている本作には、ルノワールがこの頃から陽光が生み出す輝くような色彩とその効果に注目していたことも示されてる。静寂な雰囲気と湿潤な空気が漂う森の中で立つ、上品な白い衣服に身を包むリーズを柔らかに照らす陽光の表現はあくまでも自然的であり、画面の中に多様な影を落している。特にリーズが差す日傘によって肩のあたりまで落ちる影の描写は、「不自然」との指摘を受ける(当時の絵画表現としては通常、最も描くべき「顔」には影を落さない)ほどに自然的であり、不思議と人々を惹きつける大きな要因のひとつとなっている。また本作の中で際立つ衣服と黒い腰帯の明調の対比や、やや荒く仕上げられた背景の描写と色彩によってリーズがより強調されていることは注目すべき点のひとつである。サロン展示時、本作は風刺画が描かれるほどの批判も受けているが、エミール・ゾラを始め、一部からはかなりの好評価も得ている。


【全体図】
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日傘によって顔に影が落ちるリーズ。本作のモデルであるリーズ・トレオは1865年にマルロットで知り合って以来、画家が最も気に入っていたモデルであり、本作以外にも『狩りをするディアナ』『浴女と犬』など複数の作品のモデルを務めている。



【日傘によって顔に影が落ちるリーズ】
上品な白い衣服を柔らかく照らす陽光の表現。全体的な構図や横を向くリーズの顔の表情の表現にクールベの影響が感じられるほか、色彩を抑えた背景の処理にはカミーユ・コローの影響が指摘されている本作には、画家がこの頃から陽光が生み出す輝くような色彩とその効果に注目していたことも示されてる。



【上品な白い衣服を柔らかく照らす陽光】
バルビゾン派の画家カミーユ・コローの影響が指摘されている背景の表現。本作の中で際立つ衣服と黒い腰帯の明調の対比や、やや荒く仕上げられた背景の描写と色彩によってリーズがより強調されていることは注目すべき点のひとつである。



コローの影響が指摘されている背景】

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