Description of a work (作品の解説)
2008/01/24掲載
Work figure (作品図)
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狩りをするディアナ

(Dianna chasseresse) 1867年
197×132cm | 油彩・画布 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール初期を代表する裸婦像作品のひとつ『狩りをするディアナ』。本作は1867年のサロンに出品する為に制作された作品で、本作が制作される2年前の1865年にマルロットで知り合って以来、画家が最も気に入っていたリーズ・トレオをモデルに、神話的主題≪狩りをするディアナ≫を描いたものである。ローマ神話でディアナはユピテルと巨人族の娘レトとの間に生まれた双子のひとり(もう一方は太陽神アポロ)で、多産や狩猟を象徴する地母神であり、純潔の象徴でもある女神とされており、ルノワールはサロン出品時に審査員たちの関心を惹こうと古典的でポピュラーな主題であった本主題を手がけたものの、彼らが望む(好む)表現とは全く異質な、ギュスターヴ・クールベの醜美に偏らない現実的な写実描写影響を如実に感じさせる、女神ディアナの肉付きの良すぎる健康的で豊満な裸体表現や、射られた鹿の生々しい描写のほか、パレットナイフを用いた独特の表現手法の為、サロンでは落選の憂き目にあっている。しかしながら、本作で示される裸婦表現は後にルノワールが辿り着いた(そして画家が生涯で最も関心を寄せることになる画題となった)独自の裸婦表現を予感させるものであり、本作中で最も注目すべき点のひとつである。また本作の彩度が抑えられた樹木や岩々を始めとする背景の色彩処理に、バルビゾン派の画家ジャン=バティスト・カミーユ・コローの影響が指摘されている。


【全体図】
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リーズ・トレオをモデルに描かれた女神ディアナ。本作は1867年のサロンに出品する為に制作された作品で、本作が制作される2年前の1865年にマルロットで知り合って以来、画家が最も気に入っていたリーズ・トレオをモデルに、神話的主題≪狩りをするディアナ≫を描いたものである。



【リーズをモデルに描かれたディアナ】
健康的で豊満な画家独特の裸体表現。女神ディアナの肉付きの良すぎる健康的で豊満な裸体表現や、射られた鹿の生々しい描写のほか、パレットナイフを用いた独特の表現手法の為、サロンでは落選の憂き目にあっている。



【健康的で豊満な画家独特の裸体表現】
ディアナに射られた鹿の生々しい描写。本作で示される裸婦表現は後にルノワールが辿り着いた(そして画家が生涯で最も関心を寄せることになる画題となった)独自の裸婦表現を予感させるものであり、本作中で最も注目すべき点のひとつである。



【ディアナに射られた鹿の生々しい描写】

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