Description of a work (作品の解説)
2007/11/27掲載
Work figure (作品図)
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ワイト島のウジェーヌ・マネ(ワイト島の室内)

1875年
(Eugène Manet dans île de Wight (Interieur à l'île de Wight))
38×46cm | 油彩・画布 | マルモッタン美術館(パリ)

印象派の女流画家ベルト・モリゾが家族(夫ウジェーヌ・マネ)を描いた代表的な作例のひとつ『ワイト島のウジェーヌ・マネ(ワイト島の室内)』。本作はモリゾと、画家が師事していた印象主義時代の大画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネが結婚した1874年の翌年(1875)の夏に、新婚旅行的な意味合いも感じられるイギリスへの旅行の際に制作された作品である。本作に描かれるのは、イングランド南岸にある行政区域ハンプシャー州南沖の島≪ワイト島≫のカウズ港に面したホテル「グローブ・コテージ」に滞在した時にモリゾが見た、夫ウジェーヌ・マネがホテルの窓からカウズ港を眺める情景である。当時としては極めて晩婚であったが、画家にとって己の芸術的才能を理解し、かつ師エドゥアール・マネの血縁でもある夫ウジェーヌは、最も良い結婚相手であり、モリゾ自身も姉モリゾに対して送った手紙の中で「私を最も信頼し、心から愛してくれる誠実で素晴らしい男性に出会いました。これからようやく私は積極的に生きてゆけます」と夫ウジェーヌのことを述べている。本作にはそんな画家とウジェーヌの緊密で非常に良好な関係性や、結婚後のモリゾの安らぎに溢れた精神性が顕著に感じられる。画家独特の力強く勢いを感じさせる筆触は、更なる躍進をみせ、より大胆に、そして奔放に画面の中で踊っている。特に画面右側部分に描かれるカーテンの≪レース≫や、反対側(画面右側部分)で窓の外を眺める夫ウジェーヌ≪人物≫の筆致は、第1回印象派展に出品された『ゆりかご(1872年制作)』と比較しても、革新的な発展を遂げている。また窓全体は大きく配されながらも、置かれる鉢や庭先の草々によって画面内では1/6強の面積しか割かれていない窓の外の風景には一組の母子が描かれており、画家の愛情と母性が顔を覗かせている。


【全体図】
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窓越しにカウズ港の風景を眺望する画家の夫ウジェーヌ・マネ。本作はモリゾと、画家が師事していた印象主義時代の大画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネが結婚した1874年の翌年(1875)の夏に、新婚旅行的な意味合いも感じられるイギリスへの旅行の際に制作された作品である。



【カウズ港の風景を眺望するウジェーヌ】
窓際に置かれる鉢に咲く花。本作には画家と夫ウジェーヌの緊密で非常に良好な関係性や、結婚後のモリゾの安らぎに溢れた精神性が顕著に感じられ、画家独特の力強く勢いを感じさせる筆触は、更なる躍進をみせ、より大胆に、そして奔放に画面の中で踊っている。



【窓際に置かれる鉢に咲く花】
ホテル「グローブ・コテージ」から見える風景。画面右側部分に描かれるカーテンの≪レース≫や、反対側(画面右側部分)で窓の外を眺める夫ウジェーヌ≪人物≫の筆致は、第1回印象派展に出品された『ゆりかご(1872年制作)』と比較しても、革新的な発展を遂げている。



【「グローブ・コテージ」から見える風景】

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