Description of a work (作品の解説)
2008/06/18掲載
Work figure (作品図)
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花瓶の花(花模様の花瓶)

 (Vase de Fleurs) 1875年頃
51×39cm | 油彩・板 | ファン・ゴッホ美術館

近代絵画において先駆的存在となった画家アドルフ・モンティセリの典型的な作品のひとつ『花瓶の花(花模様の花瓶)』。本作はモンティセリがその生涯の中で手がけた様々な画題の中で、最も代表的な画題であった≪花瓶に活けられた花≫を描いた作品のひとつである。本作はモンティセリから多大な影響を受けた後期印象派の大画家フィンセント・ファン・ゴッホが弟テオに強く購入を薦めた作品(※本作は弟テオによって購入され、現在はアムステルダムのファン・ゴッホ美術館に所蔵されている)としても知られており、ゴッホ自身も「僕たちのところにはディアズの絵よりも素晴らしい花束の作品がある(※ディアズ・ド・ラ・ペーニャは当時人気の高かったバルビゾン派の画家)」と弟テオへ送った手紙の中で本作に対する称賛の言葉を残している。暗く簡素な背景の中で花柄模様の花瓶に活けられた花束が画面中央に安定的に配されている。花瓶と花束は背景と対比させるかのように当てられた強く強烈な光によって画面の中で浮かび上がり、圧倒的な存在感を醸し出している。さらに花束自体は時の経過を思わせるように萎れた様子を示しているが、黄色、赤色、薄青色、乳白色など原色的な色彩の使用によって力強い生命力を感じさせる。さらにモンティセリ独特の荒々しく野性的で感情的な筆触は、花束と花瓶(本作の画題)そのものの存在を此れ見よがしと見せつけるかのように、堂々とした画家の確信を観る者に強く訴えかけてくる。また花瓶が置かれる土台のやや赤味が混在する緑色の色彩的調和と対比、そしてそこに落ちる深い影の表現も特に注目すべき点のひとつである。なお花瓶の花を描いた他の作品では『花瓶の花(1875年頃)』、『花瓶の花(1875-80年頃)』、『水差しの花』、『陶器壷の花』などが知られている。

関連:1875年頃制作 『花瓶の花』
関連:1875-80年頃制作 『花瓶の花』
関連:1875-80年頃制作 『水差しの花』
関連:1875-78年頃制作 『陶器壷の花』


【全体図】
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力強い生命力を感じさせる色彩表現。本作はモンティセリがその生涯の中で手がけた様々な画題の中で、最も代表的な画題であった≪花瓶に活けられた花≫を描いた作品のひとつで、画面中央の花瓶と花束は背景と対比させるかのように当てられた強く強烈な光によって画面の中で浮かび上がり、圧倒的な存在感を醸し出している。



【力強い生命力を感じさせる色彩表現】
時の経過を感じさせる萎れた花。本作はモンティセリから多大な影響を受けた後期印象派の大画家フィンセント・ファン・ゴッホが弟テオに強く購入を薦めた作品としても知られており、ゴッホ自身も弟テオへ送った手紙の中で本作に対する称賛の言葉を残している。



【時の経過を感じさせる萎れた花】
花柄模様の入った花瓶。モンティセリ独特の荒々しく野性的で感情的な筆触は、花束と花瓶(本作の画題)そのものの存在を此れ見よがしと見せつけるかのように、堂々とした画家の確信を観る者に強く訴えかけてくる。



【花柄模様の入った花瓶】

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