Description of a work (作品の解説)
2008/09/28掲載
Work figure (作品図)
■ 

ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝

 1897年
(Matinée sur la Seine (Bras de la Seine près de Giverny))
81.4×92.7cm | 油彩・画布 | ボストン美術館

印象派最大の巨匠のひとりクロード・モネを代表する連作群のひとつ『ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝』。本作は1896年の8月から翌1897年の同月頃にかけて制作された21点から構成される連作≪ジヴェルニー近郊のセーヌ川支流≫の中の1点で、1898年6月に画商ジョルジュ・プティの画廊で開催された画家の個展への重要な出品作のひとつでもある。本作はパリ北西80km程の地点にある画家の住んでいた小農村≪ジヴェルニー≫近郊のセーヌ川とエプト川の合流地点まで平底船で乗り付け、その夜明け前の光景を描いた作品(※画家は早朝3時半に家を出て制作場所となるこの合流地点に向かったとの証言も残されている)であるが、注目すべきは刻々と移ろう陽光の瞬間を捉えた非常に繊細な表現にある。画面のほぼ中央から上下に風景と水面が分けられており、水面はまるで水平線を軸に風景を反転させたかのように(対称的に)反射している。細かく揺らめく水面の絶妙な描写も秀逸な出来栄えであるが、薄く射し込む陽光の微妙な加減や大気的な靄の効果はどこか19世紀のフランスを代表する風景画の巨匠ジャン=バティスト・カミーユ・コローを連想させるほか、静けさの漂う独特の雰囲気の描写にはある種の幻想性すら見出すことができる。また色彩表現の点においても早朝独特の湿度的な寒気を感じさせながらも、時間の経過と共に柔らかく広がる陽光の薄紫色は、木々の濃緑色と見事な調和を示している。なお本作以外にこの連作群では1896年に制作されたボストン美術館所蔵の『ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝』や本作と同年に制作されたひろしま美術館所蔵の『ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝』などの作品が知られている。

関連:1896年制作 『ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝』
関連:1897年制作 『ジヴェルニー近郊のセーヌ川の朝』


【全体図】
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繊細に色彩が重なり合う木々の表現。本作はパリ北西80km程の地点にある画家の住んでいた小農村≪ジヴェルニー≫近郊のセーヌ川とエプト川の合流地点まで平底船で乗り付け、その夜明け前の光景を描いた作品である。



【繊細に色彩が重なり合う木々の表現】
細かく揺らめく水面の絶妙な描写。薄く射し込む陽光の微妙な加減や大気的な靄の効果はどこか19世紀のフランスを代表する風景画の巨匠ジャン=バティスト・カミーユ・コローを連想させるほか、静けさの漂う独特の雰囲気の描写にはある種の幻想性すら見出すことができる。



【細かく揺らめく水面の絶妙な描写】
時間の経過と共に柔らかく広がる陽光。21点から構成される連作≪ジヴェルニー近郊のセーヌ川支流≫の中の1点である本作は、1898年6月に画商ジョルジュ・プティの画廊で開催された画家の個展への重要な出品作のひとつでもある。



【時間と共に柔らかく広がる陽光】

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