Description of a work (作品の解説)
2007/05/06掲載
Work figure (作品図)
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サン・ラザール駅

(La gare Saint Lazare) 1877年
75.5×104cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派最大の画家のひとりクロード・モネの代表的な作品のひとつ『サン・ラザール駅』。本作は1877年の第3回印象派展に出品された30点あまりの画家の作品群で最も批評家たちの注目を集めた、1837年に建設されたフランス初の鉄道の発終着駅≪サン・ラザール駅≫を描いた8作品の中の1点で、公式な許可を得て駅舎の中で描いたことが知られている。画家は近代的な画題としてこの≪サン・ラザール駅≫を描いたが、本作が他の印象派の画家たちの近代性への取り組みと異なるのは、モティーフそのものの近代性(機械化や機械文明)に重点を置き、それを絵画として描き出すのではなく、そこに発生する動的で喧噪的な雰囲気や、それらが醸し出す独特の情景を中心として絵画を成立させている点にある。技師ウジェーヌ・フラシャが設計したガラスと鉄による屋根が近代的なサン・ラザール駅では、蒸気機関車の煙や水蒸気が充満し、それらが天井のガラス窓から射し込む陽光によって様々な色彩と明暗が創り出されている。モネは本作で斬新な絵画的描写技法を駆使しながら、この直線的な近代的建築物の中に生み出されたそれら光の変化や印象、そして天候的環境による多様な効果を表現することに集中している。なお本作はカイユボットが所蔵した後、国家へと寄贈された作品であるほか、本作とほぼ同様の構図でサン・ラザール駅を描いた作品『サン・ラザール駅、列車の到着』がケンブリッジ(米国)のフォッグ美術館に所蔵されており、この『サン・ラザール駅、列車の到着』も、本作同様≪サン・ラザール駅≫を描いた複数の画家の作品の中で特に注目に値する作品である。

関連:フォッグ美術館所蔵 『サン・ラザール駅、列車の到着』


【全体図】
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サン・ラザール駅に停車する列車。本作は1877年の第3回印象派展に出品された30点あまりの画家の作品群で最も批評家たちの注目を集めた、1837年に建設されたフランス初の鉄道の発終着駅≪サン・ラザール駅≫を描いた8作品の中の1点である。



【サン・ラザール駅に停車する列車】

近代的なガラスと鉄によるサン・ラザール駅の天井屋根。近代的な画題として描かれた本作は、モティーフそのものの近代性(機械化や機械文明)に重点を置き、それを絵画として描き出すのではなく、そこに発生する動的で喧噪的な雰囲気や、それらが醸し出す独特の情景を中心として絵画を成立させている。



【ガラスと鉄による駅の天井屋根】

煙や水蒸気が充満する駅内。モネは本作で斬新な絵画的描写技法を駆使しながら、この直線的な近代的建築物の中に生み出されたそれら光の変化や印象、そして天候的環境による多様な効果を表現することに集中している。



【煙や水蒸気が充満する駅内】

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