Description of a work (作品の解説)
2007/06/15掲載
Work figure (作品図)
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戸外の人物習作(左向きの日傘の女)

(Essai de figure en plein air, dit Femme à l'ombrelle toumée vers la droite)
1886年 | 131×88cm | 油彩・画布 | オルセー美術館(パリ)

印象派の巨匠クロード・モネが1880年代に手がけた人物画の代表作『戸外の人物習作(左向きの日傘の女)』。『戸外の人物習作(右向きの日傘の女)』と共に対の作品として制作された本作に描かれるのは、画家の友人であり、印象派の有力な庇護者でもあったオシュデ夫妻の三女で、当時18歳であったシュザンヌ・オシュデが日傘を差し、ジヴェルニー近郊のオルティエ島の土手に立つ姿を描いた作品である。本作は11年前に当時の妻カミーユ・ドンシューと長男ジャンをモデルに描いた『散歩、日傘をさす女性』と非常に類似した構図・構想的特徴が見られるものの、『散歩、日傘をさす女性』と本作を比較すると、前者が人物の形象の描写に重点が置かれているのに対し、後者(本作)は陽光が射し込み人物と渾然一体となる風景の自然的融合がより強調され表現されている。また本作でのモデルの顔は目・鼻・口などがヴェールに隠れ、もはや全く描き込まれておらず、輪郭のみで構成されている。これは1879年に死去した妻カミーユを想う画家の心情が表れたものだとも解釈されている。その他にも(本作の)名称が示すよう、戸外における人物と陽光が織り成す色彩と形体を捉えた巧みな表現や、土手に落ちるシュザンヌ・オシュデの深い影の描写など注目すべき点は多い。1880年代以降、風景画に専念するようになったクロード・モネによる最後の実験的人物画作品としても、本作は重要視されている。

関連:クロード・モネ作 『戸外の人物習作(右向きの日傘の女)』
関連:クロード・モネ作 『散歩、日傘をさす女性』


【全体図】
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ベールに包まれ、輪郭のみで構成されている人物の顔。本作に描かれるのは、画家の友人であり、印象派の有力な庇護者でもあったオシュデ夫妻の三女で、当時18歳であったシュザンヌ・オシュデが日傘を差し、ジヴェルニー近郊のオルティエ島の土手に立つ姿を描いた作品である。



【輪郭のみで構成されている人物の顔】
陽光が射し込み人物と渾然一体となる風景の自然的融合。本作は11年前に描かれた『散歩、日傘をさす女性』と非常に類似した構図・構想的特徴が見られるものの、『散歩、日傘をさす女性』が人物の形象の描写に重点が置かれているのに対し、本作は陽光が射し込み人物と渾然一体となる風景の自然的融合がより強調され表現されている。



【人物と渾然一体となる風景】

土手に落ちるシュザンヌ・オシュデの深い影。1880年代以降、風景画に専念するようになったクロード・モネによる最後の実験的人物画作品としても重要視されている本作は、戸外における人物と陽光が織り成す色彩と形体を捉えた巧みな表現など注目すべき点が多い。



【土手に落ちる人物の深い影】

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